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メンテナンスが大変だけれど、20年愛用しているもののおかげで豊かな時間をもてている。

正月そうそう、やかんの焦げつきをそうじした。
やかんはウサギジルシのこちらのポッド。

もう20年くらい愛用している。
何度か落としたりしてあちこち欠けて白地が剝げているところもあるけど、
毎日かかさず使う道具のひとつ。

一人暮らしなどになったり、もっとミニマムに暮らして持ち物を整理したとしても、このポッドは持ち続けたい、と思うだろう。

お湯だけなら鍋でも沸かせるし、お湯を沸かすと、取っ手がとても熱くなるので、ミトンをつけないと触れない、そもそも定期的に焦げついて変色してくるので、メンテナンスが必要だったりして、とても面倒なのに、
このポッドを他の便利なものに置き換えようと思ったことはない。

焦げつきが多いのはいそがしく働いている日々の証拠(あかし)

こげついたら、時間のあるときにお鍋を作るときようの大きな鍋にたっぷり湯をわかし、そこにポッドをいれて、セスキソーダを入れて、沸騰させ、
しばらくしたら激落ちくんでこすり落として、こげをとる。

ポッドが焦げつく原因は、ポッドの表面が濡れたまま、火にかけるため。
でも、日々のいそがしい日常の中でゆっくりポッドの水気をふいてから火にかける余裕などはない。
夫もまだ同じ。

それでも、朝いちばんにこのポッドで白湯を入れて飲む、
出勤前に夫がコーヒーをいれてくれてひと時の団欒をする。

焦げ付かないように水気をふいてわかす心と時間の余裕はないけれど、
このポッドでお湯をわかす時間は豊かな時間の象徴でもある。

だから、少しだけ時間があったら、
日々一緒にがんばって働いてくれているこのウサギジルシのポッドの焦げをとる。

たくさん、こげついていたら、たくさんがんばったんだね、
とポッドとがんばって働いた夫婦の時間をねぎらう。

そんな思いも込めながら、焦げつきを取り除く時間は、
私にとっては省略可能、効率優先がのぞましい、ただの家事労働時間ではもはやない。

時間泥棒にとられない時間にするために

時間は同じように、一方向に、一定に流れている、
というのは幻想だと思う。

私にとっては、ポッドを使ってお湯をわかすとき、
ポッドを使ってお茶をいれるとき、
いつもとは違う時間空間が広がる気がするからだ。

20年一緒に過ごしてきた道具には、
そんな力があっても不思議はないかもしれない。
そんなふうに思う。

だからこれからも、
このポッドでお湯を沸かすこと、
このポッドでお湯をわかして白湯を飲むこと、
このポッドでお湯を沸かして珈琲をいれること、
そしてそのコーヒーとともに過ごす時間を大切に守ることで、
効率優先の時間どろぼうに時間を盗まれないようにしていきたい。


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