幸福の地平線を広げる:ポジティブな瞬間を伸ばす科学的アプローチ
幸せな瞬間を味わった後、しばしば私たちは「この幸せはいつまで続くのだろう?」と考え、不安に駆られることがあります。この感覚は非常に一般的で、幸福感が一過性のものであるという感覚につながります。例えば、仕事での昇進による喜びが一時的に高まるものの、時間が経つにつれてその効果は薄れていくことが2020年の研究で示されています。この研究は、昇進後の最初の3カ月間だけウェルビーイングが向上し、その後はその効果がほとんどまたは全く見られないことを明らかにしました。
しかし、「上がったものは必ず落ちる」という考え方に挑戦し、幸せの瞬間をどうやって長引かせるかに焦点を当てることで、「幸福の地平線」を広げることができます。この記事では、幸せな時を延長し、その効果を持続させるための2つの科学的に裏付けられた方法を紹介します。
1. 幸せな時を真の友人と共有する
「自分を大切にする」ことの重要性を強調する2022年の研究によれば、自分自身を価値ある存在と見なし、ポジティブな体験を心から楽しむことが、幸福感を高める鍵となります。このような資質は、支援的で理解ある友人に囲まれることで育まれます。本物の友情は、困難な時期だけでなく、喜びの瞬間を共有することで、全体的なウェルビーイングを向上させ、幸福の感覚を長期化させるのに役立ちます。
2. ポジティブな活動を計画する
幸福感を最大化するためには、「活動スケジュール法」を活用することが効果的です。例えば、仕事での成功を祝うために友人とのハイキングやヨガクラス、創造的な趣味への時間を計画することで、幸せな気持ちをさらに増幅させることができます。これらの活動は、ポジティブなエネルギーを利用してウェルビーイングを高め、新たな目標に挑戦する自信を与えます。
笠原彰心理学的分析
一時的な幸福感に頼るのではなく、幸せを感じる時間を意図的に延長し、その質を高める方法を提供します。心理学の知見を活用することで、幸福感の持続性を高め、長期的な満足感を実現することが可能です。成功や喜びを適切な人と共有すること、そしてポジティブな活動を積極的に計画することは、幸せを感じる能力を強化し、人生をより充実させるための重要な手段です。これらのアプローチは、幸福感が移ろいやすいものであることを受け入れ、それを前向きに捉え、長く持続させるための戦略的な計画を立てることを促します。
笠原彰プロフィール:
作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
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