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「おい、風花」 しばらく黙っていた飛雨が、急に言葉を投げてきた。 「お前、今度、霊力の…
少女は中学生くらいだった。 かわいらしいという表現がぴったりの子だ。かなり華奢で、長…
飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。 彼は『重かったー…
一本杉は、木々がまばらになった笹原の中にあった。 まだ若葉をつけていない木々の中で、…
風花たちは、森の東を目指していた。 飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴っ…
ふしぎそうに見つめる風花たちに、彼女は黙って微笑む。 ……この仔は親からはぐれた仔です…
空気が痛い……。 風花たちは、山頂に続く坂道を歩いていた。 さっきまでは、笹原や枝葉があって足を踏み入れる隙がなかったが、山頂近くになって、急に辺りが開けた。 風花たちを取り巻く空気は、ぴりぴりしていた。 飛雨が放つオーラのせいだ。 「ルール違反だぞ、夏澄」 また飛雨の小言が始まった。 「自分の手に負えないことは、引き受けない約束だったろ?」 「ごめん……」 夏澄は腕の中のうさぎを抱きしめる。 さっき、ワンピースの少女に頼まれて、引き取ったうさ
「この鳥も、引き取って欲しいってことでしょ。今回は例外ってことでいいじゃない」 スーフ…
草花を追うかと思ったが、優月は動かずにいた。 表情のない瞳で、桃色しろつめ草を眺めて…
「三年くらい前からでしょうか。たまにこんなことが起こるのです」 優月の言葉に、夏澄は瞳…
夕焼け色の山道を、蓮峯山から出るバスは進んで行く。 風花は窓にもたれて、オレンジ色…