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みさご日記

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好きなこと幸せなこと時候の移ろいを綴ります
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恋千年

恋千年

窓明かり 若月(みかづき)にたぐる記憶
琴の音色に似た 銀色のとばり
群青の中で私を照らす

記憶に揺れる 背子の愛(かな)しきかんばせ
肌に触れるそよ風と 手のひら
しろつめくさの花かずら はにかむ私に添えられる
鮮やかな温度が 今一度私を包み込む

緑の香り 私を呼ぶ強い声
胸の中に そっとこだまする
その名を この名を
広がる夜に預けた

両の手を組み 唇に当てる
ささやかなリフレイン
おや

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私、はじめまして

私、はじめまして

距離に恋していたなんて
知っていたわ そんなこと
容易い女と思われていたのよね
美しい思い出なんて 残らない
どうぞ好きに笑えばいいわ

「時間を きみを奪っていった」
そんな声で 慰めるひと なにを言っているの
なにひとつ 涙一つ ささげた覚えはないわ
私の為に過ごした時間
私の為に磨いた私
誰がために輝く星ではなかったの
そういうことも知らないのね

嘘ばかりついていたのは あなただけ
私は私

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いろはうつろい

いろはうつろい

惚れてはれての薔薇色は
弁柄、猩猩、今様に
いつかの私は薄紅梅
紺碧、白群、杜若
あの日の勿忘草はうすあおい
若菜、若苗、鶸萌黄
木漏れ日遠くに夏虫と
菫、竜胆、紅桔梗
望んだ景色の天いろは
暮れて暮れて 黒紅へ
千歳緑も溶けていく
淡藤、紫苑、薄花桜
黒鳶、赤墨、漆黒へ
月白、藍白、亀覗

水面に映る望月一つ

惚れてはれての薔薇色は
べんがら、しょうじょう、いまように
いつかの私はうすこうばい

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未来の忘れ物

未来の忘れ物

引き出しの奥に隠れてた 一葉のラブレター
思い出に浸るような歳じゃないし と破り捨てた
今となっては何が書かれていたか 覚えていない
甘酸っぱい記憶だけが ふいに鼻に揺れた

カラカラと回る幻燈機
たくさんの声が重なって聞き取れない

「––––」

あなたの声を見つけた気がした
すぐに誰か達の思い出に混ざっていく
伸ばそうとした手を止め 響(ゆら)ぐ心を覗く
波打つ水面に映る 幼い私と目が合った

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おさなごころに

おさなごころに

伸ばしていた髪を 短くした日
少し大人になったと思ってた
理由なんてないと 本気で思ってた
今になってわかったの
冬の朝、冷え切った髪が嫌いだった

大人のふりをしていたのね
何度目の冬なのだろう
まだ理由に囚われている
そんなものが欲しいのね
言い訳がないと なにもできないの

胸にかかっていたはずの髪を握りしめる
冷たさが、しん、とこぼれた

私のいた日々を

私のいた日々を

風のまたたきに手を伸ばして
触れた柔らかさに涙した
うつろいはものがなしく、緑もまた朽ちていく
白く染まり、心は臥して小さく小さく眠りを望む
美しいまどろみ
優しいぬくもり
うつつの寒さなど知りたくもない
悲しみがおしよせる
積み重ねた年齢が、無為の痛みになって降り注ぐ
なにかあったわけではなく
どこへいけたわけではなく
立ち止まっているだけなのに
世界はうつろい、空気も風となって体を避けていく

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花霞

花霞

戻りえぬ 日差しの中で
あなたはほほ笑んでいた ただひとつの夢を抱いて
遅すぎたなんて 言ってしまった私をあなたは許してくれた
季節の中に消えてしまったひとだから
せめてこの花びら舞う景色は覚えていたい

悲しくて 悲しくて
言葉にできなくて
愛しくて 愛しくて
嗚咽だけがとめどなく
この痛みを吐き出してしまえばと
写真を抱いて 叫んでみても
ああ どうしても 消えない笑顔

ざあ

つむじ風にさ

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刹那の繚乱

刹那の繚乱

光発つ 走りだす 走り出す
この夜に わが心のままに
はじけたままの 夕べに

求めよと ままならぬ あいの路に
さよならと ありきたりな言葉
容易いわ 気易いわ

その程度 川のせせらぎにもなりはしない
もっと強く 荒々しい 乙女の鼓動
確かめて 受け止めて

じっと待つのはもう終わり
お囃子 聞こえるかしら
るるると きりりと かからからから

闇に預けた赤い髪 風に炎に流れて
まなこの煌めき

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貴石の夜に

貴石の夜に

砕いたピジョンブラッド つなぎ合わせた
アストライアの夜に 四弦が響く
彼方まで届くなら 私はなにものにもなれる
スピカの輝き 信じて叫べ

何かをつかめたの 闇をかきわけて
旋律だけが 私を導いて
身動きがとれないなんて たわごと
ここにビート まだ続いている

掴み取ったルティルウス 照らして切り裂いた
アステリズムを走る ファズピアノ叩く
那由多に聞かせて 私を思い知りなさい
ヴァーゴの歌 

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三千世界の私よ歌え

三千世界の私よ歌え

嘘八百 有象無象 連日連夜 危険奇怪
誰にだってある非日常 欲しかったもの取りこぼす
それでいいかなんて 笑えないわね
自分の頬を引っ叩いて 正気を捨てて
目覚めた勢い か弱い虚構を着飾って
これしかないのよ これが最強
手に取った新色 まるで聖剣
私は誰だなんて それを問う?
あなたこそ誰? 誰でもない
ならそこをどきなさい
容易く壊せと常識が嘲笑う
ならやってみせてよ
ばかみたい いや、ばかな

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身勝手な毎日に

身勝手な毎日に

モルフォ蝶々なんだって ほら綺麗でしょう
ってね女の子だからね そうでしょう
わからないわね
ああ、ほらカマキリなんて言うのよ
ミツバチなのよ ほら今度はハニー
甘くなんかないわ
次はバラなの? お星様?
呆れるわ 結局そんなの可愛くないって言うのよね
良いわよ 蜘蛛だなんだと言えばいい

強いものよ 弱いものよ
私のことなんか何も知らないくせに
なんとでも言えばいい そう鉄の女
今度はああ、コラ

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弔われぬ唄

弔われぬ唄

汚れた眼鏡で見上げても
黒板なんて見えやしない
誰もの背中が並んでて、教師の貌は消えていて
ぼくの瞳は何を写してる?
真実探してみせたって、光の屈折だってさ
届いた光速の過去 いつだって手遅れだ
光子の先の「現実(いま)」を知りたい
歪んだ板書の文字はきっと誰かの理想
ぼくのそれとはちがうんだ

ああ、斜めにしか見られないこの目が疎ましい
「みんな」みたいな裸眼で映していたい
与えられた概念 ぼく

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はじめまして、如月みさごです

はじめまして、如月みさごです

ネットの片隅でVtuberをしております。
なにか特筆すべき能力も才能もございません。
ただ時折、なにか思うことが募ることもありそういったふわりとした感情を綴っていこうと考えました。前述のとおり、私になにかどうしても伝えたいことがあるわけでもなく、魂に訴えかける言葉があるわけでもございませんが、私の何気ない言葉が皆様のお暇つぶしにでもなれば幸いと存じます。
またVtuberをしておりますので、とき

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