【ショートショート】トイレの神様
「くさい・・・・・・」
一月一日の朝、一人暮らしのアパートのトイレの扉を開けた俺は、思わず言った。まさか新年最初がこんな言葉からスタートするとは考えてもいなかった。少なくとも数時間前までは、くさくなかったはずだ・・・・・・
まぁ、もちろんトイレなのだから、ある程度はくさかったのだが、こんな臭いではなかったのは間違いない。俺は鼻につく下水のような臭いに耐えかねて、トイレには入らず、一旦扉を閉めた。
物書きになることを夢見て、上京して早五年。このアパートで迎える正月も五回目だ