ハッピーエンドへ歩く【短編小説】【1100文字】
立ち止まっている間に世界は以前にも増してスピードを上げて回っている。
留学から帰ってきたあの人は甘ったるいバニラの香りがした。駅から目的地までの途中で、日本は狭いと言うので、今日は人が多いねと返すと、そういうことじゃないと言われてしまった。
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元彼が忘れられないと嘆いていたあの子のSNSを見た。投稿内容が元彼のために作った手料理の写真から、今彼が料理をする動画になった。誰かのいいね〜!というコメントに今彼はとにかく一緒にいて楽だと返していた。彼氏のためなら何でもする!