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ルッキズムから子供たちを解放する
先日、友人宅に大勢集まり、わいわいとご飯を食べていた時のこと。
友人Aの娘(小学4年生)を見て友人Bが
「ほんとスタイルいいよね!」
と言った。私はその言葉を聞いた瞬間にウッ、となったのだけれどAとBは何も気にせずその子のスタイルについて(本人そっちのけで)あれこれと話をしていた。
私がその時一番心配していたのは渦中のAの娘ではなく、近くにいた友人Cの娘(小学3年生)のことだった。
同じ年頃で同じ背格好の女子二人がいる場面で、片方の容姿だけが褒められている状況というのは年頃の女子にとって実に複雑であると思う。
しかし私はその時、結局友人たちを諭すことができなかった。
それを後になってひどく後悔した。
後日、Cに連絡を取り、このことを伝えて謝罪をし、更にCの娘が見かけについて悩むそぶりがあったりしたら、もちこがあなたのこと素敵だったって言ってたよとそれとなく伝えてほしいとお願いした。
結果的にはあの出来事によってCの娘が悩んでいるような様子はなかったようだが、ここ数日は私の頭からそのことが消えずにいた。あの時あの場で本当はどうすればよかったのだろう、と。
数年前までは、私も平気でこういうことをしてしまっていた。
「美人さんだね」「イケメンだね」
と、子供たちの外見について何の抵抗もなく指摘していた。良かれと思って。
私たちは長年、メディアはもちろん様々な第三者たちから外見についての言及を容赦なく受けてきており、それが普通になって今まできてしまっているのだけれど、それによってどういう問題が起きるかというのを私たちが理解し、子供たちのためにも思考を変え断ち切っていかなくてはいけないと思う。
『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』
私が子育てをするうえでいろんな情報を集める際、以前からめちゃくちゃ信頼を置いている犬山紙子さん。彼女が最近出した本がめちゃくちゃ勉強になるし、我々親世代が抱えているトラウマにも言及されていて、女の子を育てている親だけでなく、男の子を育てる親にも、そして全女性、更には全人類に読んでほしいと切に思った本だった。
この本にも前述した私の経験と同じようなエピソードが紹介されてあり、ある保育園児の娘を持つお母さんが娘に「痩せたい」と言われ、どうしてそう思ったのか聞いてみると、
「先生が痩せた子をほめるから、私もほめられたくて痩せたい」
と言ったとのこと。顔立ちや体形など、その子自身が選べないことについて周りが言及してしまうのは、ほめているとしても良くない結果が引き起こされるのだよなあと痛感した。
前述した友人宅での出来事の中で私が取るべきだった行動は、Cの娘の近くに行き「見た目のことばっかり言ってておかしいね。あなたもすごく素敵だよ」とこっそり言うべきだったのだ。自分の至らなさを反省しつつも、すごく勉強になった出来事だったし、この経験が今後、私の指標となっていくだろうとも思った。
この本にはほかにも、女の子を育てるうえで親が不安に思っていることを専門家に聞く形で書かれているのだけれど、私がはっとしたのはP55の「テレビや動画ではリーダーシップを男性が取り、アシストを女性がするという構図が多くみられる」という偏りを指摘し、こういう考え方に染まらせないためにどうするか、という話。
偏っているな、いびつだな、と感じたらいちいち突っ込みを入れることが大事だと私は思います。「男ばっかりじゃん」とか。
例えば高齢男性ばかり並ぶ内閣改造の映像を見てうるさめに野次る、と書かれてあってなるほどなと思った。テレビや動画を見ていて、これってどうなの?って思う表現があったら子供の前で逐一口に出す。犬山さんはテレビに見た目いじりが出てきたら「いまのどう思う?言われた人はどう思うかな?笑っていいと思う?」と子供に話しかけるようにしているのだという。そうやってディスカッションができる親子関係って素敵だなと思う。
この本は特にルッキズムとジェンダーについて丁寧に書かれてあって、私たち親こそルッキズムやジェンダーギャップに苦しまされている部分があるけど、それを子育てを通してみんなで克服していこうよ!という雰囲気が全体を通して感じられるのが素晴らしいなと思った。
今まで表面化してこなかった問題に侵され続けた大人たちの何気ない言葉によって、子供たちが傷ついてしまった時に、そういうのは一部の人達なんだ、ちゃんと私のことを大切に守ってくれようとする大人がいるんだ。ってことを子供たちが感じられるような働きかけをしていきたいと私自身も強く誓った。そんなここ最近の話。
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