【シロクマ文芸部】星に包まれて眠る【曲から一句】
“銀河売ります”
何気なく見たネットニュースの見出しで見つけたタイトルを思わず開いてみた。銀河を売るというのは、どうも死んだ後の事のようだ。記事を読んでみると、火葬後のお骨を宇宙に飛ばすというもののようだった。
宇宙かぁ。それもいいのかもしれないと私は思った。死んでから、嫁ぎ先の墓になど入りたくはない。死んだ後まで同居するなんてまっぴらごめんだ。夫には申し訳ないと思うが、私はひとりになりたいのだ。せめて、死んだ後くらいは。
そんな事を考えていると、スマホから曲が流れてきた。昔流行っていて好きだった曲。恋人と星を見に行って、永遠の想いを誓う曲。曲を聴いていると、はるか昔に好きだったあの人の事を思い出してしまう。あの人は星や宇宙が好きな人だったから、よく一緒に星を見に行ったものだ。
「あれは天の川銀河」
「天の川銀河って、あの天の川の事ね!」
「あの明るいのが金星で、こっちは海王星。金星は愛と美の星なんだよ。きみと一緒だね。海王星は神秘的を意味する星」
「ね、金星ってヴィーナスの事でしょう?私、ヴィーナスなの?なんか、照れちゃうよ」
「もっと自信もっていいさ。きみは本当に綺麗なんだから。少なくとも僕にとってはね」
「遠くに星を見に行きたいな。いつか一緒に行きましょうよ。私ね、南十字星が見てみたいの」
「それはいいね!僕も南の方で見られるマゼラン星雲を見てみたいんだ」
結局、二人で南の方に星を見に行く事は叶わなかった。けれど、いつかひとりで見に行きたいとそう思っている。あの人と見る事が叶わないのなら、私ひとりで見るのだ。夫とは南の星は、見ない。
私は、ネット記事に出ていた会社のウェブサイトを開き、お気に入りに登録した。おそらく私は銀河を買うだろう。私がこの世で命を終えた後は、宇宙に飛ばしてもらうのだ。そこであの日見た星達や、あの人と一緒に見る事の叶わなかった星や銀河に包まれて永遠に眠るのだ。
あの人も、銀河を買うのだろうか・・・。
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小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します⭐
今週のお題は「銀河売り」です。
なんだか、難しいお題でした。
ちょうど今、占星術を勉強していて、ついそっち方面のお話となりました。
そして、こちらに便乗して、もうひとつの企画に参加です⭐
それは、好きな曲で俳句や短歌を詠む「曲から一句」です。
実は、今週のお題の事を考えていたら、曲が頭に浮かびました。
それで、この曲をイメージしたショートショートを書き、そこからまたイメージした短歌を詠みました。
その短歌はこちらです⭐
歌詞に金星や海王星が出てきますが、私自身にとても影響のある星なんです。
ちなみに、この私のアイコンは私のホロスコープの海王星をイメージしてakkiy☆さんに描いていただいたものなんです。
ひとつの記事でふたつの企画に参加する荒業をやっちまいましたw
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪