営業力を鍛えよう(アイスブレイク編)|M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!⑧
こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。これからは女性M&Aアドバイザーを育てたいと考えており、「超初心者」向けにノウハウを発信しています。
今回は「営業力を鍛えよう」シリーズの2回目です。M&Aアドバイザーには営業力が必須だと思うので記事にしています。M&Aアドバイザーを目指す方も、そうでない方も、ビジネススキル向上ということでぜひ参考にしてみてください。
本日は、アイスブレイクの極意です。
最初の3分で勝負が決まる
やっととれたアポなのに、面談では緊張して、いつも脇汗がとまらない…。
初対面の人と最初の会話がうまく進められない…。
お客さんの表情もなんだか厳しくて、なかなか会話が弾まない…。
「もしかして自分の第一印象が頼りないって思われてるのかな?」
「『こんな若造が担当だなんて…』って思われてるのかな?」
なんてネガティブなこと考えたりしていませんか?
大丈夫です。相手も緊張しているだけです。
立場がどうであれ、人は初めて誰かと会う時に、多少は緊張します。
別に何も悪い印象を与えていないのに、相手が固い表情をしているからって
「嫌われてるかも」「受け入れられてないのかな」なんて思う必要はありません。
むしろ営業として、初対面の人と会う機会が多いプロとして、相手の緊張をほぐしてあげようというくらいの余裕な心持ちで臨みましょう。
面談の最初にアイスブレイクを行うことは非常に大切です。
名刺交換を終えで、応接室の椅子に座り、すぐに「それでは弊社の商品を…」とセールストークをするのは自分の売上のことしか考えない「自己中」営業マンにしか見えません。
たとえ会社同士の商談であったとしても、結局人が何かを「買う」という意思決定するにはその意思決定者に心理的に受け入れられないと購入には至らないものです。
だから良いアイスブレイクをすることは、非常に大切なんです。
では、どのすれば「良いアイスブレイク」ができるのでしょうか。
レベル1 目に付くモノに触れる
「今日はいい天気ですね」とか「ちょうど雨が降ってきました」とかはやめましょう。そんなことどうでもいいです。
百年に1度のハリケーンが迫っているときとかは、逆に天気の話に触れないのも不自然なので触れても大丈夫です。
ですが、基本的に天気の話をするのは何も話題を準備していない証拠として映ってしまうのでできれば避けましょう。
一番簡単なのは、受付や応接室にあるものに触れることです。
例えば、「働きやすい会社」として表彰をされたり、高い技術力が業界団体に表彰を受けていたり。会社の功績というのは応接室に飾ってあることが多いです。
それに触れて、
「すごいですね。いまでも従業員さんの働きやすさ改革など、取組されてるんですか?」
「素晴らしいですね。この技術力はどのように培ってこられたんですか?」
「この業界は社長が創業前から専門とされていた分野なのですか?」
「長年、競合には負けない技術力なんですね!」
などと切り口を広げていくと良いと思います。
もちろんお客さんは褒められたらうれしいですし、その件について多少話せる内容はあるはずです。
そもそも、よく応接室に飾られている絵画などは「来客者を退屈させないように」という配慮のために飾られていると言われています。
功績の証となるトロフィーなどが置いてある場合には、「ひとつの話題作りになるように」という相手の配慮もあると思って大丈夫です。
もしくは、お客さんの商品が置いてあるケースも良く見られます。その場合も置いてある商品に関心を示すのは非常に有効です。別にこれは応接室になくたって有効です。HPなどで事前に調べられますからね。
それについてはレベル2に続きます。
レベル2 お客さんの商品・サービスに触れる
お客さんの企業が「何で稼いでいるか?」の根幹となる商品・サービスへの関心を示すというのは、アイスブレイクに非常に有効です。
どんな事業にも、経営者の想い、そこに関わる従業員さんの熱意があるものです。その事業に対しての「面白そう!」「自分でも買ってみたい…」「もっと世の中に広まったらよいのに!」という褒めの言葉でも良いですし、事前に調べた上で、「この商品って、どうやって使うんですか?」「どこで買えるんですか?」「誰が買うんですか?」という興味に基づいた質問をぶつけても良いと思います。
商材がニッチすぎて難しければ「HPをよく見てきたんですが、専門的すぎて理解しきれませんでした。いまはどんな企業が御社のターゲット顧客になるのか、教えていただけませんか?」でも良いんです。
こういった投げかけは、面談相手が創業者や経営者に近ければ近い程、喜んで熱意をもってお話してくれるものです。そこから心理的に良い関係が築けます。
面談冒頭のアイスブレイクの場面では、自分の商品に関連する話はひとまずは置いといて、相手の脳内にある話題に触れられるようになることを目指してください。
こう書くとまるで超能力者になれといっているようでが(笑)、実はそんなに難しいことではありません。
その最初の方法のひとつとして、面談者が日々目にしている自社の「商品・サービスに触れること」を簡単なレベル2としてお伝えしました。
ですが、テーマは全くこれに限りません。相手の役職・部門、与えらえられているであろうミッションから、
「この人は毎日何を考えて仕事してるんだろう?」
「社内ではどんなことで評価される立場にあるんだろう?」
という想像をしてみてください。会社の組織というのは様々な形式があるとは言え、ひとつの事業を回していのに必要な機能は共通しているものです。同じような立場に置かれている人はたくさんいますから、そんなに想像は難しくないはずです。
例えば、HPを見ると最近M&Aを行ったらしい会社の、総務部長に会うアポがあるとします。
あなたは最初にどんな投げかけをしますか?
きっと総務部長はM&A関連の仕事で、忙しい毎日を送っているはずです。
株主への納得を得られるように財務部門や事業部門をかけずりまわって情報をまとめ、部下が作った資料をチェックしたり、株主総会を滞りなく実行し、規定や労務関連の確認や整備を行ったり。 手続きがなんとか完了したと思ったら人間関係の揉め事を対処し、さらには思わぬ優秀な人材が退職してしまったり・・・などと様々なことが起こり、本人は疲労困憊しているかもしれません。
「M&Aを行った」というHP情報だけでも、そんな想像くらいはできます。
そんなとき、あさイチでやってきたある営業マンが「いや~今日もいい天気ですね。今日は〇〇のご紹介をさせてください!」と第一声を発言するのを聞いたらどう思うでしょうか。
「あぁ、いまそれどころじゃない‥‥」と、心に余裕がなくて受け入れてくれないかもしれません。
それに比べて、例えばこんな風に声かけをしたらどうでしょうか。
「最近〇〇社との提携で、総務部長は大変お忙しくされてるんではないですか?そんな中貴重なお時間をいただいて、本日は本当に有難うございます!
これから御社は〇〇社と密に連携できるようになることで自社開発がかなりスピーディに進むようになるのではないですか?
いろいろと社内の各部門の調整や株主対策、内部人材の整備など、本当に総務部長は大変なお立場かとお察ししますが、今後がとても楽しみですね!」
後者の営業マンから総務部長は日々頭をつかっていたことに触れられて、ついこんな反応をするかもしれません。
「いや~そうなんだよ!ほんとに大変で!でも社長も今回のM&Aにに社運をかけてるみたいだから、なんとか人が流出しないようにこちらでうまく進めなきゃと思っててさぁ・・・・」
思わず心を開いて「聞いてくれよ~!(涙)」なんて言い出すかもしれません。
これが脳内にあることに触れることによって得られる、心理的距離の近づく効果です。
企業の最近の動向やその人の立場をちゃんと調べて考えることができれば、案外難しいことではありません。
ぜひ、「脳内に触れる」をチャレンジしてみてください。
レベル3 社長の脳内レベルの話題から入る
もっとレベルの高いアイスブレイクをしたければ、相手がどんな立場であっても、社長の脳内に触れるレベルの話題を切り出すスキルを身に着けてください。
いきなりレベルが上がったように感じますね。でも、難しいことはありません。
会社の社長って、毎日どんなことを考えているでしょうか?その想像から始めましょう。
上記のような、経営レベルの夢や目標を抱いているでしょう。
ただ、社長はその夢を現実にしなくてはなりません。あくまでリアリティのある(少なくともリアリティを追求したい)夢のはずです。
こういった次元の話に、営業マンはアイスブレイクのときにどんどん触れてほしいと思います。
例としてはこんな話題です。
「IRでは〇〇事業に注力して3年以内に純利益30億円を達成目標として掲げられているのを拝見しました。社内でも〇〇事業への配置が多かったり、予算を投じたりなどの何かこれまでと違った動きがあるのでしょうか?」
「新商品の〇〇を日本市場に流通させることが、こちらの日本支社としてのミッションだとお察ししております。この商品は、業界他社と比較してどのような点が強みになるのでしょうか?」
相手の雰囲気を見て、ちょっとこういった話題が堅すぎるようだったら、もちろん最初は軽めの話題から入っても良いです。
「〇〇さんは総務部門に所属されて、どのくらい経つんですか?」など。
ただ、面談の冒頭でこういったビジネスを俯瞰するような話題に触れてお客さん自身の今後の展望を把握しておくことは、何を売る営業にとっても有効です。
「何を売る営業マンにとっても有効」である理由もう少し補足説明しましょう。
下の図があるように、会社にはまず「経営戦略」があります。
「●●技術で世界NO.1を強みに、2020年までに日本市場のシェアを50%を目指し、2030年までにアジアでのシェアを10%まで拡大させる」など、次元の高い大きな方向性を示します。
この経営戦略というのは、図の通り各部門が担う各戦略にブレイクダウンされていきます。そして各部門の部門長が自部門の方針を掲げていくのが通常です。
つまり、どんな部門のミッションも源流は経営戦略にあるんですよね。考えてみれば当たり前の話です。
従って、アイスブレイクのときに源流である経営戦略レベルの話に触れておくことで、自分が提案したい商品やサービスの話に自然に流れを持っていくことができるんです。
といっても、イメージが湧かないと思うので、例えば私が所属していた人材採用系の営業で考えてみましょう。前回の記事と同じ営業マンとしての設定です。
ヘタレ営業は、挨拶した瞬間に、「最近の採用状況はいかがですか?」という話からしてしまいます。もちろん、お客さんもこちらが人材系の営業だということを分かっていますから、話は自然に進むケースが多いかもしれませんが、これではあまりにビジネスライクになりすぎです。会話が弾みません。
ですが、経営戦略レベルの話から入れば質の良い雑談ができます。
あなた「新商品の●●が日本でも発売になったんですよね?今のところの市場の反応はどうですか?」
と、まずはサラっと切り出してきます。一体どんな会話が広がると思いますか?
担当者「いまのところ、結構好評なんですよ。だから最近は社長も上機嫌でして。今年は何とかこの商品の売上で東京本社の売上を去年の1.5倍にしたいみたいなんです」
こんな答えが買ってくるかもしれませんね。そうしたら、是非興味を持って会話を少し広げてあげてください。
あなた「1.5倍ですか!それはものすごい成長ですね。ではいま営業部隊はかなり盛り上がっていそうですね!」
担当者「はい、そうなんです。営業部の人は残業も増えてきているけど、頑張ってますよ。来年度はどうやら営業部は2つに分かれるとかいう話があって、規模もそれぞれ拡大するようで、さらに力を入れるみたいですよ」
あなた「そうなんですか!ということは、人員も補強されるんですね。そうなると、○○さん(担当者)もこれからもっとお忙しくなりそうですね。
よろしければ、弊社のもっているサービスがお役に立てるかもしれません。というのも、弊社ではですね・・・」
いかがですか?
社長の脳内レベルの話題からアイスブレイクを始めたのに、気づいたらいつのまにか自分のサービスの話にいやらしくなく進んでいますよね。
これは、経営戦略レベル(シェア拡大)の話に触れ、次に組織戦略レベル(営業部を分割、補強)の話に進んだから、いつのまにか自然に採用戦略レベル(営業人材を採用する)という風に進められた例です。
このようなアイスブレイクなしに「御社の現在の採用状況はいかがですか?」から始まっていたらどうでしょう?
あなた「御社の採用状況はいかがでしょうか?」
担当者「そうですね、いまのところ順調です。」
あなた「そうですか。今後、人員を増やしていく計画などはありますか?」
担当者「そうですね、今後営業系の人材を増やすかもしれません」
あなた「そうでしたら、是非弊社のサービスをご検討ください。弊社では・・・」
これでは営業マンが投げる質問のすべてが「自分が売りたいから聞く質問」に聞こえてしまいますよね。そうなると面談は終始「担当者と営業マン」という立場をくずすことがなかなか難しくなって、心理的距離を縮めることが難しくなります。
社長の脳内レベルに触れるアイスブレイクができるようになると、お客さんからはさまざまな情報がもらえます。業界情報、他社情報、社内事情など。この会話を重ねることで、ヘタレ営業は成長するものです。それを自ら、自分の領域に関わる会話しかしないから、会話が限定的になってしまうんです。
このレベル3ができるようになるのは、別に難しいことではありません。
HPからわかる情報から、素朴な疑問や、社長に会えたとしたら聞いてみたいことを是非事前に考えていってください。その質問を、役職の無い担当者であっても、堂々と投げかけてみてください。明確な答えが返ってこない場面もありますが、少なくとも「この営業は自分の売上のことだけはなくて、うちの会社のことも考えながら提案をしてくれそうだな」という印象を与えてくれるはずです。
ヘタレ営業に見られないアイスブレイクをマスターするため、是非参考にしてみてください。
本日はここまでです。
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🏋️♀️「女性M&Aアドバイザーが増えてほしい!」ということでごく最近発信活動を始めました。M&A以外でも、私がこれまでチャレンジしてきたことや、人生に対するマインドなんかもたくさん発信していきます♪
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