あの夏の子: 4枚目
これは私の母の夏の1コマです。
時は、たぶん1950年(昭和25年)頃。
私が生まれる前、
20歳頃の母、私の会ったことのない母がここにいます。
小さな登山帽をまっすぐ被った、
あどけない笑顔。
70年以上前の写真を見る度に感じるのは、
あの戦争と東京大空襲を生き延びた、はち切れそうな生きる喜びです。
(母は10歳の時に戦争が始まり、14歳で終戦を迎えました。)
長く暗いトンネルを抜けて
あの夏、ふりそそぐ陽の光を浴びることができた喜び、大好きな仲間と一緒に山に登ることができた喜びは、今の私には想像もつきません。
(休みをやりくりして、近くは大菩薩峠から遠くは北アルプスの穂高岳、果ては槍ヶ岳まで登ったそうです。短い間だったけど、その時の仲間は一生の友達になったと聞いています。)
その後
それぞれの出会い、それぞれの選択をし、
それぞれの道を行く旅の入り口に立っていた人たち。
眩しかったあの夏の子を写真は覚えています。