如月みさご
好きなこと幸せなこと時候の移ろいを綴ります
執筆中の物語です。 ご了承ください。 ------------------------------------ ディー(黒:ウェールズ語) シャダと同じ機関に拾われた戦災孤児。元男娼。火星生まれ 趣味は眠ること、甘いものを食べること。よい成績を取ること。シャダ。 宝物:シャダとの思い出。 才能を持ち、覚醒実験で能力も得て、容姿端麗。 コンプレックスは夢がないこと。機関が生きる理由であったが、シャダに憧れられるうちにシャダを家族と思うようになる。 シャダ(白:ベンガル語) 幼
静まり返ったバーチャロイド用ガレージを歩く。レザーブーツが硬質の床を叩く音が響いた。手すりからの景色は高い。全高十五メートル級の人型ロボットを管理、レストアするためのメカニカルキャットウォークだ。当然と言えば当然高い。怖い。 素材のままコバルトシルバーの鉄骨で組み上げられたガレージには、危険域を知らせる虎模様のペイントと、赤いフレームがいくつか走っているのが見えるが、俺ともう一つの気配を覗いて人のいないこんな場所の空気は、冷たい。 行く先には相棒のテンエイティが新品同様に
僕の搭乗した景清「凬」は少し変わっていた。 「アルよ、しからばどうされるおつもりか」 言葉を話すのだ。 「これまで通り、某が武を振るってよろしいか」 <それがし>っていつの言葉だよ。他の誰が乗ってもなにも言わないけれど、僕が乗ると突然目が覚めたように話し、そして自我を持って行動する。景清は平家の悪七兵衛景清の魂が固着されたものではなかったのか、と思ったがこいつはこう言った。 「某は赫屋巌犀(かくやげんさい)。もののふたれど、もののふの血はなく。ただ若き主、源儀応綾藤丸(
資料で見た景色が、M.S.B.S.を通して意識下へ移される。 周囲は一面幾何学模様が彫られた赤い壁で覆われている、火星遺跡の内部。巨大なはずのVR(バーチャロイド)ですら余裕で移動が可能なほどの広大さを見せていた。これといってエネルギー反応もなにもない。死んでいるのか、眠っているのか、遺跡からはなんの反応もなかった。 「公司はここになにがあるって思って俺たちを派遣したんだろうな」 正規軍の兵士のぼやきがスピーカーにこぼれた。 知らねえよ。 と、心で返す。 ブリーフィ
これは私の個人的な感傷です。 誰かに強いるものでもなく、求めるものでもありません。加えまして答えは根性論になります。なにかご病気をお持ちの方、または疑われる方はお読みにならず当該機関のご指導に従ってください。 私の感情の成り立ち 自己否定や自己肯定という言葉が跋扈するようになり、早幾年。私自身も幼いころから趣味嗜好を否定され、学校においてもクラスメート、教師共に多くが私を否定し続けました。お陰様で私は私を認めるということができずに大人になりました。 細々とそしておどおどと
私が誰かだなんて、誰も教えてくれないから ずっと探し続けてた そのくせ誰もが私を何者かって決めつけてくる なんなのそれって 退屈な概念に取り囲まれて AIに支配されたのはみんなの方 常識って暴力は心地いいでしょう だってあなたは「正しい」のだもの 鋭くもない刃物をつきつけられて 迫られる自己紹介 決めつけられた台本を口にして いい子でいたら救われるの? 赦してもらおうなんて思わない 「決められない」ことを私は認めたの それを非常識って叱るのは ちょっと違うんじゃないのか
恋や運命、いつか夢見た甘酸っぱい景色 匂いも温度も、感触さえあったのに いつの日にか色褪せて 今はただ色のない寝ぼけた景色のよう 紺碧の月を見上げた、あの日の風 溌剌とした女の子 ペダルを蹴って歌ってた 至らなさを理由に自分を傷つけ 大人の仲間入りを目指したの 少しだけたどり着いた時、あのこの歌は聞こえなかった 何も怖くなかった女の子 何にでもなれた女の子 ねえ、あなたは今なにを歌ってる? 本をめくれば本当があったの 心に描いたものがたり 鮮やかな色をした憧れの未来 捨て
私の身勝手極まる推理推論によるメモです。 自分に役割を与えられる人は幸せでしょう。 その為の努力ができて、そのための目的も見える。 けれど、それが環境にそぐわない場合はどうなるか。 歪みを生みますが、気づかなければ不幸になるのは周囲です。 どのように注意されても自分の都合のいいように解釈をしてしまいます。ですから周囲の反応に対して、己の「認識のアップデート」が必要になります。 とある有名人は「無責任のような周囲に迎合せず、自分勝手気まま」のように振舞っておりました。しかしそ
時折私は感情が震えて吐き出したくなります それがどのようなものかはわからないのですが、自分の中から溢れだそうとするのです。でも、それがなにかはよくわかりません。 幼いころはなにかにつけて情動に泣いておりました。 少しずつ少しずつ鈍麻していく心に怯えながら、大人になっておりました。 今でも押し殺した感情の奥には、燻るように熱は瞬いております。 前回の徒然鶚1の文章はそのような想いを、浮かぶままに文字にしたものです。読み返せばなんとも無様な文章でしょう。繰り返される言葉に、鈍い形
飲まれた心 形にもならず 欲しいものはどこか 愛したい思いは削られていく 私の視界を塞ぐ 吹雪が心を苛むように羽ばたいて打つ 見つけた真実に手を伸ばして でも今はもう陽炎だと知っている でも、なぜなのかしら 私はこれほどまでに胸をかきむしる 肩を抱きしめては溢れ出す嗚咽 この体が壊れてしまえば 心の行き先はわかるでしょうか もっともっとと強く目を閉じて胸の奥へ 銀色の闇に身を焦がして どれだけ理由をつけたら どれだけ己を知ることができれば 諦められるのですか 冷たいまま
こちらは電脳戦機バーチャロンのファンノベルです。 以前にTwitterにて公開した「カナリア隊」の後日談。とても短いお話ですがよろしければどうぞ。 おいおいおいおい、マジかよ! 木星の遺跡探査を引き受けて、大当たりもいいところだ。 断続的に閃光と爆炎が上がる。 あのシャドウに出会えたら今度こそ、決着をと思っていたけれど、それ以上の成果だ。 周囲を見回せば、瓦礫と瓦礫の一部になった研究員の駆るVR。今度は皆無事に退避できたようだが、まあ俺はそうもいかないわけがある。 と
汚れた眼鏡で見上げても 黒板なんて見えやしない 誰もの背中が並んでて、教師の貌は消えていて ぼくの瞳は何を写してる? 真実探してみせたって、光の屈折だってさ 届いた光速の過去 いつだって手遅れだ 光子の先の「現実(いま)」を知りたい 歪んだ板書の文字はきっと誰かの理想 ぼくのそれとはちがうんだ ああ、斜めにしか見られないこの目が疎ましい 「みんな」みたいな裸眼で映していたい 与えられた概念 ぼくもそれが欲しい 欲しいんだ 液晶みたいな青さの窓の外 耳に届いた教室の音 英語だ
モルフォ蝶々なんだって ほら綺麗でしょう ってね女の子だからね そうでしょう わからないわね ああ、ほらカマキリなんて言うのよ ミツバチなのよ ほら今度はハニー 甘くなんかないわ 次はバラなの? お星様? 呆れるわ 結局そんなの可愛くないって言うのよね 良いわよ 蜘蛛だなんだと言えばいい 強いものよ 弱いものよ 私のことなんか何も知らないくせに なんとでも言えばいい そう鉄の女 今度はああ、コランダム! 磨くのも見出すのもあなたじゃないわ 月よ太陽と言うけれど じゃああな
嘘八百 有象無象 連日連夜 危険奇怪 誰にだってある非日常 欲しかったもの取りこぼす それでいいかなんて 笑えないわね 自分の頬を引っ叩いて 正気を捨てて 目覚めた勢い か弱い虚構を着飾って これしかないのよ これが最強 手に取った新色 まるで聖剣 私は誰だなんて それを問う? あなたこそ誰? 誰でもない ならそこをどきなさい 容易く壊せと常識が嘲笑う ならやってみせてよ ばかみたい いや、ばかなんだって 力を込めて描くのよ 生きるために トレンドに載ってる妄想なんて軽いブ
砕いたピジョンブラッド つなぎ合わせた アストライアの夜に 四弦が響く 彼方まで届くなら 私はなにものにもなれる スピカの輝き 信じて叫べ 何かをつかめたの 闇をかきわけて 旋律だけが 私を導いて 身動きがとれないなんて たわごと ここにビート まだ続いている 掴み取ったルティルウス 照らして切り裂いた アステリズムを走る ファズピアノ叩く 那由多に聞かせて 私を思い知りなさい ヴァーゴの歌 無限を叶えて 愛をもっと五線譜に染めて 躍らせて ポリマのサーガ 誰も知らない
戻りえぬ 日差しの中で あなたはほほ笑んでいた ただひとつの夢を抱いて 遅すぎたなんて 言ってしまった私をあなたは許してくれた 季節の中に消えてしまったひとだから せめてこの花びら舞う景色は覚えていたい 悲しくて 悲しくて 言葉にできなくて 愛しくて 愛しくて 嗚咽だけがとめどなく この痛みを吐き出してしまえばと 写真を抱いて 叫んでみても ああ どうしても 消えない笑顔 ざあ つむじ風にさらわれる景色 花吹雪 くるりら ふるらら それでもあなたのかんばせだけは 花衣