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#水中それは苦しい
20年後のゴーストワールド
はじめに
2023年11月映画『ゴーストワールド』のリバイバル上映を観た。2001年公開の映画。あれから20年強経つ。私は歳取ってもフラフラして、毒吐いて、身勝手に傷ついて…今も消えたい気持ちで主人公イーニドとまるで変わらないままだった。
「イーニド、怖いこと教えてあげる。耳塞がないで聞いて!このまま20年くらい経ってもずっと変わらないで、うだつのあがらない人生を送ってる私みたいなのもいるんだよ
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(7)歌の中の人
「で、何で、村井くんのライブに来なくなっちゃったの?」
「……」
無言の時が流れた。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、熱心に通っていたライブに行かなくなるのは、宗教の信仰をやめるのに近いものがある。私はガチ恋も伴っていたので余計に。心の拠り所であるライブに何故行かなくなったか、本心は信じられなくなったから。好きだったけど、好きでいられなくなったから……。
おじさんになんて言えば良いのだろう。他
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(13)デリカシーを、君に
クリスマスを誰かと過ごそうなんて、もう何年も考えたことがなかった。当たり前のようにクリスマスも仕事で、勤務しているアパレル店でクリスマスのギフトラッピングに勤しむのが、もう毎年の慣わしだった。
昨年2023年のクリスマスイブ、仕事を終えると、明日会う予定のおじさんからLINEがきていた。
「明日の浅井くんのバンドのライブ、ゲストは入れられるんだけどテンパイ以上にチケット売っちゃってるから、行っ
『20年後のゴーストワールド』第2章(6)さよなら、ゴーストワールド(最終回)
イーニドとひとしきり話をしたり、音楽を聴いたりしたけど、まだ話は尽きない。イーニドの目線が私のトートバッグを捉えた。バッグからポータルのカセットプレイヤーが少し見えていた。
「ねぇ、あなたカセットで何聴いているの?」
「あっ、これ?今聴いてるカセットは銀杏BOYZ。日本のパンクバンドよ。私はこのバンドのこのカセットがきっかけで、またカセットにはまったの。90年代の終わりから一時期カセットは古く