強みを“相手仕様”に格上げするポータブルスキルの磨き方
先日書いた「アイデア×情報×◯◯」戦略的行動力の方程式の続きです。
◯◯に入る言葉は「ポータブルスキル」、すなわち“持ち運びできる能力”のこと。
一般的な意味での「強み」とは少しニュアンスが違うと前回書きました。
ポータブルスキルの条件は2つです。
①たとえ今の仕事と全く違う業種に行ったとしても、立場がガラっと変わったとしても、変わらず使えるスキルであること
②一般的な強みが「自分が強いと思っていること」なのに対し、ポータブルスキルは「相手にとってうれしいスキル」であると。
あくまでも私見ですが。
例えば車のトップ営業マンがいたとしましょう。彼の強みの一つは「車全般の深い知識」です。
自社製品にとどまらず他社製品そして歴代の名車まで。あらゆる特徴から開発の歴史まで朝まで語れるほどのマニアックな知識があったとします。
もちろんそれは車のセールスとしては素晴らしい強みですが、ポータブルスキルと言えるかというといささか弱いかな、と。
もし同業他社に転職するなら次でも使える知識ですが、他業種に行った場合は直接仕事では使えないので①の条件に合いません。
また、車好きなお客様にとっては話していて楽しいかもしれませんが、さほど興味のない人からすればいらない情報にもなりかねないので、②の条件にも合いません。
一見すごそうな強みでも、実はポータブルスキルにはなり得ないというのが面白いところです。
ポータブルスキルとは、その人をトップ営業マンたらしめている「何か」のこと。他者との違いを生んでいる見えない工夫とでも言いましょうか。
例えば
「お客様からの連絡には必ず2時間以内に何らかの返信をするレスポンの良さ」だったり、
「月次目標達成のために独自に工夫して作成した週ごとのPDCAツール」だったり、
「目の前のことをとことんまで調べ上げる情報収集力と分析力」だったり、
「営業クロージングで使える効果的なフレーズを、売上が伸び悩んでるチームメンバーにシェアする親切さ」だったり、
「仕事の進捗を忙しい上司に向けて端的に報告できるコミュニケーションスキル」だったり。
もしかしたら本人にとっては当たり前すぎて強みにカウントしていないようなことかもしれません。
息を吸うように当たり前にやってるんだけど、それが実は相手の役に立っているようなこと。「またこの人に会いたい」「またこの人と仕事したい」と選ばれる根拠となるもの。
なので経験や実績がない人でもポータブルスキルは養えます。
例えばもっと簡単に
・挨拶する
・お礼をいう
・時間を守る
・正しい敬語を使う
・疑問は質問する
・悪かったら素直に謝る
・報連相する
など新人研修で習うようことの延長でも実は十分な気がします。なぜかというとそれすらちゃんとできない社会人が意外と多いですから。
どれだけすごい知識・経験・資格を持っていても、それを運用するのはあくまでも本体である「人」なのです。
取り組む姿勢、習慣、工夫、一手間。
このあたりがポータブルスキルを裏付けるキーワードと言えそうです。
さて、戦略的行動力の方程式に話を戻しましょう。
まとめると、
・アイデアとは直感的に湧き上がるもの。それを単なる思いつきとしてスルーしない「感度」を持つこと
・ジャストアイデアを実践レベルに持っていくための情報収集力を磨くこと。人は見たいものを見る傾向があるので、視野を広く持つことが大事
・アイデアを行動に移すには人の協力なくしてあり得ない。これまでに培ってきたポータブルスキルが戦略的行動力の足腰となる
あなたのこれからの一歩に、掛け算の成果が出ますように。
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