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読書記録📖

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📕時にネタバレ御免🙏の、無責任に楽しんで書いた読書記録を集めました。ちらっとのぞいてもらえたら嬉しいです🐱
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読書記録㉕『火花』又吉直樹著

読書記録㉕『火花』又吉直樹著

今更だけど『火花』を読んでみた。ご存知の方も多いと思うが『火花』は人気お笑いコンビ、“ピース”のボケ担当、又吉直樹によって書かれた小説だ。2015年に出版された当時、ものすごく話題になり芥川賞を受賞。また、ドラマ化や映画化もされている。
本好きの人なら我先にと、書店で単行本を手に取ったのではないだろうか。しかしへそ曲がりな私は、流行真っ只中のものにはあまり興味が湧かない。『火花』について知っている

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読書記録㉔『代理母、はじめました』垣谷美雨著

読書記録㉔『代理母、はじめました』垣谷美雨著

図書館でこの本の背表紙のタイトルを見た時、「あれ、日本で代理出産は合法なんだっけ」とちょっと考えた。もちろん小説だから架空の設定でも問題はない。もしかしたら日本じゃなくて海外が舞台の話だということもあり得る。けれど最近の世の中の目まぐるしい変化を見ていると、知らない間に法律が変わっていてもおかしくない。何はともあれ、ちょっと気になったので借りることにした。

垣谷美雨さんの本は、以前にも読んだこと

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読書記録㉓『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤洋著

読書記録㉓『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤洋著

今回読んだのは児童書。2016年に3DCGアニメで映画化されたから、知っている人も多いかもしれない。主役の黒猫ルドルフ役の声優は、女優の井上真央さん。私は映画は観ていないが、宣伝していたのは覚えている。しかし原作が、昔からある児童書だとは知らなかった。教えてくれたのは、noteの記事にコメントをくれた方だ。
私は最近、一般の小説と一緒に児童書も図書館で借りることがある。児童書の世界は優しい。酸いも

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読書記録㉒『わたしに会いたい』西加奈子著

読書記録㉒『わたしに会いたい』西加奈子著

図書館で、西加奈子さんの一番新しい本に出会えた。迷うことなく本に手を伸ばした。少し前に彼女の話題作『くもをさがす』を素通りしてしまって以来、全くお目にかかれていない。チャンスは逃してはいけないのだ。
『わたしに会いたい』は8話からなる短編集。あらすじ、感想と一話一話述べていこうと思う。では、目次から書いていく。

【目次】

・わたしに会いたい
・あなたの中から
・VIO
・あらわ
・掌
・Cra

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読書記録㉑『花のベッドでひるねして』よしもとばなな著

読書記録㉑『花のベッドでひるねして』よしもとばなな著

ばななさんの本を手に取るのは、ちょっと癒されたい気分の時。もちろん普通に楽しむ目的で読むこともあるけれど。
専門的なことが書かれていたり、難しい言い回しがされていたり、物語の背景が複雑だったり。そんな本とは真逆の位置にあるのが、ばななさんの本。すごく優しい。「ゆっくりくつろいでいってね」とにこにこした顔で言われているような感じがする。たぶん、若かりし頃の自分もそんなふうに勝手に解釈し、ばななさんの

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読書記録⑳『大人になったら、』畑野智美著

読書記録⑳『大人になったら、』畑野智美著

二十代、三十代の女性の悩みといえば、結婚や出産、仕事のキャリアなどがはずせない。昔よりも大分、結婚や出産の平均年齢は上がった。とはいえ、世間の風潮や現実的な出産のタイムリミットなどから、焦りを感じる女性は少なくない。出産のタイミングを考えると、結婚を決める時期はそれより前になる。それと並行して考えなければならないのは、仕事のことだ。妊娠、出産、育児というのは、片手間にできるほど容易いものではないか

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読書記録⑲『去年の雪』江國香織著

読書記録⑲『去年の雪』江國香織著

十代の終わりか二十代の初めか、とにかく読書が楽しいと思えるようになってきた頃。私は一度ハマったら、同じ人の本ばかりを立て続けに読んでいたと思う。その頃の読書は、ちゃんと咀嚼して消化するようなやり方ではなかったけれど。江國さんの本も、その時期に貪るように読みふけった記憶がある。
『号泣する準備はできていた』『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』『落下する夕方』『神様のボート』。タイトルを目でなぞる

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読書記録⑱『太陽を掘り起こせ』ドリアン助川著

読書記録⑱『太陽を掘り起こせ』ドリアン助川著

著者のドリアン助川さんを知ったきっかけは、YouTubeで流し聞きしていたラジオの人生相談。ドリアン助川さんは、パーソナリティーを務めていた。変わった名前だな、と思った。いい声しているなぁ、とも思った。
人生相談に電話をかけてくる人の声は、当たり前なのかもしれないけど、みんな暗い。不平不満のある被害者の声。疲れ切っていて重たい声。パーソナリティーであるドリアン助川さんは、相談者の悩みを聞き出して心

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読書記録⑰『妻が椎茸だったころ』中島京子著

読書記録⑰『妻が椎茸だったころ』中島京子著

タイトルに惹かれて図書館で手に取った。“妻が椎茸だったころ”? 輪廻転生を鉱物や植物から繰り返しているという話だろうか。本の装丁はほとんど黒に近い茶色一色。表紙の左上に、小さく椎茸のイラストが描かれているだけ。とてもシンプルだ。そしてページをめくって目次を見ると、五つの変わったタイトルが並んでいた。

なんだか異世界に連れて行かれそうな、不穏なタイトルばかりに感じた。予測がつかないものって面白い。

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読書記録⑯『自転しながら公転する』山本文緒著

読書記録⑯『自転しながら公転する』山本文緒著

まだスマホもなかった時代。図書館で文庫本を数冊ずつ借りて、持ち歩いて読むのが娯楽だった頃。私がよく借りていたのは吉本ばななさんや江國香織さん、そして山本文緒さんなどの女性作家の著書ばかりだった。例によって、全く内容を覚えていないけれど、甘いだけじゃない大人の女性の恋や仕事や人生そのものの味を教えてもらった。読んだ後はいつも余韻でふわふわした心地になった。

今回読んだ『自転しながら公転する』の著者

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読書記録⑮『残りの人生で、今日がいちばん若い日』盛田隆二著

読書記録⑮『残りの人生で、今日がいちばん若い日』盛田隆二著

読書記録も今回で15回目。その日に読むページ数を決め、印象に残ったページや行には付箋を貼っていく。読み終えたら復習がてら、紙に人物関係図や話の流れを軽くまとめる。少しずつ書きやすくするための工夫もできるようになってきた。
でも毎回書く前は不安になる。これは読書記録に限らないけど、文章を書くとき、本当に最後まで書き切ることができるのだろうか、と。そして「また時間がかかるんだろうなぁ」と気が重くなる。

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読書記録⑭『あなたは、誰かの大切な人』原田マハ著

読書記録⑭『あなたは、誰かの大切な人』原田マハ著

作家、原田マハさんの存在は以前から気になってはいた。何度か彼女の本を手にとってパラパラとめくってみたり、単行本の帯に並ぶ推薦文だか紹介文を目でなぞったこともあったと思う。そこから“アートの世界に精通している”“海外について書かれることが多い”著者という認識が出来上がっていた。そこでなんとなく敬遠し、本を読む気になれずにいた。

敬遠していた理由を言語化してみると、“芸術の世界をあまり理解できない”

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読書記録⑬『愛なき世界』三浦しをん著

読書記録⑬『愛なき世界』三浦しをん著

この本は前々から少し気になっていた。著者の三浦しをんさんの書く世界観がすごく素敵だから。『舟を編む』『格闘する者に◯』『まほろ駅前多田便利軒』‥‥他にも何冊か読んだ。『舟を編む』は映画にもなった名著だから、知っている人も多いと思う。この著者の作品を読んでいつも思うことは「取材と下調べ、相当したんだろうなぁ」ということ。

小説家は壮大な嘘つきにならなければいけない。自分の知らないことでも、知ってい

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読書記録⑫『かさなりあう人へ』白石一文著

読書記録⑫『かさなりあう人へ』白石一文著

白石一文さんの著書は、過去に何冊が読んだことがあった。内容はほとんど覚えていない。でも長編向きな作家さんだなぁと思ったことは覚えている。推理小説でもないのに、点と点が繋がって一本の線になっていくさまをきれいに見せてくれるから。例えるなら彫刻のような感じ。徐々にその人の生き方、運命が浮き彫りになっていく丁寧な物語の描き方。
本は読み終わって数日もすれば内容を忘れてしまいがちだけど、著者それぞれの世界

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