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大河ドラマ「光る君へ」最終回~最後の和歌考察(公任・斉信・紫式部)

こんばんは。もちまるです。

ついに「光る君へ」が最終回を迎えました。
絶賛ロスです😭

大河ドラマ中ずっと行ってきた和歌考察も今回が最後になりました。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。

今回は、最終回に登場した
公任・斉信・紫式部の和歌を取り上げます。


公任・斉信の和歌

まずは、公任・斉信の和歌。
道長と行成が亡くなった後に詠まれたものでしたね。

公任

見し人の 亡なくなりゆくを 聞きくまままに
いとど深山みやまぞ 寂さびしかりける


(現代語訳)
親しかった人が次々に亡くなってゆくのを聞くたびに、深い山にいるように寂しく感じられるのだ。

https://hyakuninisshu.sakura.ne.jp/hikarukimihe.html  より

斉信

消きえ残のこる 頭あたまの雪ゆきを 払はらひつつ
寂さびしき山やまを 思おもひやるかな

(現代語訳)
消え残った雪のような白髪を払いながら、ひっそりとした寂しい山の景色に思いを巡らせるかな。

https://hyakuninisshu.sakura.ne.jp/hikarukimihe.html  より

いつも4人でいる姿が象徴的だった道長・公任・斉信・行成。
偶然にも道長と行成は同じ日に亡くなったといいます。

残された2人の気持ちは如何に…
和歌からも深い哀しみが伝わってきますね。

何か一つの歴史が終わったような感じがしました。

紫式部の和歌

さて、これが考察する最後の和歌。
紫式部の和歌です。

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
雲がくれにし 夜半(よは)の月かな

(現代語訳)
せっかく久しぶりに逢えたのに、それが貴女だと分かるかどうかのわずかな間にあわただしく帰ってしまわれた。まるで雲間にさっと隠れてしまう夜半の月のように。

https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1307/  より

この和歌は、『紫式部集』の1番最初に来ている和歌です。
紫式部が娘の賢子に託した和歌集です。

引用先の「小倉山荘」のサイトには以下のような解説があります。

「新古今集」には、幼友達と久しぶりに逢ったが、ほんのわずかの時間しかとれず、月と競うように帰ったので詠んだ、と本人が書いています。そうしたことから雲間にすぐ隠れてしまう月になぞらえ、再会した幼友達とつもる話もできずに帰られてしまった寂しさを詠んだ歌です。

https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1307/ より 

幼友達とは誰のことだったのでしょうか。
友達と聞いてさわさんのことを思い出しました。

この和歌は、百人一首にもあるので知っている方も多いのではないでしょうか。

和歌の「雲間に隠れてしまう月のように」という表現が素敵ですね。

よくドラマ中にまひろは月を眺めていました。
現代と違って物の少ない時代。
月の存在がより身近だったのでしょうね。

最後に

和歌を考察していて最終回まで登場した方、途中で退場された方、
たくさんの登場人物の方々が頭の中に浮かんで少し寂しくなりました。

『紫式部集』の1番目の和歌がドラマで登場している、
何だか最終回なのに始まりを感じて。

どこか最終回にのみ着地しない無限の可能性を感じさせた最終回。

紫式部の書いた『源氏物語』『紫式部集』『紫式部日記』は、
多くの現代人に読み継がれています。

私もその一人。

紫式部が何を考えていたのか、彼女の心とつながりたくて大学図書館で書籍と論文を読み漁った日々。

出来上がった卒業論文を抱えて、製本所から大学までの坂道を登った寒い日のこと。

心の中に宿っていた宝物の時間が、再びキラキラと輝くのを感じました。

彼女の生涯を1年にわたって大河ドラマという形で知る事が出来て、本当に充実した時間でした。

なぜ和歌を考察し続けたのか、これを書くと長文になるので
またの機会に……

最後の数回は、お仕事の関係でバタバタしてあまり感想を書けませんでしたが、何とかゴールテープ!

「光る君へ」の記事を通じて、たくさんの方が読んでくださり、
またフォローしてくださり、素敵な出会いが広がり……

読んでくださった皆さま本当にありがとうございました。

「光る君へ」の考察を通じて、大学時代に感じていたときめきを思い出す事が出来ました。

今年1年は、プライベートでは苦しい時期でもありましたが、
大好きな平安文学の世界の中で「私」を取り戻していったような気がします。

日本文学、日本文化……
これからも私の心が動く原点を大切にして生きていこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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