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今年の話題書『なぜ働いていると~』から、読書について考えてみた

今年話題になった本といえば、誰もが納得の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』がランクインするかと思います。

この本は年間ベストセラーの総合ランキングにも入ると思っていたので、ちょっと意外。(新書ノンフィクション部門では堂々の一位です)
年間ベストセラーについてはこちらにランキング掲載しました👇

Amazonの購入履歴によると、私は2024/4/22に購入しているそうです。発売後すぐに買っていますね👀
恐らく、新刊案内か何かで目にして、タイトルと帯文言「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」に激しく共感して即購入したのだと思います(笑)

何を隠そう、私も疲れていると読書ができなくなる一人だったから。
ダラダラしたくないのに、スマホを見て一日が終わってしまう。そんな自分をよく思っていないのも確かでした。

本書の要約&読後感

これまでの労働観の変化を丁寧に分析した一冊で
結論としては、
全身全霊で働くのを辞めよう
これからの時代は半身で働こう

ということが述べられています。

この本に関してはいろんな方がいろんな感想を投稿しているので、私の感想は一言だけ。
私は昭和世代ではありませんが、昭和のスポ根的な思考があるのか、「全力は美である」という考え方を持っています。
三宅さんも全身全霊で何かに打ち込むことを否定しているわけではないので、語弊がないように書くのが難しいのですが、、、

努力は必ず報われるとは限らないけれど、
努力は必ず実力になる

これが私のモットーです。努力が成果に繋がることは少ないかもしれませんが、その努力は確実に自分の実力を上げている。そう思って、日々仕事に打ち込んできました。

三宅さんの本に触発されてか、今年は読書に関する本を結構読んだ気がします。その中で特に心に残ってメモしていたことをまとめてみます。

「読まない本」にこそ豊かさがある

まず紹介するのが、長田弘さんの『読書からはじまる』。
裏表紙の説明文にビビッときて、読んでみました。

「読まない本」にゆたかさがある。「たくさん読む」が正解ではない。「一生忘れない」なんて嘘? 最も長く、最も深く人類と共に在り続けてきた「本」というエディアは、私たちの想像よりもずっと優しく、あらゆることを許してくれる友人だ。本はあなたを孤独にしない。読書が苦手、活字に疲れた――そんな本音にもあたたかに寄り添う、「人間」を楽しむ至高のエッセイ。
――裏表紙より

「読む本」「読むべき本」が、本のぜんぶなのではありません。本の大事なありようのもう一つは、実は「読まない本」の大切さです。

『読書からはじまる』より

一度読んだら忘れられない、一生心にのこる、一生ものだ、という褒め言葉をつかいます。こんないんちきな話はありません。人間は忘れます。だれだろうと、読んだ本を片っ端から忘れてゆく。中身をぜんぶ忘れる。(中略)読んでしばらく経ってから、これは読んだっけかなあというような本の方が、ずっとたくさんあるはずです。

本の文化を成り立たせてきたのは、じつは、この忘れるちからです。わすれられない本というものはありません。読んだら忘れてしまえるというのが、本のもっているもっとも優れたちからです。

『読書からはじまる』より

本は読まない本にこそ、人生の豊かさがある。
読んだ内容を忘れてもいい。それこそが再読の価値なのだ。

そう言い切る長田さんの文章に、すっきりとした爽快感がありました。
多くの人が、本は読まなければいけない。そして読んだ内容を覚えていなければ意味がない、と考えがちですが、そのアンチテーゼを提唱しているのです。
他にも心に刻んだ言葉を3つ

いい本というのは、そのなかに「いい時間」があるような本です

『読書からはじまる』より

人は言葉でできている
(中略)
肝心なのはそういう言葉にちゃんと出会えるかどうかであり、問題はそういう言葉と出会えるような言葉との付きあい方を、自分にうまく育てていけるかどうかです

『読書からはじまる』より

本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。

『読書からはじまる』より

読書とは、自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすこと。
この表現がいいですね。

無理して本を読まなくてもいい

続いて紹介するのが『本を読めなくなった人のための読書論』。
随筆家として有名な若松英輔さんの本です。

本を読めなくなったのは、内なる自分からのサイン。だから、読めないときは、無理をして読まなくていい。
読めない本にも意味があるから、積読でもいい。
知識を増やすためではなく、人生を深いところで導き、励ます言葉と出会うためにする読書。

『本を読めなくなった人のための読書論』より

この本も、本はすべてを読まなくていい、始めから読まなくていい、と読み手に寄り添う形で進んでいきます。

ほんとうにつらければ、本を読む必要はありません。この世界には私たちを豊かにしてくれるものは読書のほかにもたくさんあります。
(中略)
花をほんとうに美しいと思えば、花をめぐって書かれた本を探し出し、ある画家の絵に打たれれば、その人物をめぐって書いた本に出会うでしょう。
(中略)
本を読めなくなったのは、本を読むことが、よろこびではなくなったということです。本がふたたび読みたいと感じるということは、これまでとは違うよろこびを感じるようになったということです。

『本を読めなくなった人のための読書論』より

この本は、タイトル通り、本を読めなくなった方のための手引書で、本を読めるようになるために、各章の終わりに「この章を実践するための10のポイント」でまとめられています。

三宅さんの『なぜ働いていると本を読めなくなるのか』を読んで、もっと本を読みたいと思った方には、著者がおすすめする具体的な読書術が書かれているので、一読してみるとよいかもしれません。


読み方にはコツがある! 読むが10倍楽しくなる38のヒント

もう一つ、少し軽めの視点からおすすめなのが『物語のカギ』です。
YouTuberでもあるスケザネさんが書いた処女作で、30代ということもあり、古今東西の様々な本を引用しながら物語を楽しく読むためのポイントを紹介してくれています。

物語をより味わいたい方向けにオススメです。


読書とは単に情報を得るためのものではない

こうして振り返ると、読書というのは私にとっては単に情報を得るためのものではなく、読書を通じて、体験や感動、言葉との出逢いや気づきといった、様々なものを得ている気がする。
それが人によっては映画だったり、音楽だったりするのかもしれませんが、本というモノを通じて、自分と向き合う時間をもらっている気がします。
それはどんな本でもそうで、絵本や児童書など子供向けに書かれたものを読んでも、ハッと気づきがあれば、それはよい読書時間だったと言えるのだと、私は思います。 



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