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○○に○○をかけたら○○!(2024慶應義塾・改題)
皆さんなら○○にどんな言葉を当てはめますか?
「ごはんにカレーをかけたらカレーライス!」
「夜中にサングラスをかけたら怪しすぎる!」
「教えてもらった番号に電話をかけたら使われていなかった!」
…
こどもたちに投げかけると色々出てきますが、
「これ!という爆笑必至の“渾身の一発”」
がまだ見つかっていません…
(誰か大喜利が得意な人いれば…)
このような“前フリ”をしておくと、こどもたちは活発になった流れのままで本題の内容にくいついてきてくれます。
当然本題は数学に関することなので、
「整数に整数をかけたら整数!」
という、
「ごくごく当たり前の命題」
を使って、問題を解く体験へといざなっていきます。
まずは、
「□+△×2=5」
という“虫食い算”をイメージしてみてください。
「□や△に当てはまる“自然数”」
を見つけることは、小学生でも簡単ですね。
「(□,△)=(1,2),(3,1)」
の2パターンありますね。
しかし、
「□や△に当てはまる“小数”」
となると、
「(□,△)=(0.1,2.45),(0.02,2.49),...」
と、
「無数に存在する」
ことは理解できると思います。
さらに、中学生以上になって、
「□や△に当てはまる“整数”」
を探してみると、
「(□,△)=(5,0),(-1,3),(7,-1),...」
と、これまた
「無数に存在する」
ことも理解できると思います。
ここで、例えば
「□=x,△=y」
と置き換えると、
「x+2y=5」
という方程式ができます。
これが、いわゆる
「不定方程式(1次)」
と呼ばれるもので、
「xやyに当てはまる数は無数に存在する」、
つまり、文字通り
「解を定めることはできない」
訳ですね。
しかし、
「“整数解”などの限定条件」
をつけることで、
「“解く”ことができる」
ようになります。
上記のように、
「1次の不定方程式の自然数解」
であれば、小学生でも対応可能な場合が多いですが、
「2次の不定方程式の整数解」
ともなると中学生以上が対象となってくるものの、冒頭の
「整数×整数=整数」
を使えば太刀打ちできるものもあります。
例えば、
【(□-1)×(△-2)=1となる自然数□,△を求めよ。】
という問題なら、
「かけ算を習った小学生」
であれば解けるはずです。
「□-1=1,△-2=1となるはず」
との考え方から、
「□=2,△=3」
と求めることは難しくはありませんね。
ここで、
「□と△を“整数”」
とすると、中学生以上ならば、
「□-1=-1,△-2=-1」
のパターンもあることがわかるので、
「□=0,△=1」
も解として付け加えて答えなければいけません。
これが、
「2次の不定方程式(x-1)(y-2)=1」
の整数解の求め方ですね。
※なお、
「高校入試レベルまで」
であれば、基本的には
「整数となる一般解までは求めさせない」
のですが、
「一般解を求める流れ」
は、
「“難関”高校入試レベルの際には有効な手段」
となってくることもあるので、対象者は対応できるようにしておきましょう。
【問題】
$${x^2+(3y-9)x+y(2y-9)}$$が素数の平方数となるような9以下の正の整数x,yの組を全て求めよ。
【解説】
実際の入試問題では、
「誘導設問があった上で上記の設問がある」
のですが、“難関レベル”をめざすのであれば
「誘導設問がなかったとしても解き進められる」
はずで、今回のような場合には、まず
「因数分解」
することを考えるはずですね。
(※もし因数分解が不可能であれば、
「因数分解した式+整数」
の形に変形することを考えるんでしたね。)
「与式=(x+y)(x+2y-9)」
と因数分解できることから、後は場合分けして考えていきましょう。
(※小学生は、ここから先ならば対応可能ですね。)
題意を満たすには、
(ⅰ) 1×(素数の2乗)
(ⅱ) 素数×素数
(ⅲ) (素数の2乗)×1
の3パターンが考えられますが、まず
「(ⅰ)の「x+y=1」はあり得ない」
ことはわかりますね。
(ⅱ)の場合は、
「x+y=x+2y-9」
から、
「y=9」
と求まるので、
「(x,y)=(2,9),(4,9)(8,9)」
(ⅲ) の場合は、
「2≦x+y≦18」
であることから、
「素数=2,3」
に限定され、該当するものを探っていくと、
「(x,y)=(8,1)」
∴(x,y)=(2,9),(4,9)(8,9),(8,1)
※今回は
「x+y≧2」
であることから、
「(-)×(-)=(+)」
の場合を考える必要はありませんでしたが、この検討が必要な設定の場合もあるので注意しましょう。
(2024慶應義塾・改題)
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