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愛の見切り発車/柴田元幸


翻訳家柴田元幸さんの書評集
「愛の見切り発車」を拝読しました📖´-
(2024,8,31 読了)


ひとまずテレビ番組の変声処理された証言者を思い浮かべながらここから先をお読みください。

「始めは軽い気持ちだったんです。
故ポール・オースターの読書会を主催するので、ポール・オースターの作品も紹介されている柴田元幸さんの書評集を読めば色んなことを知れるんじゃないかと」

証言者N




はい、ありがとうございました。ここからは普通にお読みくださって大丈夫です。お付き合いいただきありがとうございました。
そんなわけでうっかり手を出してしまったのは、柴田さんによるアメリカ文学を中心とした海外文学の書評集です。
すでに翻訳されている作品、未訳の作品、現代アメリカ作家のインタビュー、一部を訳して解説したものなどなど、ボリューミーな一冊です。


柴田さんの書評は基本的に否定するような言葉はありませんでした。
それが故に恐ろしい書評集でした……紹介されている本全部読みたくなるやん!!
否定していたらしていたで、怖いもの見たさで拝読したくなるのだろうけれど。


写真の付箋はほとんど読みたいと思った本です。抜き出したい言葉にも貼っていますけども。
あぁ、恐ろしい。


大体アメリカ文学というものをよくわかっていない私です。
そんな私のために!?冒頭や途中でアメリカ文学とはなんぞやを分かりやすく解説してくださっています。

アメリカ文学はすべて、何らかのかたちでアメリカを発見して終わる、あるいはアメリカに対して何らかの価値判断を下して終わる、とさえいっていいのではないかと思える。

そもそもアメリカという国は、俺たちはヨーロッパの古びた国々とは違うぜという自負と、その自負と表裏一体の劣等感を抱えた国であり、それを反映してか、「僕はみんなと違うんだ」という感慨は、アメリカの主人公たちを侵す、ほとんど国民的病みたいなものである。




アメリカ文学はまだあまり拝読できていませんが、なんとなく湿度を感じるような気がしました。これは私だけかもしれませんが、潤いという雰囲気ではなく、薄暗さのある湿度。
柴田さんの解説を見て、私がそんな風に感じたわけが少しわかりました。


本書は結構前に発刊されたものですが、さほど古臭さは感じません。
海外文学で何読もうと迷っている方がいたら参考にされたら良いと思います。



しかし、好きな方の紹介している本を片っ端から読みたくなる病に病名を付けてほしいです。ほんと危険。
本書を拝読している最中に紹介されている本が手元に届くんだもの。恐ろしいったらありゃしない。そんなことしているから、本書を読了するのに1ヶ月くらいかかってしまいましたとさ。
恐ろしい危険だと言いながら、好きな方の読まれた本や好きな本を知れるのは心底嬉しいのです。
皆さまにもこの危険で魅惑的な本をぜひおすすめします。フフフ……




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菜穂☽︎‪︎.*·̩͙‬
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