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人は役割があって働くことで生き生きしてきたと実感したデイサービスでの出来事。

いま、私の働いているデイサービスでは、利用者さんにもデイサービス内の仕事を手伝ってもらう方向で改革中だ。

これは、このデイサービス内で勝手にやっていることではなく、人手不足や高齢者の身体機能や日常生活機能を低下させないために、法律でも打ち出していて認められていることでもある。

みんなでそれぞれテーブルを拭く

今まで職員が全部のテーブルを回って食事やおやつの前に消毒を兼ねてテーブルを拭いていたけれど、それをペーパータオルを配ってみんなで拭いてもらうことにした。
もちろん全員ができるわけではないけれど、やりたい人は他の人のところも拭いたりするのでこれはうまく回っていた。

今までは食事前の時間になると、利用者さんは座って待っているだけ、というレストランのような感じで食事を運んだりお茶を配ったりするたびにおじぎをしたり、「ありがとう」と言ってくれたり、いいんだけど、なんか仰々しくて違和感あるな、と思ってた。

その違和感が、利用者さんに手伝ってもらうことで消えていった。
そう、ここはレストランではない。このデイサービスの売りは「家=ホーム」だったではないか?お店じゃなくて、家のようにみんな一緒に生活する仲間として働いてもらった方が自然じゃん。
やらされることへの反発はなかった。
やりたくない人にはやってもらわなくていいのでそこは大丈夫と思う。

食後のトレーも運んでもらったりしている

できる人には食事後のお盆も運んでもらったりしている。
これも職員としては転んだりするリスクを考えると自分で運んだ方がよかったりするが、でもその方が本人にとっては機能維持になるし、「できることはやってもらう」というやり方の方がやっぱりよい循環へと向かうと思う。
人によっては、他の人のトレーも運んだりする。
たまにまだ食べかけの人のものを急かしたりすることもあるけど、これもその時々で職員が見かねたら間に入ればいいし、何よりそこでお互いにコミュニケーションが生まれることも大事じゃないかと私は思っている。

何度も言うが、ここはレストランではない。
家だったら、お母さんにサッサと食べなさい!とか理不尽に急かされたりすることもある。

言われたら嫌かもしれないけど、嫌だと思ったら自分で対応する勇気も頑張って出してほしい。

家にいたら誰とも会話がない毎日

高齢者にとっては、デイサービスなどの用事がない日は、まだ身体が自由に動く人でもほとんど座ってテレビの前で過ごしている、という人もいる。
そういう人にとっては、デイサービスは刺激的なところだと思う。
自分と価値観の違う人、自分と違う体験をしてきた人、身体がマヒして動かないけど頑張って動かしている人、身体は自由に動くけれど会話が成立しない人。
それに加えて、職員もいろんなタイプの人がいる。

そういう「自分と違う人」と出会い、いいこともいやなことも経験することは私はいくつになっても大切だと思う。
何が大切なのかと言うと、身体機能の維持に大切だと思うのだ。

本能的に、嫌なことに対しては人間は頭を働かせようとする。
だから、デイサービスでは、もちろん笑いも喜びもあるし、いいことをたくさん経験して帰ってほしいけれど、人間関係でいやなことやトラブルがあること自体は仕方がないし、それをまったくゼロにする必要もないのかなとも思う。

だって家だったら兄弟がいたらケンカするでしょう?
こうしたら相手は傷つく、とかやりすぎたなとか、そういうことを兄弟喧嘩から学んで少しずつ社会性を身につけていく。

利用者さんをみていると、「この人はいやだ」と最初は言っていた人同士が仲良くなっていたりすることもある。
だから、このデイサービスでは座る場所はあまり固定せず、いろいろ変えてみたりする。

デイサービスではとくに、老人ホームなどと違って、辞めたりする人が頻繁に発生して流動的なので、席順もコロコロ変わる。
私はこの「流れている」感じが風通しがよくていいなと思う。

コップなども洗ってもらう

女性中心だけど、みんなで使うコップも洗ってもらうようにした。
長年主婦をしてきた人たちだから、台所周りの仕事は楽しいと思う。
洗う量の加減は必要だけれど、サ高住などの施設から来所する人にとっては、デイサービスから帰った先でも料理や洗い物をする機会はない人もいる。
身体は動くのに、もったいない。
職員にとっては、この人はこういうことならできるのではないか?
と考えたり、トライ&エラーをしてみることは、お互いの成長にもつながると思う。
ここでも、うまくいくことだけがいいことではないから、小さいことは気にしなくていい。
しつこいようだけど、大切なことは、「残存機能の維持」だし、もっと大きなくくりでいったら、いいこともいやなこともあるけれど、このデイサービスを「家=ホーム」と実感してもらって、仲間と一緒に生活する場所と思ってもらいたいし、その中に自分にも役割があると実感してもらいたいからだ。

お客様ではなく、家族

人手不足、超高齢化社会の中、デイサービスでは利用者さんをお客様扱いしていては回らなくなった。
それを補う意味もあり、「できることはやってもらう」方向に舵取りを始めた。
これはいい循環が生まれそうだと、私も感じている。
いくつになっても、本当の喜びは、お客様になってサービスを受けることではなくて、「誰かの役に立つこと」だと思うからだ。

できる人、できない人がいる。
平等ではない。
でも、それも受け入れて、補い合う。
排除しないで、支え合う。
たまに、怒ったりする人もいるけれど、
家族ってそういうもんだと思う。
親ってだいたい怒っている。理不尽なこともある。
スマートな集団じゃなくてもいい。
もっと大きなくくりでは、ここは家であり、家族だと思おう!

愛があれば大丈夫。
少なくとも、スタッフはそういう姿勢でいる。
そこが1番大事。

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