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佐藤芽衣
2021年6月6日 15:32
カナダのオンタリオ州在住のイアン・リードの『もう終わりにしよう。』を読んだ。翻訳は坂本あおいさん、早川書房から2020年に出版された文庫本である。この小説は、一人称の女性の語りで進み、非常に読みやすい。読みやすいけれど、なんだか不穏な空気に包まれている。彼女は結婚や長期的な男女のつながりを素晴らしいとは言うものの、失敗が多く、続けられるものではない、と醒めている。無残な別れを迎える前に、関
2021年6月12日 11:50
養老孟司先生と伊集院光さんの対談本『世間とズレちゃうのはしょうがない』を読んだ。(敬称を省略しないのはわたしがお二人に親しみを感じているからである。)対談のテーマは「世間」である。みなさまご存知の通り、世間には実態がない。社会には法律があり、ルールがあり、仕組みがある。一方、世間とは、そのときどきの空気で、いかようにも変化する得体のしれないモンスターである。わたしたちは、時