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創作の森 エンターテイナー・ストリート

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甘野充プロデュースの創作に特化した共同運営マガジンです。 共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。 自作の小説、詩、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンタ…
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2024年8月の記事一覧

夏の終わり (詩)

日差しが痛いくらいの熱を帯び ジリジリと肌を焦がす頃 始まったばかりの恋に胸を焦がす 2人の未来を信じてたのに 一緒に花火を見る約束 破った意味は……? 理由も聞けないままキミは何処へ 時折、涼しさを含んだ風が通り抜け 夜毎に秋の虫の鳴き声 日毎に秋の気配が濃くなる 中途半端で終わった恋 キミの面影追いかけ 傷心に浸る (Xの、深夜の二時間作詩に投稿しました。 少し加筆しました)

僕は君になりたい。 第31話「告白のリミット 手紙を読んで自分と向き合う僕」

 #31 土曜日の朝、僕は事務所脇の花壇の周りにできた霜柱をザクザクと音を立て、踏み潰しまくっていた。 誰も見ていないのを確認してから、むき出した白い歯みたいな霜柱の島々をゴジラみたいに粉砕して回った。 ガキな遊びをしていると思われたっていい。この行為は今の僕にとって、単なる遊びではない。 あかりは大事をとって、約1週間の休みを取るという。 「なにしてんだ? お前」 ビクッとして、顔を上げると、誠さんが立っていた。夢中になっていて、近づいてきたことに気づかなかった。

【詩】彷徨う

恋を知り 切なさを知り 愛を求めて 寂しい夜を 彷徨い続ける 心にそっと 綴る秘めた想い 声を 笑顔を 胸の奥に焼き付ける それだけでよい 口に出したら 軽くなり ふわりふわりと とんでいってしまいそうだから しっかり捕まえていたい それなのに 抑えきれない恋心 触れてみたい その横顔を 無意識に伸ばした手 愛しい想いと共に 行き場を無くし 虚しく空を掴む

水の抜かれた川 こっそり 現れた石たち ささやくように 寄り添っていた 突然 舞い降りた雨の雫 石の周りで はしゃぎだす ぽつんぽつん 弾ける雫達 石達はちょっと困り顔 ざぁざぁざぁ 雫は段々 増えていった 大きな石は ため息をついた 仕方ないなぁ 雫はいつしか 大雨になり 乾いた石を潤し始めた 水気を帯びた石は 綺麗に光だし 雨の子たちははしゃぎながら 綺麗な石のそばで 歌い出した #詩

【小説】愚。#7

前回途絶(いいわけ) 創作大賞2024が終わってしまっていた、知らないうちに。  贋蔵の涙は一粒で途切れたが勃起は途切れず創作大賞2024は途切れた。  まぁいい。  そもそも贋蔵贋蔵と先程来、呼称してるわけだが前回というかもっとまえからこの男は贋造という表記になっちゃってたわけでこのあたり、作者の登場人物に対する愛情の欠落が伺えるような気もするけど実はこのふたり別人、あるいは作者も知らないうちに作中でパラレルワールドが展開されていてそれぞれの世界に存在する同一人物が

乙女になりたい【弾き語り】

女の子はいつでも乙女になりたい 否定できない人のYesには 価値なんてないのに されるがままなすがまま 死んだ魚のようだ 何も起きない日々続くなら 勇気出さなきゃ始まらない 知ったかぶりで失敗する人生 長女の恋愛ってなぜか頑張っちゃうの 愛想尽かされりゃバイバイバイ どうしてこんなに素直になれない 頼れなくて苦労して繰り返して 女の子はいつでも乙女になりたい ショートヘアだってパンツスーツでも メガネかけたって甘えたいな カッコつけたってキリっとしたって 真面目に至ってねえいいでしょ? 好きな人に振り回されるの 楽しいと思うけど もしあの子なら何て言ってるんだろう 長女の恋愛ってなぜか傷だらけ 我慢していればすぐにバットエンド どうしてこんなに上手く付き合えない 曖昧さで応えたって届かない 優しさに触れた夜には 私の身も心も溶かされたい 女の子はいつでも 女の子はいつでも乙女になりたい ショートヘアだってパンツスーツでも メガネかけたって甘えたいな カッコつけたってキリっとしたって 真面目に至ってねえいいでしょ? 女の子はいつでも

「転校の奇跡」詩~#青ブラ文学部「初めて切なさ覚えた日」

新校舎 新しい小学校の校舎は 野原の 真ん中に立てられた 幾つかの 学校が集まって出来た学校 教室を 青い風が 柔らかく吹きぬける ボクは 小学校4年生 平凡で およそ目立たない おとなしい子供だった 他の子が カッコよく 野球をしていても 独りで川で 魚とりしてる さえない 男の子 ボクの教室での席は 窓際の 後ろの方 斜め前には クラスで 一番人気の おさげ髪の 川村さんが 座ってる 彼女の家は とても大きくて お父さんは 大きな会社の偉い人だと 皆が 言ってた

妬いてるの?

夫が突如言い放った 「男女間に友情なんて成立しない!」 え?ずっとS君、T君と会うの笑って送り出して来たじゃない?  彼たちとの友情を喜んでくれてたのに、え?何? 「うん、前は男女間の友情を信じてた」 どうして変わったの? 「俺はケイが男と話すのが嫌だと気付いたんだ。ケイが注ぐ視線の先の全ての男に嫉妬する」 はー? こんなにも長く暮らしてるのに、 妬いてるの? アンビリーバボー 夫は更に続ける 「noteの男たちに嫉妬する!」 あのぅ、誰とも会ってないし話した事もないんだけ

アルス・エクリチュール  流れの中で ソレからのエクソダス等

■ドゥルーズ後、アート ・デュシャン後のアートは、アートがアートそれ自体に言及する目的を有するようになったと言える(少なくとも純朴な美はこの時点で道具のひとつになった) ・そして、ドゥルーズ後のアートは、もはや、素朴にアートがアートを行為することさえゆるさないのではないだろうか ・ドゥルーズ後に問われるのは、アートそれそのものを道具にしながら、なんらかの、人間の〈在り方〉を示すものでなければならないのだろう ・次の、または、新しい、もしくは、特異な、人間の在り方につい

【連載小説】公民館職員 vol.10「飲み会」

「ユキちゃん、コピー屋の男を狙ってるって?」 どこで聞いてきたのか植田さんが言う。 「えーっ、どこで聞いたんですか?」 「バカだねえ、あんたが携帯の、その、メールアドレスとかを聞いたとき、あたしは近くで掃除してたんだよ。筒抜けだよ」 「他の職員にも知られちゃってますかね?」 「それはないと思うよ、あんとき近くにいたのはあたしだけだったからねぇ」 私は少しホッとした。 「でも、あの男は落ちないよ。あたしもスナックに勤めが長かったからわかるけど、あの子は落ちないね」

秋の気配

風に揺れる コスモスが 秋の訪れを教えてる 暦は夏の終わりを告げている 秋色の空の下 蜻蛉の透明な羽が 秋色にひかる 真っ白な翼の鷺が 頭をたれる稲穂の合間から 旅立った 暑い暑いといいながら 秋はもう来ている 稲穂の影や 薄く伸びた影から 照れくさそうに ちょこっと 顔を出している

朝の詩 78

あさが来た いつもと同じ朝がきた 同じ様に見える朝の空 同じ様な朝の空気 本当にそうかな 時間に追われる毎日で 少しの変化に気づかない 気持ち次第で 朝の空気は変わるけど 空だって 風だって 毎日少しずつ変わっている 暦は8月の終わりを告げている 季節は少しずつ ゆっくりと 景色を変えてきてるんだ

雨と竜 【詩】

雨 雨 雨 と 雨を飲みながら考える 雨 雨 雨 と 庇に取りついた小さな竜が ずぶぬれの金曜日になって 雨を飲んでいる 小さな夢を見ている 竜 この淵に棲んでいるもの みんな 竜 とても小さな竜 (今日こそ捕まえてやるぞ) いつもは青い沼も 今日は濃厚な灰色 君は小さな傘を持って 森の 奥へ 奥へと 入り込んでいく ずぶぬれの日曜日 あちらの枝 こちらの枝 雨 雨 雨 の中に 小さな竜が あまた あまた とても小さな竜が 雨 雨 雨 と 雨を飲みながら みんな竜

思い出

流れ星をいっぱい見たのは 確か高校二年の夏休み 何もない山の中へ 従姉に連れられて 彼女の運転する車に乗って どこへでも 優しいけれど、わがままで 年下のわたしを思い切り引きずり回す ただあの夜空いっぱいの流れ星だけは忘れられない 暗闇の中、幾重にも重なる星たちが次々と流れてゆく その中にたたずんで 諸行無常という言葉だけが 頭の中、浮かんでは消えてゆく あの流れ星をもう一度 眺めたい 小牧さん、いつもお題をありがとうございます😊