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オレは高校には行かない
「オレは高校には行くつもりはないんだ。」
中学1年個別級在籍で、今は2週間に1回、短時間登校(相談室→個別→給食前に帰宅)をしている長男が言った。
長男は人とは違う自分をよく知り、自分に必要な選択ができる人だと思う。
人と関わることを必要とせず、教育を受けさせられることを嫌い、自分は学校の教育を必要としないという意志を持っている。
そんな長男の意志と、周りの反応を言葉にして、自分の気持ちを整理しようと思う。
学校教育とはなんだろう?
長男は小学4年から学校に行かない選択をした。
実際には小学4年になったころにやっと私と腹を割って話ができるようになり、長男の考えを私が受け入れられるようになってきただけで、長男は保育園や学校に行きたくないのをもうずっとガマンしていた。
保育園の頃から、人との違いや自分の気持ちがわかっていたらしいから。
学校に行かない間、長男はグッと成長した。
人とのコミュニケーションとか、人と活動するとか、そういう苦手なことはもちろん苦手なままだけれど、長男の得意な思考力、判断力、観察力はグングン伸びた。
長男は、学校教育は必ずしも必要ではない、と考えている。
私が「人とうまく関わるスキルとかさ、計画・実行力とかさ、人前での発表の機会とかさ、机の上でやるような勉強以外でも、社会で必要になるスキルを学ぶ場でもあるんだよ?」
と話すと、
長男「必要なスキルだっていうのはわかるよ。だけど今、オレが学びたい内容ではないし、必要な内容でもない。
オレは人の中にいるのは難しいから、苦手なことを苦手な中で学ぶよりも、今の自分にできることを時間をかけて伸ばしたい。」
と話す。
私「私は世間や親がいいということを一生懸命頑張って、いい成績や資格を取って働くということを目指し、一直線に向かっていったし、置かれた場所でどう花開くかをいつも考えて頑張ってきたと思う。
だけど、今思えばそれが好きなことかどうかなんて考えてこなかったし、そもそも自分はどんな人間かなんてことも向き合ってこなかった。
勉強ができていい成績が取れたらいい仕事ができると単純に思っていたけど、実際には必要なスキルはたくさんあって、私は多分、学校生活でそういう視点を持って学べてこなかった人間だと思ってる。
だから、確かに学校に行けば何でも学べるわけではないし、人によって学ぶ内容や質は全然違ってくると思うし、学校に行かなくても学ぼうと思えば学べるよね。
ママは最近それをやっと実感できるようになったけど、長男はそういうことをめちゃくちゃ考えてきたんだね。」
私は特性上、教えてもらわないとわからない人間だし、気づく力も弱いから失敗して実感しないと思考の切り替えすら難しかったりする。
でも長男は違うんだよね。
見てる視点も考える幅も、私には想像できないことをいっぱい考えてるんだと思う。
長男は自閉スペクトラム(AS)(←あえてDはつけていないのだけど、今は本人にとって障害じゃないから)の特性があり、少数派の脳のタイプだ。
話していると、私がいかに考えずに過ごしてきたかをヒシヒシと感じるくらい、長男の世界は深い。
そんな長男が学校に行っても、すでに知ってることかやりたくない(自分には必要ない)ことかのどちらかしかないのかもしれない。
親としての葛藤
長男はアウトプットがかなり弱いため、発達検査をすると思っているよりも低く出る。
アウトプットするのにものすごく時間もかかる。
だけど、インプットや思考の部分はものすごく強いと感じてるのね。
アウトプットの場は学校ではなくて、ゆっくりとマイペースに、誰かの目がない方がいいのだと思う。
長男は今、学校に行かない日はネットスクールで自分のペースで勉強を進めてる(今は学習レポートを提出すれば出席日数にカウントされるから、本人の罪悪感も減ってありがたい)。
好きなもの(フワフワなかわいいグッズ)に囲まれ、好きなことをやり、決めた時間は勉強し、とても楽しそうだ。
それがわかっているけれど、親だからね、いろいろと不安になる。
だから一応、一般論を伝えておく。
選ぶのは長男だけど。
私「長男くんはさ、体力ないから体力勝負の仕事はキツいと思うんだよね。
そうなると学歴を持っていた方が仕事をする上では有利になる。
それか何かの実績ね。
どんな分野でもいいんだけど、何かの大会で入賞したとか、作品が選ばれたとかさ。
何かあると心強いというか。
それが好きなことだったらいいよね。
必ずしも学歴が必要なわけではないけど、学歴は一般的でわかりやすいんだよね。」
長男「そうなんだよね。高校には行かないけど、いろいろ考えてはいる。
答えはすぐに出ないけど、でも自分が難しいと思った場所ではやっていけないと思うから。」
うん。一緒に考えていきたい気持ちはたくさんあるけど、役不足は否めないしなぁ。
私も学び、世界を広げていこうと思うよ。
主治医と校長先生
今日は午前中、長男のお薬をもらいに(睡眠を助ける薬)主治医のところに行ってきて。
現状、とても安定して過ごせていること、自分のペースで楽しめていることを伝えた上で、高校の話も出してみたのね。
主治医の視点は、
「以前は言われたことを我慢してやろうとしてしまうところがあったけれど、今はそうやって、お母さんが言ったことに対して自分の意見を言えているんですね。」
ということだった。
AS特性のある人にとって、とても大事な考え方は「自己選択」。
精神科医だから、将来的に自分で働いて生活できるかという視点よりも、将来的なメンタルの安定を大切に考えてくれているのだろうと解釈。
また、
主治医「ここまで中学生で到達できる人ってなかなかいないので、きっと小学校のときの葛藤があったからなんでしょうね。」
さすが、主治医。
日頃を見ているわけではないのに、このタイプの子どもの成長をたくさん見てきているのだろうなぁと感じる。
主治医はたった一言で、どんな人にも心を開かない長男の信頼を一瞬で得たのよね。
どんなときでも一般論ではなくて、少数派の見方で必要な言葉を選んでくれるから。
私は一般論からなかなか離れられない。
長男の主治医と話すと、見ている世界や視点が切り替わるから、診察の数分だけどものすごく大切な時間だったりする。
否定されたら嫌だなと思いつつも、つい気になることを話してしまい、結果、視点を切り替えてもらえてる気がしてる(最初は落ち込むだけだったけど)。
校長面談で
今日の午後は中学の面談で、個別面談→校長面談と結構ヘビー。
でもね、この校長面談でもタイムリーな話が出て。
私「特殊な形での登校をさせていただいてますが、先生もよく見て気づいてくださり、結果、定期的に通えているのでありがたいです。」
校長「余計なことかもしれませんが、長男くんは個別級にいる子ではないから(知的な遅れがなく、本来なら一般級にいるという意味で)進路については早いうちから考えておく必要があると思いますよ。
内申が出ないので、入試は不利になりますからね。」
私「本人は高校に行かないって強い意志を持ってます。行きたいけど難しい、ではなくて、教育を受けるということに対してその選択をしない、と考えています。
親としてはどう応援していこうか、悩むところなんですが。」
校長「そこまでハッキリと考えているなら、その選択肢で考えるしかないのだから、それでいいと思いますよ。
教師が退職後、サポート校を設立している声をよく聞きますが、今は不登校の子に限らず、普通に学校に通っていた子もサポート校に流れているみたいですしね。
それはどういうことかというと、感染拡大での休校で学校に行かなくても大丈夫なんだ、と気づいちゃった子たちなんだと思うんです。
長男くんも気づいちゃったひとりでしょう。
まぁ、お金はかかりますけどね、いいと思いますよ。
この中学でやれないことはできないけど、やれることはやりたいと思ってますから、何でもおっしゃってください。
無理はさせずにね、やっていきましょう。」
ああ、一般論で話さない人がここにもいた…と思って、程よく力が抜けた。
校長「我が子が全然違う道に進むっていうのは、不安が大きいだろうけど、同じ道に進む方が言葉が厳しくなったりするので、それはそれでなかなか難しいものです。
全然違う道に進む方のはドキドキすると思うけど、一緒に夢も見られるし、楽しめますよ。
他人だから言えることでしょうけどね。」
なんて話もあった。
ホントにそうだ、違う人生を歩む擬似体験ができる。
自分とは違う人生を歩むことを楽しむ
校長先生の言うとおり、違う人生を歩むことを楽しめたらいいのだなぁ。
違う人間だし、違う考え方を持ってるわけで。
自分には選択しなかった、できなかった選択をする子どもの人生を、見守ることを楽しませてもらおう。
心配や不安を興味・関心に。
捉え方や見方を変えたら、いくらでも世界は変わっていくよね。
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