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国際情勢:プーチン大統領について⑪
ロシアについて~エマニュエル・トッドの『西洋の敗北』から~(⑪は10,594字)
ここから先は、エマニュエル・トッドの『西洋の敗北』から、引用して、考察したい。
一度、紹介しているが、再度掲示する。
言語 :フランス語
表題 :La défaite de l'Occident 『西洋の敗北』
著者 :Emmanuel Todd エマニュエル・トッド
出版社:Gallimard ガリマール社
発行年:2024年01月11日
ページ:371
金額 :¥6,991円(2024年03月19日)
読了 :2024/05/30
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この本の内容に触れる前に、懸念を一つ伝えたい。この本はまだ訳されていない。
いずれ誰かが訳すと思うが、トッドのこの本を、訳したがらない人たちがいるかも知れない。
ある本を翻訳して出版する事は、ある程度、翻訳者は、その本の内容に合意した事になる。
全く内容に同意できない本を、報酬のためだけに、翻訳する人は、少ないだろう。普通は選ぶ。
本の内容に同意して、著者の意図通りに、訳してくれる翻訳者であれば、何の問題もない。
だが出版社も色々考えるし、翻訳者も、ゴーストライターという訳にもいかない。
何が言いたいかと言うと、トッドのこの本は、ちゃんと訳されない可能性がある。
別の本の話で恐縮だが、あるフランス語の本で、そういう事例を見ている。
その本は、メソポタミア文明に関する著作で、ハムラビ法典について、触れていた。
若い女性の研究者で、とある意見を述べていたのだが、和訳ではバッサリ削除されていた。
翻訳者はあとがきで、凄く婉曲な言い方で、不満を述べていた。この翻訳には監修者がいると。
翻訳の監修者は、ハムラビ法典の日本の研究者で、著作も刊行していた。
その内容を読んでみると、なぜ和訳で、若いフランス人女性研究者の意見が、バッサリ削除されたのか分かる。
若いフランス人女性の研究内容が、この日本人研究者の研究内容を、脅かすからである。
だからこの本の監修者になり、翻訳を阻止した。いや、あまつさえ妨害して、内容を改変した。
翻訳者は、自分はメソポタミアの専門家ではないと悔しそうだったが、意向に逆らえなかったようだ。
この日本人研究者は、学者として、やってはならない事をやっている。学問の自由を脅かした。
ただ世の中、こういう事は起きる。少数の人しか問題は分からず、大半の人は素直に和訳を受け入れる。
フランス語の原典を読めば、おかしい事はすぐに分かるが、読まなければ、分かりようがない。
トッドのこの本も、出版社の意向で、監修者が立ち、完訳と言えない内容で、出版されるかも知れない。
心ある出版社であれば、そんな事をしないだろうが、ないとは言い切れないと思ったので、懸念を伝えた。
杞憂かも知れない。少なくとも、フランスではちゃんと出版されている。だが他の国ではどうか?
英訳も不安である。要らない注がいっぱい付くかもしれない。特に英語圏では、反発が大きそうだ。
脅すつもりはないが、トッドのこの本は、そういう類の本である。ある種の人たちを激怒させる。
前置きはこれくらいにして、トッドの『西洋の敗北』に入る。
この本は、プーチンというよりは、ロシアに対する分析となる。なぜ西側は敗けるのか?見て行きたい。
まずこのタイトルから、想起されるのが、オスヴァルト・シュペングラーの『西洋の没落』1918年である。
タイトルは似ているが、内容はかなり違う。シュペングラーの『西洋の没落』は思想的だ。
それに対して、トッドの『西洋の敗北』はデータ的だ。一応、事実の羅列である。
だがそこには特定の見解があり、特定の配列がある。そしてある推理に導かれている。説得力がある。
あのフランスで、しかもフランス語で、やや重要な本が出る。こんな事が現代であるのか?いや、あったのだ。
ドイツ語ならいざ知らず、まさかフランス語で、少し重要な本が出るなんて、青天の霹靂だ。天に感謝だ。
まさかフランス語が、ものの役に立つ日が来るとは思いもしなかった。一生役に立たないと思っていた。
いつも、もっとドイツ語に、時間を割いておけばよかったと悔んでいた。ドイツ語は学問の王様である。
だがこの本を読んだ時だけ、フランス語をやってよかったと思えた。こういう事は本当に珍しい。
いつも、フランス語の本なんて、片っ端から焚書にしてやりたいぐらいだ。特に思想はけしからん。
この本は見せかけとは裏腹に、極めて宗教的な本である。この本に込められた宗教的な使命に気づかせない程に。
トッドは極めて、慎重に筆を進めている。怒り出す人たちがいるからだ。だが結局、隠す事には成功していない。
完全に隠してしまったら、この本の使命は達成されない。だから手加減しながら、書いたのだろう。
小手調べに、エンジニアの話から始めたい。この分析手法は、トッドのお手の物だからだ。
現在、アメリカの人口は3億3,000万以上と言われ、ロシアの人口は1億4,000万以上と言われている。
因みに、人口だけで言ったら、日本もロシアも、そう大して差はない、とトッドは言っている。
そしてトッドは、アメリカとロシアから、22歳から34歳の人口を抽出する。以下、原文からの拙訳だ。
両国の20歳から34歳の人口を考えてみよう。ロシアは2,150万人(2020年頃)、アメリカは4,680万人だ。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳
Prenons le nombre de personnes âgées de 20 à 34 ans dans les deux pays, soit 21,5 millions en Russie (vers 2020) et 46,8 millions aux États-Unis.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p51
米国では、人口4680万人のうち、40%の7.2%、135万人のエンジニアを抱えている。ロシアでは、2150万人のうち、40%の23.4%、200万人のエンジニアを抱えている。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳
Aux États-Unis, 7,2% de 40% de 46,8 millions de personnes donnent 1,35millions d’ingénieurs. En Russie, 23,4% de 40% de 21,5 millions en donnent 2 millions.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p51
何が言いたいのかと言うと、アメリカとロシアのエンジニアの数である。
人口では、アメリカがロシアの二倍以上だが、エンジニアの数になると、ロシアの方が多い。
アメリカ:ロシア=135万:200万である。このエンジニア数の差は、国力として大きい。
ロシアの技術力は、そのエンジニアの数によって、支えられている面はある。
最近でも、極超音速ミサイルの完成は、アメリカを驚かせた。イージスが破られるからである。
推定にはなるが、ソ連時代から、ロシアのエンジニアの数は、アメリカより多かったかもしれない。
もっと言うと、船大工でもあったピョートル1世の時代から、ロシアはエンジニアの数が多いのかも知れない。
冷戦期のスプートニク・ショックではないが、ロシアはいつも、科学技術で、世界を先駆ける。
ワクチンの是非はともかく、この分野でも、世界に先駆けて、最初にワクチン開発に成功している。
技術力だけで、西側も負けたりはしないが、少なくもロシアを侮る事は、愚かであるだろう。
アリストテレスの教訓(私は序文でそれを念頭に置いた)から、支配的な中産階級がなければ、社会はバランスのとれた、民主的で、リベラルなものにはなり得ないということが、西側で合意されてきた。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p52
Depuis la leçon d’Aristote(je l’ai rappelée dans l’introduction), il est convenu à l’Ouest que, sans classes moyennes dominante, une société ne peut pas être équilibrée démocratique, libérale.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p52
トッドによると、支配的な中産階級がなければ、その社会は衰退する、と持論を述べている。
この事は、1976年の処女作『最後の転落』 (La Chute finale)から一貫して述べており、ソ連崩壊を予言した。
社会における中産階層の役割については、実は当方で異論があるが、ここでは立ち入らない。
トッドは、『西洋の敗北』で、データを示しながら、西側社会の中産階級が衰退していると述べている。
つまり、技術力でロシアに負け、社会の基礎である中産階級でも、ロシアに負けていると言うのだ。
この状態で、西側諸国が、ロシアに戦争を挑む事は、自殺行為であり、勝てないと、トッドは考えている。
あるいは、戦争をしなくても、西側の衰退はハッキリしており、ロシアに遅れを取ると考えている。
その理由は宗教だ。ロシア正教は生きており、西側の宗教は、全般的に死んでいるからだと言う。
特徴的な例として、LGBTQを取り上げている。宗教が死んだ地域では、LGBTQが伸びると言う。
結果、社会からモラルが欠如し、カオス状態になって、技術も、中産階層も、衰退すると言う。
大胆な推論であるが、概ね正しい。だがフランスでも、猛烈に叩かれた。トッドは窒息死寸前だ。
これは新説ではない。マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』がある。
トッド自身も『西洋の敗北』で言及しているが、同じ発想の逆プロセスからの推理だ。
つまり、ヴェーバーの『プロ倫』が正しいなら、トッドのこの説も正しいという事になる。(ヴェーバーは、プロテスタントの信仰が、西側社会の中産階級を成長させたと考えている)
なおトッドは、religion zéroという言葉で、社会から宗教がなくなった状態を呼んでいる。
トッド自身は、信仰について、立ち入っていないが、religion zéroだと社会がどうなるか、述べている。
これがタイトルにもある『西側の敗北』『西洋の敗北』だ。ロシアの勝利、東側の勝利ではない。
トッドは、宗教にも立ち入らないし、LGBTQにも立ち入らない。ただ効果だけ述べている。
そしてデータからシミュレーションしてみると、恐らく社会はこうなる、と予言している。
同じパターンで、ソ連の崩壊を予言して、当てたので、馬鹿にはできないだろう。ただ都合が悪い。
だから滅茶苦茶、叩かれた。本人も、もうフランスでは、発言ができないと述べている。
トッドが日本に逃げて来たのは、先進国で唯一LGBTQが弱いからだ。北米と欧州は、完全に汚染されている。
これは一種の思想的亡命だろう。LGBTQが、どれだけ社会に有害なのか、トッドは暴いてしまったからだ。
この人はなるべく相手を刺激しないように間接的に、さりげなく言っているが、相手も馬鹿じゃない。激怒する。
多分、本当はもっと言いたい事があるのだろう。だがあまり言い過ぎると、マジで殺されるので、言えない。
エマニュエル・トッドは、70歳の政治家ドミニク・ド・ビルパンと並んで、最後のフランス人かもしれない。
アデュー、フランス、もう君と会う事もないだろう。次会う時は、地獄の底かな?
なおトッドのreligion zéroという言葉の定義は、以下である。
もし同性婚が異性婚と同等であると考えるならば、その社会は宗教ゼロの状態に達していると言える。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p158
Si le mariage entre personnes de même sexe est considéré comme équivalent au mariage entre des personnes de sexes différents, alors nous pouvons affirmer que la société concernée a atteint un état zéro de la religion.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p158
この文章の後、トッドは西側諸国で同性婚が認められた年代を列挙する。全て21世紀に入ってからの話だ。
オランダ2001年、ベルギー2003年、スペインとカナダ2005年、スェーデンとノルウェー2009年、デンマーク2012年、フランス2013年、イギリス2014年、アメリカ2015年、ドイツとフィンランド2017年。
これが西洋の敗北、西側の失敗である。西側諸国は、ほぼ全滅している。2000年代、2010年代の話だ。
同性愛認知→同性婚合法化→LGBTQ伸長→G7の中産階層の没落だ。理由はモラルが破壊されたからだ。
これが、反LGBTQのBRICSが伸び、LGBTQのG7が、世界経済におけるシェアを失った理由だ。
LGBTQが、G7を、西洋を滅ぼしていると、トッドは控えめに言っている。これは衝撃的だ。
トッドは感情を交えず、淡々とデータを羅列して行くが、その結論は、ある種の読者を激怒させる。
したがって、私たちは 2000 年代を、正確かつ絶対的な方法で、西洋においてキリスト教が事実上消滅した年と定義することができます。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p158
On peut donc définir les années 2000 comme les années de la disparition effective du christianisme en Occident, d’une façon précise et absolu.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p158
同性婚の合法化が、西洋からキリスト教を消滅させたとトッドは言っている。
同性婚と同性愛はセットで考えられるから、トッドは以下の指摘もしている。
究極の非キリスト教化を示すもう一つの指標は、同性愛に対する態度です。 1970年には、教会に通っていた人々のうち、50%がすでに同性愛を受け入れていました。 2010 年には 70% でした。めったに教会に行かない人の場合、受け入れ率は 83% に上昇しました。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p255
Autre indice de la déchristianisation ultime : l’attitude vis-à-vis de l’homosexualité. En 1970, parmi les personnes qui allaient à l’église, 50% déjà acceptaient l’homosexualité ; en 2010, 70%. Chez celles qui la fréquentaient rarement, le taux d’acceptaient montait à 83%.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p255
同性愛、つまり、それは信仰の敗北だ。キリスト教信仰は失われる。なぜならば神は同性愛を認めないからだ。
トッドは、同性愛→同性婚→religion zéroという図式を立てる。そしてreligion zéroは社会を崩壊させる。
信仰が勝利した地域では、文明が興隆し、信仰が敗北した地域では、文明が衰退する。
この場合、前者がロシアで、後者が西側諸国である。これがこの本の著者が言いたい事である。
なおプーチンは、LGBTQを全力で排撃している。ロシアに入国さえ許さないと言う。
反対に、LGBTQ大国のカナダは、ロシアをLGBTQにとって、最も危険な国と見なしている。
だがプーチンは、西洋の腐った文化は許さない、とよく言っている。絶対に入れさせない、とまで言っている。
これは正しい判断だろう。そしてロシアでは、まだこの主張は通じる。ロシア正教が生きているからだ。
それに対して、西洋諸国は同性婚を法的に認め、社会に広める方向に進んでいる。religion zéroだ。
これがどれだけ社会を衰退させるのか、トッドは、データを交えて、説明しているのだが、みんな激怒する。
西洋では、本当の事を言うと、いつも殺されるが、エマニュエル・トッドも危ないかもしれない。
とにかく、トッドはぶっ叩かれまくっている。ある意味、マクロン以上に叩かれている。酷い。
人が折角LGBTQで気持ち良くなっているのに、この自由を認めないとは何たる愚か者だという扱いだ。
フランスはもうダメだろう。LGBTQは文明どころか、文化も破壊する。キャンセル・カルチャーだ。
アメリカのウォルトディズニーでさえも、ポリコレという名のキャンセル・カルチャーで売上を下げた。
LGBTQを認めると、芸術作品、娯楽作品は作れなくなる。売れなくなる。これは薄々分かっていた事だ。
逆に日本はまだそこまで、キャンセル・カルチャーに汚染されていない。アイドル・グループが存在する。
『高嶺のなでしこ』を見ていて思った事だが、黒目黒髪の日本人の若い女の子たちを集めて、お遊戯する。
もし日本に、キャンセル・カルチャーが本格的に入れば、こんなアイドル・グループは無理だろう。
逆に日本はまだ文化があると言える。アイドル・グループがLGBTQ化したら、それはもう目も当てられない。
アニメの世界には、結構入っている。男の子がプリキュアに変身したりする。危険な兆候だ。女の子の夢を壊す。
『らんま1/2』がリメイクされるらしいが、今だと日本の妖怪と、海外のLGBTQが合体するだろう。
日本の妖怪と海外のLGBTQは、霊的に言ったら、ほぼ同等の存在で、LGBTQは西洋のもののけだ。
こんな事を言っていると、トッドみたいに叩かれるかもしれないが、日本ではまだ優勢ではない。
だから危険を承知で、トッドの意見をフォローしよう。反同性婚、反LGBTQだ。
当方の見解を言おう。ここから先は、トッドよりも、踏み込んだ意見を言う。より過激だ。
まず同性愛、同性婚は、神にも、自然にも反する。こんな事を言うと、不服に思う人も多いかも知れない。
だが現代人は、こんな基本的な事も分からなくなっている。人間は自由だと思っているからだ。
人の迷惑にならなければ、自由に振る舞い、どんどん好きに変えて行ってよいと思っている。
だが待って欲しい。どうして、自分が今、地上に存在しているのか、考えた事があるのか?
現代人は、神様の目を全く意識していない。だから同性婚とか、堂々と平気でできる。
神様なんて、存在しないと思っているし、霊界も、生まれ変わりも、ないと思っている。
だから生まれた時からが全てで、訳も分からず、母胎から投げ出されたのが、人間の生だと思っている。
そういう意味では、LGBTQも、実存主義の延長線上にある。特にフランス哲学のそれだ。
実存主義にとって、生まれる前の生なんて、思いもよらぬものであり、想像の圏外だ。考える必要がない。
だから、生まれてからが全てだと思って、地上を彷徨う。結果、死んでも何も分からない。無明だ。
そして不成仏霊が誕生する。地上を彷徨う悲しい人影だ。街に沢山いる。これが実存主義の真の姿だ。
生まれてからが全てであれば、生まれる前、神様とした約束なんかも、忘却の彼方に飛ぶ。
生まれる前に、神様とした基本的な約束「私は男性として生きます」などが破られる。
神への信仰は一切なくなり、地上で人々は、ソドムとゴモラの快楽に耽り出す。終末の日は近い。
なお当方が、夢の中で出会って、話した霊人たちで、LGBTQは一人もいない。
これだけは言える。LGBTQは、ヘブンズドアーをくぐれない。閉ざされているのだ。未来が。
そういう意味では、LGBTQは、人間存在を破壊する最も有毒な現代思想と言える。
だから同性婚は、悪魔が祝福している。なぜならば、神仏から最も遠ざかる結婚生活だからだ。
本当は、生まれてきた時、神仏が祝福して、あの世から送り出してくれたのだ。
だが産道という忘却の川を渡ると、前世の記憶はなくなる。それがルールで、試練だ。
たとえ記憶がなくても、生まれる前、自分が何を考え、何をしていたのか、考えるべきだ。
生まれる前なんて、思いもよらぬ事、考えても無駄と思う方が、実は洗脳を受けている。
別に記憶がなくたって、生まれる前を考えてはいけないというルールなんて、どこにも存在しない。
ないと思わず、あると思えば、どこかで意識の扉が、微かに開いて、夜夢見させてくれる。
当方は、半世紀生きた後、生まれる前の記憶を、ほんの一瞬だが、思い出した。
今世、日本人として生まれる前、英語圏の意識で、霊天上界から、地上の戦争を見ていた。
だから神様の目というものも、少し分かるし、あの世から地上はこう見えると、少しだけ言える。
見ていた戦争は、第二次世界大戦、太平洋戦争、地上時間で1945年4月7日、坊ノ岬沖海戦だ。
この件は小説にも書いた。プロフィールに置いた『大和の心、沖縄特攻』だ。
思い出したから、書いたのか、書いたから、思い出したのか、判然としない。
どう書いていいのか分からなかった一方で、ほとんど迷いなく、一直線に書いたような気もする。
涙が止まらなかった。とにかく、涙が溢れて止まらない。書いていて、そういう状態になった。
いや、書く前から予感があって、不覚にも、電車の中で、涙が止まらなくなって、とても困った。
あの世から見ても、強烈な印象が残ったから、そこだけ思い出したのだと思う。
当方は、あの戦いを見ていたのだ。生まれる前、天国から。そして日本に生まれた。
決して偶然ではないし、生物的な問題で、生を受けた訳ではない。そこには考えがある。運命がある。
当方と、当方のガーディアン・エンジェルと、神仏だけが知っている秘密がある。約束がある。
だが地上に生まれて、霊的な事を忘れ、完全に神仏と離れてしまうと、何もかも分からなくなる。
常識とは、真実の反対である。逆に真実とは、常識の反対にある。多くの場合、そうだ。
いつか死ぬ事を思う事と、生まれる前を思う事は、誰にでもできる瞑想だ。忘れている事を思い出せ。
間違っても、LGBTQなどに入り込んで、悪霊の憑依なんか受けるべきではない。
LGBTQについて述べた。この話はここまでにしたい。
正直、こういう話を嫌がる人はとても多いので、気が重い。話をトッドに戻す。
トッドは、全体主義と宗教の関係についても、述べている。
ナチズムは、1880 年から 1930 年の間に、プロテスタントが活発な宗教でなくなった後に、第一段階として出現しました。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p244
Le nazisme apparut dans sa première phase après qu’entre 1880 et 1930 le protestantisme eut cessé d’être une religion active.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p244
つまり、何が言いたいかと言うと、宗教がアクティブな状態であれば、全体主義は起きないという事だ。
これは結構、重要な指摘だと言える。だが現代の日本人には、ちょっと信じられない事かもしれない。
日本には、邪教が多いので、別途注意が必要だが、ロシアの伝統宗教であるロシア正教は問題ない。
ロシア正教がアクティブであれば、ロシアで全体主義も起きないし、LGBTQも起きない。
だからロシアの地で、文明が滅びる事はない。少なくとも、文化・文明面では、衰退しない。
だがトッドは、ロシアの核を気にしている。ロシアが核を使う可能性があると見ている。
これまで見てきたように、彼らの軍事ドクトリンは現在、ロシア国家が脅かされている場合、ロシア政府に戦術核攻撃を行うことを認めている。
『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著 ガリマール社 2024年 拙訳 -p318
Leur doctrine militaire, on l’a vu, autorise désormais Moscou à user de frappes nucléaires tactiques si l’ État russe est menacé.
Emmanuel Todd『La défaite de l'Occident』Gallimard2024 -p318
日本人は、もう広島・長崎で懲りたから、人類は核を使わない、という見方をする人が結構いる。
航空自衛隊の元空将で、日本核武装論を唱えた人でさえも、その著作で、核は使ったら意味がないと言う。
相互確証破壊はお互い核を使わないで、持っている事に意味があるので、核兵器は事実上、使えないとしている。
これが核のルールで、お互い核を持ち、使わない事で、平和を保障するとしている。
そんな事はない。人類は核をまた使う。一度、使い始めたら、核のバーゲンセールだって在り得る。
特に、フランスが、ロシア・ウクライナ戦争に介入したら、核戦争の可能性は一気に跳ね上がる。
核保有国が、広島や長崎に忖度して、核の使用を控えるなんて事はしない。使う時は使う。
日本では、各自治体で、非核平和都市宣言なるものを出しているが、そんなもの、核保有国は気にしない。
逆に、撃たれるかもしれないから、各自治体で、非核平和都市宣言を出しているのかも知れない。無駄だが。
トッドも、嫌な予感がするから、ロシアの核に言及し、ロシアの不安要素として挙げている。指摘だ。
ここまでが、トッドの本から言える事だが、当方は別の観点から、ロシアの核を問題視している。数が多過ぎる。
ロシアは数千発の核弾頭を持つが、これはこれで別の問題を引き起こしている。別の理由で危ない。
核弾頭は、持っているだけで危ない。10年、20年はいい。だがそれ以上持つと、100年前後でその大地は沈む。
この星が核を許さないからだ。こんな危険なもの、自然が存在を許す筈がない。長い時間、存在できない。
自然というものは、巨大な意識で、神仏に等しい。そして自然を破壊しかねない大量破壊兵器を好まない。
生命体として、ライフスパンが異なるから、10年、20年は動かない。黙認するかもしれない。
だが長い時間が経過すれば、必ず反応して、自然から反作用を受ける。核ミサイル基地は海に沈むだろう。
核兵器は祟りを起す。理由は破壊想念の塊だからだ。だから究極の呪いのアイテムになる。
こんなもので、人類の平和が守られるという相互確証破壊の理論は、そもそもおかしい。
軍事的に意味がある事は分かる。10年、20年限定であれば、日本も核武装してよいと思う。
だが日本の周辺国から、核の脅威が去ったなら、すぐに核は放棄した方がいい。それが当方の見解だ。
長い時間、所持するには、危険過ぎる代物だ。滅びないために、止むを得ず自衛手段として持つ。
核の相互確証破壊で、地上の平和・均衡は守られてきたと言うが、こんなの一世紀ももたないだろう。
別に核戦争が始まらなくたって、先にお互い海に沈み始める。核は持っているだけで危ない。
アトランティスも、大量破壊兵器のようなクリスタルの塔を作り、そのせいで滅びている。
大西洋で、バミューダトライアングルと言われる海域に、かつてあって、今でも空間的に抉れている。
これは英語圏に伝わる伝説から、そう推定している。情報としては、それなりに入手できる。
大量破壊兵器は、自然に反するし、もちろん、仏法にも反する。長い時間、存在できない。
核の相互確証破壊理論も、所詮は地上のルールで、地上のゲームに過ぎない。あの世からの冷たい風で飛ぶ。
ロシアは、そういう意味では、世界で一番危ない国と言える。この星が、ロシアの核を許さない。
これはプーチンにとって、思いもよらぬ事かもしれないが、知らせた処で、どうにもならないだろう。
スターリン時代に、核開発に着手して、フルシチョフ時代に、大量生産した。過去の遺物だ。
今更、核を廃棄できないし、一度持ったら、その国が滅びるまで、核は手放さないだろう。
核の相互確証破壊理論は、軍事的に意味があるが、最終的には、お互い海に沈むので、意味がない。
日本は幸いにして、核兵器を製造していない。これはこれで安全保障上の問題だが、間違った選択でもない。
アメリカが核を持ち込んでいるから同じ、という見方もあるかもしれないが、出たり、入ったりしているだろう。
日本の核武装論は、どうしても、嫌だと思ってしまうのは、多分この星が許さないだろうという観点からだ。
逆に原子炉は、破壊想念でできていない。エネルギーは同質だが、意図が異なるので、方向性が違う。
核の話はもう当方の手に余る話だろう。だがアトランティスの伝説から、そう推定している。
一応、アトランティス最末期は、小説化できるぐらいまで、情報は持っている。
こういう話をすると、どうしても『仏の顔も三度まで、釈迦族殲滅戦』を思い出す。アレはアナザー日本だ。
別に昔の話ではなくて、現代に起きている問題を描いている。日本人は戦わない。穏やかになった。
だから戦争も嫌だし、ましては大量破壊兵器なんて、持ちたくもない。だがこれはこれで滅びの道に至る。
日本に仏陀が現われて、駆けずり回って、三回助けてくれたとしても、四回目で日本は滅びる。
我々はもしかしたら、知らぬ間に三回助けられて、四回目に差し掛かっているかも知れない。
仏の顔も三度まで。四度目はない。四度目は、一体どんな顔をしているのか?想像できない。
奇蹟は何度も起きない。今までがラッキーだったのだ。でもどうやって、日本は生き延びればいいのか?
大量破壊兵器を持たず、悪に対しては、敢然と立ち向かう民族性、社会、国家は在り得るのか?
日本だけ助かるという考えが、そもそも無理があり、他の国もないと立ち行かない。他の国の説得も必要だ。
ますます難しい。殆ど不可能で、何かしらの破局は避けられない感じがする。本当に大丈夫か?