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【自作詩集】 霧の森〜記憶を彷徨いながら〜

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オーストラリアに来てからの風景や心情を綴った詩 心から消し去ることのできない想いなどの書き殴りの詩
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2023年10月の記事一覧

【詩】暗闇を叩いて

【詩】暗闇を叩いて

広がる暗闇を
ハンマーで叩く

崩れ落ちるまで
叩いて叩いて

あちこちの裂け目から
光の筋が差し込んで

暗闇は星屑のように
流れて落ちた

粉々になった暗闇を
そっと手に取り
舐めてみる

砂糖のように
甘かった

【詩】自然の摂理+(プラス)

【詩】自然の摂理+(プラス)

真夜中に
人が吐いた
二酸化炭素を
観葉植物が吸う

真夜中に
観葉植物が吐いた
酸素を
人が吸う

誰もが知ってる
自然の摂理

でも思う

真夜中に
人は
心の痛みを混ぜて
二酸化炭素を吐く

真夜中に
観葉植物は
癒し成分を混ぜて
酸素を吐く

人が穏やかに
眠れるように

【詩】気配

【詩】気配

暗闇に聞こえる
シルバーフィッシュの呻き声
銀色に光る魚の尾を震わせ
床に落ちた人の垢や髪を貪る

暗闇に聞こえる
ゴミ虫の衣擦れの音
人の心の奥底に棲む
汚いゴミを漁り
衣をつむぐ

シルバーフィッシュは溢れ
ゴミ虫の衣は膨れ上がる

調理した肉も
その生臭さは完全に取れず
鼻先に血生臭さが残り
屠殺された時の叫び声が
聞こえてくる

自由にならない手足
喉に詰まった声
誰か…誰か…

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