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木の実みて このまま数を 数えかけ 慌て税理士 紅葉見上げ 

ある税理士はこの日は休日を取ることにした。年が明ければ確定申告で忙しくなる。特に今年はインボイスなるものが始まって初めての確定申告なので何かと大変なことが予想される。

今のうちに休んでおかないと来年は精神が持たないと思った。普段は数字との睨めっこ。だから選んだのは数字とは無縁のところ、知る人ぞ知る穴場の紅葉スポットだ。

「みんなここはアジサイのスポットと思っているが実は」といってある公園に向かうと、税理士の予想通り紅葉の木々は赤い葉をつけている。
「これを見ているだけで癒される」税理士は穴場で人がいないのも好きな場所の理由であった。

「人が多いところは疲れる。特に取引先の会社の社長などいたらもう休憩でも何でもない」税理士はそう言いながら木を見上げたが、ふと視線を下に向けると多くの紅い落ち葉が落ちていたが、その中にどんぐりが多く落ちていた。

「木の実か」税理士はそう言ってどんぐりを手に取る。見るといっぱいのどんぐりだ。税理士はここで職業病になった。思わず落ちているどんぐりをこのまま数えだしたのだ。「おっと、まずい!休憩にならないよ」税理士は職業病を抑えた。

「こういうときはっと」税理士は思い直して紅葉に視線を送る。しばらくすると手にしていたひとつの木の実を見た。そして、税務の数字とは正反対の頭を使うような気がしている短歌を詠んだ。

木の実みて このまま数を 数えかけ 慌て税理士 紅葉見上げ
(きのみみて このままかずを かぞえかけ あわてぜいりし こうようみあげ)

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:木の実このまま税理士

今日はこちらの記事「河内長野の河合寺はアジサイ以外にも紅葉が楽しめる穴場」をモチーフにしています。

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