2024年3月 インド旅行記⑤ 国際交流とヨガとシスターフッド
なかなか書く気合いが入らず、1か月以上間が空いてしまったインド旅行記、久々に更新します。
過去の記事もよろしければどうぞ。
猿のプールパーティと鼻うがい
普段からちょっとした生活の変化や潜在意識に不安や焦りがあるとすぐに不眠になる私、旅行中はほぼ毎日眠れない。
毎回このようなことを書いているが、この日も0時を越えてもなかなか寝付けず、苦戦した。ようやく眠りに落ちたと思ったけれど、明け方にコテージの屋根をバンバンと叩く音で目を覚ます。
なにかと思って外に出ると、猿たちがジャンプして遊んでいる。やれやれ。この屋根をどうやらトランポリンとでも思っているらしい。
朝の散歩の時間にその話をイタリア人2人にすると、彼女たちは昨日、敷地内のプールを見に行った時に、猿たちが大勢そのプールで泳いだり日向ぼっこして寛いでいるシーンを目撃したらしい。
猿がプールでパーティーしてたよ!!あのプールは人間用じゃなかったんだね。と言って爆笑。Monkey's pool party!!
それでせっかく水着を持って来て楽しみにしていたけれど諦めたとのこと。
確かに猿たちとプールで同席はちょっとな、と思う。
年齢が私より1つ上のこのイタリア人女性2人と、この日は結構時間を過ごした。
1人はアイルランドのダブリンでベネズエラ出身の夫とその連れ子である義理の娘さんと3人暮らし、もう1人はスペインのマラガで1人で住んでおり、それぞれイタリア語からスペイン語や英語への翻訳の仕事をフリーランスでやっているという2人は、大学時代からの親友で、こうして時々一緒に旅行などして時間を過ごしているとのこと。とても素敵だし羨ましい。
彼女たちのSNSを見ると、1年の半分以上を身軽に色々な場所へ旅して過ごしている。同世代の女性たちの中で、私が昔から夢見て憧れたようなライフスタイルをリアルに送っている人たちがいるのだなと驚いた。
いいなと思うけれど、国内旅行ですらすぐに眠れなくなる私にはもう無理だろうな、と思う。昔なら嫉妬したり心がザワザワしたかもしれないが、今の私は、私は私でいいかな、と穏やかに思えるようになっている。彼女たちに対して以外でも、他人を見て若い頃に感じたような嫉妬心を覚えることが気が付いたらもうなくなっていた。
インドでの私は行動が超スローでマイペース。
日本にいると遅刻が怖くて(仕事では10年に1回くらいしか遅刻しない)いつもピリピリしており、焦って心拍数が上がり、交感神経モードになりやすいが、ここでは気を思いっきり抜いてぼーっと過ごしている。
色々なアクティビティの集合時間になると各自の性格が出る。
だいたい一番早くきちんと来るのはドイツ人。あとは、アメリカ勢もちゃんと時間通りにいる。イタリア人2人と私はのんびりで、集合だけでなく、解散時にモタモタしている(これは日本でもやってしまう)私を置いてきぼりにせず、さりげなく待っていてくれたりして、なんか波長が合った。
この日の散歩後、施設に戻ると、庭に大量のポットが用意されていた。
ああ、あれね、と分かった。鼻のうがいである、ネティだ。
一応アーユルヴェーダを勉強していたからネティは知っていたし、軽度の花粉症なので、春には外出から帰るとハナ〇アで鼻内をすっきりさせることもあるため、抵抗がなかったが、ヨーロッパ勢とアメリカ勢には未知で衝撃だったらしく、その驚きのリアクションが面白かった。
確かにここではやり方がかなりワイルドであり、芝生の上でポットの先を片鼻に突っ込み、反対側の鼻から鼻腔を通って出てくる水分をだらだらと出し、地面に落とすというもの。
ここでもまた「形式」が大切らしく、昨日指導してくれたアシュタンガの先生が、ネティを行う際の足の幅や角度、身体や頭の傾け方、声の出し方を細かく教えてくれた。
まともに鼻うがいを出来たのは、経験者であるムンバイ在住のHさんと、南アフリカ親子の母の方(インド系)と私くらいで、あとのみんなはオエーっとなったり大騒ぎ。その様子が面白かった。
朝食になに食べる?
鼻うがいの後すぐに昨日と同じアシュタンガのクラス。
ただ、昨日は私1人だけだったため、ラッキーとも言えるが、マンツーマンで凄い緊張感の中ビシバシなクラスだったけれど、今回は8人のグループレッスンでヨガの初心者もいたため、かなり雰囲気の違うクラスとなった。
先生は今日はほぼポーズを取らず、サンスクリット語で指示だけ出す。
ヨガを10年以上やっているのである程度覚えているものもあるが、自信がなくどうかな~と思ったけれど、昨日と内容がほぼ同じだったため、そのサンスクリット語の言葉だけで動いてみる。
たまたま一番前の真ん中にいたこともあり、その時は気づかなかったが、他のみんなは私を見て動いていたらしい。
ヨガの後の朝食の時に、いろんな人たちにそれを言われた。
特に、アメリカ勢の2人(めちゃくちゃパワフルで元気な50代前半)からは、私の英語が下手で存在感も薄いため、パッとしない東洋人という感じで微妙にバカにされている空気を感じていたが、このヨガの件で少し一目置いて貰えたようだった。
ポーズの美しさや柔軟性、バランスも褒めて貰えて自己肯定感がアップw
いつもどうやってヨガ練習してるの?とか、どんなヨガのスタイルが専門なの?とか色々聞いて貰えて嬉しかった。
アメリカだとヨガ=エクササイズとかダイエット目的というイメージが強いらしく、私がリラックスしたり、ゆるめるためにヨガをやっていると言うと驚かれた。
ヨーロッパ人と話す時はお互いネイティブではないので対等に話せるが、アメリカ人が相手だと聞き取れないこともあって萎縮してしまうけれど、私のヨガの話をちゃんと伝えることが出来たし、人として認めてもらえたように感じられた。
食事中の会話では、お互いの文化ではいつも朝食になにを食べているのか、という、昨日の朝ドイツ人のJさんとしたような会話。
ちなみにこの施設の朝食は、トースト、ジャム、マーガリン、オートミール、カレーっぽい野菜のおかず、果物だった。(3回も食べたのに写真を忘れたのが無念すぎる)
私はグルテンをあまり食べないようにしている上、オートミールが苦手なので(子どもの頃は好きだったが)、ひたすらカレーっぽい野菜のおかずと果物だけ食べていた。あとは、牛乳苦手なので紅茶もコーヒーもブラック。
他の人たちは逆に、慣れた味であるトーストやオートミールを大量に食べ、カレーっぽい野菜のおかずには手をつけない人が多かった。そして、紅茶にもコーヒーにもたくさん砂糖と牛乳を入れる。
特に、イタリア人は朝食に塩味のあるものは無理らしく、クロワッサンや甘いパンとカフェオレが恋しいと言っていた。
私は逆に甘いものや炭水化物オンリーが無理なので、普段は卵系の料理と、野菜たっぷりな味噌汁と海藻サラダを食べるよ、と言うととても驚かれた。
そして毎回ブラックで飲む紅茶とコーヒーにも珍しいと突っ込みが入った。
イタリア人の1人には、日本へ旅行をした時に、旅館で毎朝のように焼き魚が出たのが不思議だったと言われ、逆にびっくり。めっちゃ普通だよと説明。
むしろ、フランスやスペインに行った時に朝食がシンプルすぎて物足りなかったと私が言うと向こうもえ~っとなった。同じヨーロッパでもドイツ人はハムやチーズなど塩味やたんぱく質も摂取するので私と同意見。
昼食や夕食以上に、朝食に出る文化の違いは濃い。
シスターフッド
気が付いたら朝食後、自由時間もすべて使い、私たちはずっと雑談していたようだった。こんなに連日何時間も英語で話したのは20年ぶりくらいだ。
朝食になにを食べるかの話の後は、タトゥーがそれぞれの文化でどんな意味を持つか(日本へ旅行しに行った時にタトゥーのせいで温泉に入れなかったという話の流れから)の話をした記憶。
午前中の後半は、また昨日と同じアーユルヴェーダの施術を予定していたが、それを他の人たちに伝えると、イタリア人2人は私と同じプランだったが、同行していた友人のムンバイ在住のHさんが予約していたプランにはアーユルヴェーダが含まれていなかったため、アメリカ人2人は、えっ?なにそれ?となり、文句タラタラ。追加料金を払ってセラピストを急遽手配し、無理矢理施術をやってもらうように交渉。
このあたりの行動力と自己主張の力、凄いなと思う。私なら、へぇ~まぁいっか、で終わるのに。
昨日と同じセラピストの方で、同じ内容のマッサージだったが、施術用の建物の外壁工事をしており、その作業する音や、セラピストの方に何度もかかってくる電話の音(通話しながら施術)で落ち着かない。
終わってから、同じタイミングで施術を受けていたイタリア人Bさんと話すと、なんかとても動揺している。話を聞くと、アーユルヴェーダのようなオイルマッサージは初めてだったようで、ベタベタが苦手、施術用のベッドに枕がないから下向きになる時に鼻が潰れてとても痛かった(私は鼻が高くないので別に気にならずw)、特にシロダーラ(額からオイルを垂らすもの)では髪がオイルまみれになり、5回シャンプーしてもすっきりせず、髪が痛んでしまった、とパニック状態。
髪質のせいか、シャンプーのせいか分からないけれど、私はシャンプー1回で充分オイルが取れたし、アーユルヴェーダのオイルは頭皮や髪にも良い効果があるから少し残っても大丈夫だよ、と説明。
でも、Bさんはもう二度とやらない、と決めたらしく、明日の施術の権利をアメリカ人に譲ると言っていた。セラピストの手配が上手くいかずに困っていたようだが、ここでまさかの交渉成立。既に払っていた追加料金は同行の友人に譲ったようだ。
もう1人のイタリア人のVさんも、髪のベタベタがダメなようで、しかも2人ともドライヤーを持っておらず濡れ髪で困っていたので、私が日本から持参したドライヤーをお貸しした。人種的にヨーロッパ系の人は髪が細く切れやすいため、オイルマッサージが合わないのかもしれない。
施術権やらドライヤーやら、必要な人に必要なことやものが巡り巡っていく感じがヨガ的だよね、とみんなで話していた。
どんどん連帯感が強まっていった。世代や国籍を越えたシスターフッドを感じた。
魂を磨く哲学と、最後のディナー
それからランチから午後の休憩にかけて、また3時間ほどおしゃべりが続く。そのままの流れで夕方のハタヨガクラス。
午前中のアシュタンガと同様に昨日のマンツーマンの時よりゆるく、物足りないくらいだったが、クラス後にまたアメリカ人たちに褒めてもらえて嬉しかった。
普段は1人になれる時間がないとメンタル的にキツいが、このような機会はあまりないことだし、この2日は1人で部屋に籠ることもなく、精一杯社交を楽しんだ。
ここまで他のゲストたちと濃厚に時間を過ごすとはまったく予想していなかったから驚いたが、最初は少し苦手意識のあった主張の激しいアメリカ人たちも含め、みんな優しく良い人たちで、世代も国籍も越えてこうして交流できることが大変ありがたく、有意義な時間だった。
ただ、私のポンコツな脳はそろそろ疲れてきたようで、少し気を抜くと高速な英語の会話に置いていかれる。しかも、日本人同士(ちょこちょこと短文で話しながらお互いに引き出し合うことが多く感じる)の会話よりも、1人1人が1回で話す分量が多く長いことが多いため、私が話す時も1~2文で終了させず、長々と語ることを求められる。
せっかくだから、と思い別人格(外交的)になって頑張ってみた。とても楽しかったが、普段運動しない人がいきなり標高の高い山に登ったり、マラソンを走ったような状態になり、脳疲労半端ない。
さすがに少し休みたいな、と思ってハタヨガのあと部屋でぼーっとしていたら、お茶の時間だから来てとスタッフの方に言われた。庭のテーブルにセットされていたお茶の席にはもうみんな集まっている。
夕方の屋外=虫がいるだろう、と思って虫よけスプレーを持って参加。案の定、蚊がブンブンしていたため、シューっとしながらテーブルに向かい、他のメンバーにも貸そうとすると、南アフリカ親子の娘さんも虫よけアイテムを持っており、みんな興味津々でどちらを使うか見比べる。
南アフリカ製の虫よけアイテムは日焼け止めのような白いクリーム状で香りが独特だった。全員私が持ってきたオーガニックのハーブでできた液体のスプレーを選んだのはなんか申し訳なかったが、このようなちょっとしたアイテムにも文化が反映されるのが面白い。
ウエットティッシュを持ち歩き、ドライヤーや虫よけスプレーまで持っている私を、誰かがなんでも持っててドラえもんみたいだと言った。ある意味、日本の象徴なのかな。
コロナのロックダウンの時、どんな様子だったか、なにをしていたか、などの話をした気がする。ヨーロッパは大変そう、というかなんだか悲惨だったよう。そういえばニュースでも南欧での悲しい現状を報道していたのを思い出す。
アメリカでは、みんなマスクを嫌がってしなかった人も多かったとのこと。日本では今でもまだ職業や立場、考え方によってはマスクをしているし、若い人たちはマスクをしている方が容姿に自信を持てるから快適だと思う人もいるみたいと言うと、全然違うようね、という国民性の話に発展。
お茶を飲んでいると、夜の哲学のクラスの準備が出来たからみんなで移動。
昨夜、瞑想のクラスを指導してくれたGURUが再び登場。
産業革命が始まって以来、資本主義経済が進み、人間は自然と調和して生きることを忘れて、働くマシーンになってしまった。それでは人間らしく生きているとは言えず、動物と変わらない。
動物の欲求は第一に食欲、第二に繁殖への欲求(性欲)があるが、このレベルの欲求に支配されたままとどまる人間も多い。人間には第三の欲求があり、それは仕事(お金)への欲であるが、ここで止まっている人は動物とやはり同じである。
そこに留まらず、もっと高い次元の魂を磨くようなことに意識を持っていくと、せっかく人間として生まれたこの生を楽しめるのではないか、
というような内容から、チャクラの説明になっていった記憶。
明日はその高い次元にアクセスする特別な瞑想を行うと言っていたが、その頃もう私は帰路についており、参加出来ないことがとても残念だった。
哲学のクラスの後、そのまますぐにディナー。私には最後の夕食。。。
朝、起きてすぐの散歩から鼻うがい、ヨガ、朝食、休憩、昼食、休憩、またヨガ、お茶、哲学のクラスとアーユルヴェーダの施術以外はずっと一緒に過ごしてきたこのメンバーとももうすぐお別れ。かなり疲れてはいるが、なんだか切ない。
最後の夕食だなと思うと、食事自体も名残惜しくて、いつもよりたくさん盛り付けるw なぜかタイミングを逃して食事の写真を1枚も撮っていないのが残念すぎるが、夕食はだいたいトマト系、またはほうれんそう系のパニール(カッテージチーズ)の入ったカレーがメインで、あとは野菜か豆をスパイスで炒めたり煮込んだりした副菜が2種類ほど、米やチャパティが付き、最後はデザートだった。
準備してくれるスタッフも優しくて良い人たちばかりで、料理の説明をしてくれたり、個々の要望に応えてくれる。
今から思い出してもとても恋しくなる瞬間。
この夕食では、南アフリカ親子の母と、イタリア人2人が同じテーブルだった。イタリア人のBさん、細くて小柄なのにいつも私の3倍くらい、しかも高速で食べる。Vさんは私と似ていて食べるのが遅い。
南アフリカの母は、これまで聞いたことのある英語の中で一番訛りが独特な話し方をする上に、隣にいてもギリギリ聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声量でめちゃくちゃ早口で話す。難易度MAX。
昨日と今日の前半は静かでほとんど話さず、おとなしい方なのかなと思っていたが、スイッチが入ってしまったようで、マシンガンのようにわ~っと話が止まらない。
私やイタリア人がコメントを入れたりしようにも、遮って呪文やお経のように小声でぶつぶつ話が止まらない。私の疲れもMAXだったので20%くらいしか理解できず、話の内容にまったく記憶がない。
いろんなコミュニケーションのスタイルがあるなと思う。イタリア人のBさんは適切な突っ込みを入れたりしており、あの英語が分かるのか、さすが翻訳家だなと思った。Vさんは途中からウトウトし始め、私も無理に話を追わずにぼーっとその場にいることにした。
別のテーブルの誰かがそろそろ寝ようかなと部屋に戻るタイミングで私たちも解散。
すぐお湯が出なくなるシャワーの使い方にも慣れてきて(お湯が出た瞬間にバケツたっぷりに溜める)、ささっと寝る準備。
毎晩この記事の元になっている日記(ジャーナリング)も書いてベッドに入る。
さすがに最終日の夜だし、1日中会話していて疲れた上、ヨガのクラスにも2回出て運動もしたから、すっと眠れるかなと思ったけれど、なぜか一睡も出来ず、朝になってしまった。