漢字ドリルと「冷蔵庫見てきていい?」
先日、いつも通り小学生の家庭教師に行った時のことです。
iPadとタッチペンで漢字アプリを一緒にやっていました。
「星」という漢字がわからず、
「ひ」という字に「うまれる」っていう字だよ!
あ、ファイヤーのほうの「火」じゃなくて…(笑)
みたいなやり取りをしていました。
「星」という字の上の「日」はやっとこさわかったけれど、どうしても下の「生」がわからない。
そこで、「生醤油の生」「生ビールの生」などと言っていると、
「冷蔵庫行ってきていい?」
と来たので、
「いってらっしゃい!」
と言って促すと、笑顔で戻ってきてくれました。
その後も、家に届いたハガキやチラシ、塗り薬などにヒントが転がってないかと、
あちこち見回りながら漢字を勉強していきました。
実はこの子は、普段は口数が少なく、夜遅くまでゲームをやっていたり、学校に行ったら疲労困憊、放課後の僕がやってくる時間にはヘロヘロということが多い子でした。
そして僕からも、
「身の回りからヒントを探してみよう!」
なんてことは言っていません。
そんな彼が、学校の大嫌いな漢字ドリルから、
普段ゲームをするときに慣れ親しんでいる
タブレットやタッチ操作、漢字アプリに変え、
「好き」に触れると、
それをきっかけに
「漢字と日常生活はこんなにも繋がっているのか!」
というリンクに気づいたようで、
僕も驚きました。
まさに2軍で長らくくすぶっていた選手がいきなり人が変わったように1軍で活躍するような、
それくらいの驚きが僕にはありました。
僕のような塾や家庭教師の講師、学校の先生などは、どうしても教室の中や教科書、ノートの中に閉じこもって考えてしまう。
その思考が子どもたちをその中に閉じ込めてしまう。
「アクティブ・ラーニング」なんて言っても結局は箱の中に押し込められてやることには変わりないじゃないか。
と思っている子どももいるんではないでしょうか。
「実際の日常生活に役に立つことを想像してみよう」という言葉とともに教室で学習へ向かうことはあっても、
教室を飛び出して実践する機会は少ないように思います。
今回の話ははたかが机と漢字アプリの中から冷蔵庫に飛び出しただけの近距離脱出でしたが、
このような小さな実践的な学びが、本人にとって思わぬきっかけになり得るのだ、ということを僕は学ばせてもらいました。
やはり大人は子どもに学ばなければやってられないのだなあ、と噛み締めた次第です。
それではまた。
小野トロ
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