あなたがやっていること、本当に必要なことですか?
"あなたが今やっていることは、
誰のためにもならない、
無意味なものかもしれません"
イラっとするかもしれませんが、
煽るつもりはありません。
あなたは現在、
集団で取り組んでいることはありますか?
例えば、
会社員として、壮大なプロジェクトを進めたり、
部活のコンテストに向けて練習に励んだり。
チームで決めた目標に向かって、
一丸となって努力しているあなた達。
実はその努力が、
全く意味のない努力である可能性があります。
もう少し噛み砕いて説明をすると、
チームで決めた目標にも関わらず
誰一人として目標の達成を望んでおらず、
あなたの努力を無駄遣いしているのです。
どういうことなのでしょうか?
あなたの行動が無意味にならないために
この理論を紐解いていきましょう。
1. アビリーンのパラドックス
荒唐無稽なこの理論を展開していくため、
アビリーンのパラドックスについて説明します。
このパラドックスは
経営学者ジェリー・B・ハーヴェイが著書
『アビリーンのパラドックスと経営に関する省察』
で提示したものであり、概要は以下の通りです。
太郎くん一家は
父、母、姉の4人家族。
ある夏の日曜日の出来事です。
姉「ねえ、せっかくの休日だし、
みんなで遊園地に行かない?」
父「いいね!行こうか!」
母「家族みんなの休日が合うのも珍しいですし、
久々の家族のお出掛けにしましょうか。」
実は太郎くんはその日、
友人とサッカーをする約束をしていました。
しかし家族みんなが行くと言っているため、
友人との約束をキャンセルし、
家族と遊園地に行くことにしました。
ところが、
遊園地へ向かう道路は大渋滞。
加えて酷暑と混雑で、
遊園地では思うように遊べませんでした。
最悪の雰囲気で帰路につく4人。
帰りの車内でふと、姉が言いました。
姉「本当は今日は試験勉強しようと
思ってたんだよね…
でも最近家族で外出してないから、
お出掛けした方がいいと思って」
すると家族は次々に
父「今日はゴルフの予定だったんだ。
しかしお前が提案してくれたから、
遊園地を優先するべきだと思ってな」
母「今日は大掃除するつもりだったのよ。
みんなが遊園地に行きたいと思って、
そっちを優先したのよ」
そして太郎くんも
太郎「今日はサッカーする約束をしてたけど
みんなに着いていく方がいいと思って」
そして家族は、口を揃えて言いました。
「遊園地なんか、行かなきゃよかった…」
2. 現実世界でのパラドックス
誰も望まないイベントに、
全員が、自らの意思で参加した。
皆が、自分が望む嗜好は
集団が望むそれではないと思い込み、
誰も望まない作業に取り組んでしまう。
これが、アビリーンのパラドックスです。
もう1つ、例を挙げてみましょう
あなたはA商事の会社員。
A商事の社長が掲げた社訓は
「挑戦なくして成長あらず」
その社訓を元に、
部長はある企画を起案しました。
部長「この企画を進めてくれ」
あなた「本当にこの企画、上手くいきますか?
予算的にも厳しいと思いますが…」
部長「いいんだ。無理は重々承知。
しかし社長の意向は社員の挑戦だ。
ここで社長の評価を得るために、
難しい企画でもやるべきだろう」
あなた「そうですね...
精一杯やってみましょう!」
そして部長は、
社長の元へ企画の提案に向かいました。
部長「社長、この企画でいかがでしょう?」
社長「この予算計画だと厳しそうだけど
大丈夫か…?」
部長「大丈夫です!社訓の通り、
挑戦して必ず会社の成長に繋げます!」
社長「…わかった。やってみろ」
その後、この企画は進められましたが
途中で予算の問題が浮上、
会社に大赤字を残し、
企画は断念されました。
そして社長、社員たちは
皆揃って言いました。
「ああ…だから無理だと思ってたんだ」
こうしてみると、現実味が増しますね。
全員が互いの意見を推し量ることで、
虚構の「集団の意志」が生まれています。
集団の決定に従い行動し、
そこに自らの意志は介入させない。
もしかしたら、
あなたのその行動は、
虚構の「集団の意志」に
従っているだけなのかもしれません。
3. あなたの行動を無意味にしないために
あなたの行動を意味あるものにするため
アビリーンのパラドックスを
防ぐ方法はないのでしょうか?
集団においてパラドックスを防ぐ方法。
その方法とは、
個人に焦点を当てたコミュニケーション
を取ることです。
アビリーンのパラドックスは、
集団においてコミュニケーションが
正常に機能していないときに発生します。
互いの意見を推し量り、
その決定に誰も異を唱えないために、
集団は誤った結論を導き出してしまいます。
本当に遊園地に行きたいのか?
この企画はうまくいくと思っているのか?
その行動を無意味なものにしないために、
個々人の意志を確認し、
集団の決定に反映させることで、
パラドックスを防ぐことができます。
4. まとめ
集団において、
誰も望まない結論が
自らの意志で導き出されることがある。
あなたの行動を
無意味なものにしないために
個人に焦点を当てたコミュニケーションが
必要であると考えています。
この方法は、
企業のマネジメントでも有効です。
日本の企業の場合、
社員は上層部の意見を推し量る
風潮が強く、このパラドックスが
発生しやすくなっています。
本来利益の出ないプロジェクトが、
パラドックスによって決定され、
進められているかもしれません。
この現象が頻繁に発生する企業では、
会社、社員の存続が危ぶまれる、
シビアな状況を生みかねません。
これらについて、
人の上に立つあなたには
特に留意していただきたいです。
あなたの行動に意味を持たせるために、
皆の行動を無意味にしないために、
忖度ではなく、嗜好を主張し、受容することが
集団の利益に繋がるのです。
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