水押

言葉を並べたくなった時に書く、詩のまねごと。時に手紙のようなもの。

水押

言葉を並べたくなった時に書く、詩のまねごと。時に手紙のようなもの。

マガジン

  • 君の知らない君の詩

    自作。思い入れのある、手紙のような詩。 マガジンのタイトルは、ASKAさんのアルバム名のもじりです。

  • 定型詩、押韻詩など

    自作。押韻、定型詩、縦読みなど、決まりごとのもとに書いた詩。

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夢へと続く道

卒業の扉を開いた日から 刻々と時間は消えて行く 臆病を覆い隠す 余裕の顔真似で 夜を過ごした 僕の来た道 幾夜寝覚めぬ夢枕 この不安から抜け出すか いっそ夢さえ捨て去るか 常に迷いに揺れ 舞うが 誰にも渡せぬ 夢はるか 新たな道に願をかけ 鳴り響く出発の鐘 一人耐え抜く冷たい風 震える俺に追い打ちをかけ はじまりはいつも雨 曖昧な迷いは覚め 街並みもいつかは晴れ 旅立ちは昨日への別れ 明後日へと増す速度 原っぱで夢に迷おうと 片っ端か

    • 詩「桃幻郷」

      空は遥か 君は遠い 手を伸ばしても 何も届かぬ袋小路の中で 残された日々の虚しさに 苦笑するほどの力もない 人と人とが巡り会う 奇跡の上に成る力というものが もはや私にはない 私の見る世界を 君に届くことを願うけど 響くのは 私の足音だけ それが これ程私を無力にするのか 素知らぬ顔して過ぎる日々 穏やかな景色 世界は遠い それでも 歩まねばならぬ 私の僅かな 精一杯の力で 遥か先にあるという 春を目指して 残された道の 痛みも喜びも 刻む鼓動のすべてが 君に 伝

      • 詩「ひとりがたり」

        僕は 僕が僕だと 自信を持って言うことができない 細胞も記憶も感情も 朽ちては入れ替わる 僕を 僕だと証明するものは 何もない 生きながら流転する みじめで 愚かな 一個体 君と僕とに どれほどの違いがあるだろう 君は不確かで 何の証明もできないように思えるけれど 僕の方が 充分 不確かな存在ではないか どうか 僕の体を引き裂いて たとえ 僕が不確かでも 君が不確かでも 僕の中の君だけは 確かなものである はずなんだ 人は 何を忘れて 何を糧に 生きていくのだろう

        • 詩「花束」

          扉の向こうで 君は笑って手招きする 書いた言葉の拙さに 苦笑しながら 私は 今日の扉を開く きっと明日は 知らない花を見つけよう 知らない道を探してみよう 君に まだ知らない景色を 見せたいんだ 探していたのは 君の言葉 今でもいつも 胸にある 他のものは何も この手の中に残っていなくても そのひとつのために 生きてゆこう 君が私の背中を押すから 私も君に 新しい季節を送るよ 私が辿るすべてを 君のために

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        夢へと続く道

        マガジン

        • 君の知らない君の詩
          37本
        • 定型詩、押韻詩など
          10本

        記事

          詩「箱」

          僕をここに迎え入れて 君の近くに居たいんだ この音楽が止むまでに 僕の心が 日常の中に埋没される前に この手の中の 僅かなものと さよならをしてしまいたい 記憶はゆっくりと退いて 僕の存在を不確かなものにさせていく 細胞が入れ替わって 僕が 僕だという 君が愛した 僕だという 証が消える前に どうか僕を迎え入れて そうすれば 永遠に 永遠に さよならを捨てるよ 追伸 The Smiths「asleep」を聴きながら。

          詩「箱」

          詩「ピエロ」

          僕は永遠の魔法の時間の中にいる と言い切れるだろうか 君は 夢であり 魔法であり そしてどこまでも 重い現実だ 一生分の孤独と引き換えに 君への愛を誓う 誠実の仮面を被った 貪欲さで こんな眠れない夜には いつも君のことを思う 堕落を貪って そこから抜け出せないように 君を見つめている こんな気持ちは きっと 愛とは呼べないだろう   誰の評価も欲しいわけじゃないけど 僕の心が誰かにとって 君にとってさえ 意味のあるものじゃないと知っているけど それでもいつも

          詩「ピエロ」

          詩「朝」

          朝が僕らを生き返らせる 幸福の詰まった時間だとしても 朝はひどく 居心地が悪い 掴んだのは幻覚の幸福 呼吸を阻む水の中 少し沈めば 景色は幾分か綺麗に見える 溺れる前の 最後のひと足掻き 今日も

          詩「朝」

          詩「眠り」

          夜 眠りに着く前に 私は私を取り戻す ひとつひとつを反芻し 心を確実にさせる 朝 目覚める度に 私は私を忘れる 固く誓った気持ちも 忘れたくない思い出たちも ひとつずつの私を手放してでしか 生きていけないと言うのなら 二度と目覚めない 最後の眠りの時は すべての私を取り戻したい

          詩「眠り」

          詩「青」

          屋上に上って 空を見上げる 青に包まれる この心は きっと どこまでも広がる 世界に 境界などない きっと 君にも響くだろう 青に溶け込んだ 僕の心が

          詩「青」

          詩「とけていく」

          空が白み始める 色とりどりに描いた 空想の終わり 闇に包まれた 灯りの下で 幾重もの過去が 私を抱きしめて また去っていく 睡魔と覚醒に酔いながら見る幻 一生分の思い出を閉じ込めて 化石になって眠りたい 追伸 朝の光に「溶けていく」のか、夜の魔法が「解けていく」のか…。

          詩「とけていく」

          詩「タイムカプセル」

          宇宙のどこかに 点在する 私という記憶 誰も知らない 忘れられてしまった 思い出がどこかに埋め込まれている 決して掘り起こされない 哀しい 宇宙のタイムカプセル     疾うに手放したはずの思いが 不意に香る 私という 宇宙の中にある タイムカプセル

          詩「タイムカプセル」

          詩「対話」

          ほんのひとときの 君との対話 誰にもぼくらを 邪魔されないように 日々は忙しなく ぼくの背中を急かすけど 時々振り返る ぼくはきみを置いて 先へ行くことができない きみの足枷になるだろうか それでも ぼくは心を捨てられない きみへの思いは ただひとつの ぼくの証 きみへと言葉を紡ぐ時 きみの笑顔が見えるから 風が ぼくを包むのを感じながら あと少し このひとときを ふたりのために 追伸 Chageさんの「ふわり」という曲が好きで。 こんな詩が書きたいと思いながら

          詩「対話」

          詩「蓋」

          心の中に蓋がある 開けばきっと 自分を見失うような 開かない限り 自分が隠されているような 世間との擦り合わせ 日々の歯車と化すべき自分のために 溶ける暇なく積み重ねられていく悲しみを 抑え込む 蓋がある いつしか 蓋の存在さえ忘れ 偽りのみが残されて 仮面を被ったままに死ぬ

          詩「蓋」

          詩「闇」

          この扉を開ければ 暗闇の世界が待っているだろう そこに  「私」は存在するのだろうか 貴方がいる場所は 寒いだろうか 冷たいだろうか こちらへと手招いても 貴方は寂しく笑うだけだった それさえも 記憶の影なのかもしれない 今日のところはお別れ 闇を抜ける その日まで 永遠が ないのであれば 私も貴方と共に 闇に帰るまで

          詩「闇」

          詩「子供たちのために」

          笑いのない 冷えたテーブル 私一人分の ため息が染み込んだ 抑圧されて表情をなくした 子供たち 子供たち そして 私 与えられなければ得られない 幸福の虚像 与えられなければ作り出せない 幸福の虚像

          詩「子供たちのために」

          かげろう

          私は迷いの中で生きている 必要なものほど 不確かで 大切なものほど 目には見えない 手の中の希望は 打ち捨ててしまえば きっと 楽になれる 無知であるということは 眩しい程に幸福なことだろう それであるのに いったい 何を知るために 何を得るために 明日 私の心が 打ち砕かれないとは限らない そんな日々の中でも いつか 私が焼かれる時 骸の奥底に沈んでいるだろう君のために 未だ希望は捨てられぬ 追伸 何となく書きながら吉野弘氏の「I was born」を思い出したの

          かげろう