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劇場屋根裏の鳩

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映画・演劇・歌舞伎など、見てきたものの感想など
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そこらへんの鳩がうっかり歌舞伎見物にはまった話

もっちりデミタスさんのアドベントカレンダー(2023)寄稿です。 はじめに歌舞伎、見たことありますか。見かけたことがある方は、まあ日本人なら誰しもでしょう。白塗りの顔と赤い隈取り、あとなんか髪の毛ぶんぶん振るやつ。他には、男性が女性を演じる、というところくらいがおもな印象ですかね。不肖鳩はだいたいそんな感じのイメージでした。 もとより、いろんな事物について、ほんものを見たいと思っている鳩ではございまして、こと演劇や舞台芸術につきましては興味のあるものですから、歌舞伎もだいぶ

【音楽鳩】威風堂々・新世界より ほか(伸友フィルハーモニー管弦楽団 第1回定期演奏会 / 鎌倉芸術館 大ホール)【感想】

以前よりたまに拝聴しておりましたゆる言語学ラジオの姉妹番組、ゆる音楽学ラジオのパーソナリティ・浦下さんが運営する「伸友フィルハーモニー管弦楽団」の第1回定期演奏会に行ってきました。おそらくこういったコンサートに行くのは初めて。 1日予定を詰め込んだ日の最後がこのコンサートだったため、眠くなったらどうしよう……など思っていたのですが、杞憂でしたね。 演奏する人を見るのも、指揮者を見るのも、音楽を聴くのも楽しかった。 プログラムは目次の以下三曲。 「新世界より」以外の曲は実はあ

【映画鳩】関心領域【感想】

予告の時点から、絵作りはスタイリッシュなものの悪趣味だなあと思っており、その印象は覆ることはなかった。それ以上でも、それ以下でもない。悪趣味極まるけれども、それを突きつけられるように見る映画です。 (注:以下ネタバレあります) アウシュビッツ強制収容所の真隣に住んでいた、ドイツ人将校家族の視点で流れていく話です。ただずっと、その家族の生活が映し出されていくのみ。ほんとうに普段の生活、父は仕事に行き、母は家のことをやったり子どもたちを学校に送り出したり。父子連れ立って川に遊

【歌舞伎鳩:番外編】三人吉三(五月シネマ歌舞伎)【感想】

先にパロディのような演劇を見ていましたが、あれが結構忠実に話を進めていたことをようやく知った。確かにこの演目を見ると、どうにかこうにかハッピーエンドにしたいかもしれない。 以下引用はあらすじ。 三人の吉三にまつわるあらゆる巡り合わせを絡めて構成されている話で、もうこれがうまく作られているのがただただすごいなあと、そこばかりに目がいきますね。途中で和尚に全ての情報が集約されてしまうところ、ここで観客にも全ての因果を理解させるように作られているのが構成の妙。 三人の吉三が同等に

【歌舞伎鳩】福叶神恋噺ほか(歌舞伎町大歌舞伎 / THEATER MILANO-Za)【感想】

中村屋さんだ!ということで意気揚々とお切符をとっていたら、なんとその後もう一枚いただくという謎の事態が発生しましたため、2回見ました。どちらも1階G-H列5番あたり。花道(仮)が近く、役者さんがみなさん大変近くを通って行かれました……。 正札附根元草摺 ざっくりとしたあらすじ: 父親を討った仇である工藤祐経の屋敷に向かおうとする曽我五郎(中村虎之助)。それを引き止めようとする小林朝比奈の妹・舞鶴(中村鶴松)。 ただ引き止めるだけでは五郎は止められないと悟った舞鶴は、男女の

【歌舞伎鳩】毛抜ほか(團菊祭五月大歌舞伎 / 歌舞伎座)【感想】

見てみたかったやつ〜と今月も呑気にお切符を取ったわけでございますが、先日見た「鳴神」と「毛抜」、同じ作品の別の場面なんですね、知らなかった。またひとつ学びました。 鴛鴦襖恋睦 おしどり ざっくりとしたあらすじ: 源氏方の河津三郎(尾上松也)と平家方の股野五郎(中村萬太郎)は、遊女喜瀬川(尾上右近)をめぐって相撲で勝負をする。勝ったのは河津。遺恨を残す股野は、人の心を狂わすという雄鴛鴦の生き血を酒に混ぜ、河津に飲ませた。 つがいを殺された雌鴛鴦は、喜瀬川の姿を借りて、河津の

【歌舞伎鳩】鳴神ほか(前進座歌舞伎公演 / 東京建物Brillia HALL)【感想】

鳴神が見てみたかったので、行ってきました。劇場に行くと配布されるチラシの、あの冊子のような束の中で見かけて行ってきたわけですが、結構色々なところで歌舞伎って公演をしているんだな〜。歌舞伎を見たことがなかった時は全然知らなかった。やはり己の中で何かの解像度を上げることは、世界を広げることでありますね。 👒は鳩的好きな演目 雪祭五人三番叟 三番叟のめでたい踊りの中で、ラストに雪が降るのが良かった。三階席から見ていたんですが、だんだん降り積もっていく雪に、踊る人たちの軌跡が描か

【文楽鳩】和田合戦女舞鶴ほか(令和6年4月文楽公演 / 国立文楽劇場)

ちょうどよい時間で見られそうだったので、見てきました。大阪・国立文楽劇場。劇場に入ると、でっかいお人形の首にお出迎えされます。 奥の方にちょっとした資料展示室があり、こちらも面白かった。あまり余裕を持って入らなかったので時間が足りなかったのが悔やまれます。次行く時はもうちょっとちゃんと見たい。 団子売 団子売りの夫婦が、お団子を売りつつめでたく踊るわけですが、見ていて明るくて楽しかった。昨年歌舞伎座でかかっていたのも見ておけば良かったかな。 お人形が踊る、というのはどう

【舞台鳩】朝日のような夕日をつれて2024(番外:殴り書き感想編)

一月ほど前の私が、別の舞台を見た時に、目についたチラシからこのチケットを(ちょっと無理して)買っており、先ほど見てきたわけでございます。 きっと有名なんでしょう、私は浅学で全然知りませんでしたから、きっと今、こんなにバカみたいに騒ぐのはおそらく私くらいなのかもしれない。けれどそれでも書かずにはいられなかったので、これは番外編です。鳩は正気を失っている。普段はあれでも考えて、メモを構成し直し感想文に仕立て上げているわけでございますが、今日のこれは、いったいそのまま書き殴りです

【歌舞伎鳩】松竹梅湯島掛額ほか(四国こんぴら歌舞伎大芝居 / 旧金毘羅大芝居・金丸座)

あ〜〜〜〜〜うっかり!!! うっかりお切符が手に入っちゃいましたね!!! いや〜〜〜〜うっかりなんでね、行かなければですね琴平まで。 ということで行ってきました。香川県琴平市。行ってみたかったんですよ金比羅宮……。もちろんサンライズ瀬戸でごろ寝をし、朝のうちに琴平山に登り、霧深い奥社まで行ってまいりました。山。奥社は果てしなく遠かった……。そして登ったり降りたりしたのちに満を持して金丸座です。 お昼に食べたうどんもさすがに美味しかった。 👒は鳩的好きな演目 👒松竹梅湯島掛額

【舞台鳩】剣劇「三國志演技〜孫呉」

三國志……全然通ってきていない……大丈夫だろうか……と思いながら見に行きましたが、問題ありませんでした。よかったよかった。 あらすじ 一部が本編(物語)、二部が特別御前試合(スペシャル殺陣ショー)という構成。 まずは本編。 三國志を通ってきていなすぎて、名前が……覚えられない……(いつもの)というのはさておいても、しっかりとキャラクターが作り上げられているのでわかりやすく、ありがたいところ。 主人公(孫策)の父との確執の話であり、その親しい人との死が受け入れられずに狂っ

【歌舞伎鳩:番外編】刀剣乱舞 月刀剣縁桐(四月シネマ歌舞伎)

ついに……ついに……! BD / DVDがでます!!! 出ますよ!!! ダイレクトマーケティングをします。 ちょうどひとつきくらい後、2024年8月28日発売です。 発売は水曜日ですね、愛さなくなるまでは愛してる。 刀剣乱舞というコンテンツの一解釈として鳩は大変面白く見ましたし、この演目とても好きです。 千秋楽の配信以来久しぶりに見ましたが、やはり良いですね。映像のカットが配信とも違う気がする。まだまだ見えていなかった目配せなんかもあって、色々な発見がありました。 この演

【歌舞伎鳩】夏祭浪花鑑、於染久松色読販ほか(四月大歌舞伎 / 歌舞伎座)

毎年四月は、仁左衛門さんと玉三郎さんの公演なんでしょうか。 昨年のこの月にうっかりビビり散らしながら歌舞伎座に行ったのが全てのはじまり。なんともう一年も経ちました。光陰矢の如し、恐ろしいですね。何より恐ろしいのはそこからほぼ毎月歌舞伎座にいることでもある。 歌舞伎、恐ろしい。恐ろしく素晴らしいので、まあ皆さんもぜひ幕見にでも行ってみてください。 👒は鳩的好きな演目 👒夏祭浪花鑑 ざっくりとしたあらすじ: 出牢した団七九郎兵衛(片岡愛之助)は、妻・お梶(中村米吉)や息子・市

【舞台鳩】マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』(東急シアターオーブ)

昨年図らずも「ロミオとジュリエット」の話の内容を割ときちんと知ったため、今なら見れると思い立ち、駆け込んできました。 こういうダンスの公演を見るのは初めて、内容分かるだろうか……などとちょっと不安に思いながら行きましたが、結果としては全然問題なかったです。 マシュー・ボーンについても名前と振付師?という程度しか知識を持ち合わせておらず、以下引用します。 今回は『ロミオ+ジュリエット』ということで、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の翻案作品。舞台は現代、若者を矯正する