花霞
戻りえぬ 日差しの中で
あなたはほほ笑んでいた ただひとつの夢を抱いて
遅すぎたなんて 言ってしまった私をあなたは許してくれた
季節の中に消えてしまったひとだから
せめてこの花びら舞う景色は覚えていたい
悲しくて 悲しくて
言葉にできなくて
愛しくて 愛しくて
嗚咽だけがとめどなく
この痛みを吐き出してしまえばと
写真を抱いて 叫んでみても
ああ どうしても 消えない笑顔
ざあ
つむじ風にさらわれる景色
花吹雪 くるりら ふるらら
それでもあなたのかんばせだけは
花衣 くるりら ふるらら
確かにはっきりと
私だけを見つめる瞳
わあ
と泣いても 記憶の中に浮かぶだけ
悔しいのは どうしてもっと愛せなかったのか
悲しいのは どうしてもっと残せなかったのか
あなたが ひとかけらも未練なく
いくことができたのなら
まだ私は
ごめんなさい なにもできなくて
ありがとう 笑顔だけをくださって
幸せだから 涙が出るの
すべてが大切だから 苦しいの
思い出を ひとときを 季節を
彩る花暦 ここで終わりなのね
私のすべてになってくださった
日差しのあなたに
さようなら