【詩】どうすんの
あたしはなみだ
みせたくないのに
あんたはどこか嬉しそうに
あたしを泣かすの
あんたは悪いおとこ
あたしからぜんぶ奪って
悪びれる様子もなく
平気な顔をしているじゃない
「もう泣くのはいやだから
お別れにしたい」
コーヒーをテーブル越しに挟んで
あたしは勇気を振り絞って
あんたに伝えたの
あんたは悪いおとこ
コーヒーを口づける前に
「愛してる」
なんて平気で言って
あたしを困らせる
あたしはそんな言葉を聞くために
あんたを呼んだわけじゃなくて
別れたくてあんたを呼んだのに
ずっと欲しかった「愛してる」という言葉を
なぜ今このタイミングになって言うの?
お別れの時にずるいじゃない
***
いつも
いつも
ずるいのよあんた
***
「もう行くね」
ふりしぼって
出したことば
声が震えた
何年もかけて出した結論
ことばの重さ
空気がつめたい
席を立つと
コーヒー屋の店主が
私にいった
「ふりむいてはいけませんよ」と
店主にお店のドアをすっとあけてもらい
あたしは
「わかっています」とつぶやいて
お店の外に出た
背中をむけて
違う方向に歩いて
だれにも
追いかけられないように
目的地をとおくに設定した
***
もう随分と
時が経ったかのように
かんじる
真夏の日
思い出すのは
10代の頃の
純粋だった気持ち
蝉のなきごえ
聞きながら
こころの中で
何度も唱える
「もう傷つくのは
ごめんです」
望むのは
透明無垢な
こころの平穏
「もう傷つくのは
ごめんです」
言ってるそばから
通りすぎる
気まぐれなアレ
この
気持ち
くしゃくしゃ
邪魔くさくて
どうすんの
どうすんの
***
見出し画像は稲垣純也様にお借りしています。
T字路の先にハートの落書き。そしてそこを通りすぎる1人の男性。お写真の中でひとつの物語りができそうな素敵な一枚。まるで女性の視線の先を表現したかのような作品ですね。
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