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介護士が見た。忘れられない「死に際」

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介護現場のスタッフたちは、薄給で過酷な労働に従事し、入所者を看取ることも多く、心折れて離職してしまうケースも少なくありません。 そんな現場の実態を明るみに出すことで、少しでも介護…
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介護士はみな「人間愛」にあふれている訳じゃないと悟った衝撃の瞬間

介護士はみな「人間愛」にあふれている訳じゃないと悟った衝撃の瞬間

「ケア優先」vs「業務優先」という難題

■「こうすると早く飲み込んでくれるんですよ」
「ちょっと!何してるんですか?!」

現在39歳の新島桜子さん(仮名)は、介護職に就いて11年目。虐待まがいなケアをしている職員を何度か見かけたことがある。

重度認知症の80代女性のAさんは、食事に全介助が必要で、食べ終わるのが一番遅い。職員Bは、「早く終われば他の利用者のケアに行けるのに」と、いつもイライラ

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ロスジェネ世代のケアマネが18年苦しみ続けた介護業界の「現実」

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格差、薄給、死、それでも…

■ある女性の忘れられない「死に際」
ケアマネジャーの森仁成さん(仮名)は、10年以上経った今でも胸に突き刺さっている記憶がある。担当していた80代女性・Aさんの記憶だ。

Aさんは、自宅で最期を迎えた。Aさんは亡くなるそのときまで、認知機能の低下はほぼなかった。ただ、慢性心不全のため歩くことはできず、常時車いすを使用していたが、数ヵ月前までは車椅子からベッドやトイレに

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