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僕は、そして僕たちはどう生きるか/梨木香歩






梨木香歩さんの小説
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」を拝読しました📖´-
(2022,6,27 読了)



君たちはどう生きるか/吉野源三郎」を読了後、併せて拝読しておきたいと思ったのが本書でした。
こちらは、「君たちはどう生きるか」を意識して描かれた小説で、こういうのをオマージュ作品というのだそうです。



本書の主人公もあだ名がコペルくん。
コペルくんが身近に起きていることから学びを得て、自分と向き合っていくのは「君たちはどう生きるか」と同じなのですが、身近に起きる問題が現代ならではのもの(環境汚染、集団心理、性暴力、ハラスメントetc.....。)なので、よりリアルに感じれるようにも思います。


「非常時」という大義名分の威力に負けて、自ら進んで思考停止スイッチを押し、個を捨ててしまう。





本書は2015年に刊行されているので、コロナ禍のことなど予想もせずに書かれているのですが、まさにコロナ禍で浮き彫りになったような問題が書かれていました。


思考停止して個を捨ててしまうのは確かに楽な生き方ではあります。
言われるがままに従うということは、自分の行動に責任が伴うことがないから。
でも、本当にそれでいいのかと思うのです。
それで自分の人生を歩んでいることになるんだろうかと。

自分勝手に生きたいわけではないけれど、思考停止して言われるがままに従う人生はなんだか虚しい。
そう思いつつ、結局言われるがままに歩んでいる自分に対してずっと違和感があります。



そして、本書の中で生徒にハラスメントをする教師が出てくるのですが、私の身近にもこのような人がいます。
やってることは二番煎じ三番煎じなのだけれど、最もらしいことを言って周りを支配し、コントロールして、自分の優越感を満たそうとする人。
人に対してハラスメントをしている自覚が全くないからタチが悪い。
こういう時は、真正面から衝突しても疲弊するだけだからコペルくんの親友のように、自らフェイドアウトした方がいいのだろうなとも感じました。



大勢が声を揃えて一つのことを言っているようなとき、少しでも違和感があったら、自分は何に引っ掛かっているのか、意識のライトを当てて明らかにする。自分が足がかりにすべきはそこだ。自分基準(スタンダード)で「自分」をつくっていくんだ。
他人の「普通」は、そこに関係ない。





本書も「君たちはどう生きるか」同様に、一度拝読しただけではきちんと自分の中に落とし込めてはいないだろうと思います。
何度も再読して自分なりに咀嚼し、少しずつ落とし込んでいきたいです。



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