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盲目的な恋と友情/辻村深月
ヒグチユウコさんの装丁に惹かれ購入した辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」を拝読📖しました。
(2022,2,5 読了)
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思うところがあって積読本の中から本書を選び、昨夜エア参加した「丸善ジュンク堂に住んでみる 2022冬」にて拝読することに。
恋に溺れる女、人生に溺れる男、友情に溺れる女を中心に作られた物語。
恋に溺れる女の目線と、友情に溺れる女の目線で物語が語られます。
中心となる登場人物も、それを取り巻く登場人物も誰1人好きにはなれません。
みんな自分本位でしかないから。
そして、誰も幸福そうではありません。拝読している読者さえも幸せな気持ちにはなれません。
ただ、恋に溺れる女は自分の過去に思い当たる節があり、何とも言えない気持ちなりました。
物語が終幕を迎えるとき、まさかのどんでん返しに面食らい、歪んだ愛情のなりの果てを見てしまったような気に。
イヤミスとはこういう作品のことを言うのだろうと思います。
しかし、溺れる人たちが気になって気になって、読む手は止まりませんでした。
私も度々恋に溺れることがあって。
7〜8年前これが人生最大の恋だったと今でも思えた恋は、本当に苦しい想いをしたものです。
大抵のことは前向きに考えれる私でしたが、この時ばかりは頭の中が「死にたい」で埋め尽くされてしまうような状況でした。
恋に溺れる度に少しは成長していたのでしょうが、この時の恋は他で学んだことがひとつも活かせなかった上に、あわや最悪の事態を招いてしまうところでした。
結局は、最悪の事態を招く前に本によって救われたんですけどね。
本書を拝読して、溺れたままになる人と溺れかけたけど救われる人の違いって何だろうと考えさせられました。
与えられた愛をしっかり受け入れているかいないかの違いなのかもしれません。
愛は色んなところから与えられているはずなのですが、与えられている愛に気付けず受け入れていないのはとても不幸なことだとも思います。
私は、その後また恋に溺れてしまうのですが。
その波はやっと落ち着き、今は何も考えず背泳ぎでぷかぷか浮かんでいるような心地です。
今拝読中の遠藤周作さんの作品の言葉をお借りするならば、恋が愛に変わりつつあるところなのかもしれないですね。
まぁ、まだ先のことはわかりませんが今を楽しみたいと思います。
辻村深月さんは本作が初読でしたが、初作品に本作を選んだのが正解だったのでしょうか。
いや、私にとっては正解。
読後どよーんとなる感じ、結構好きです私🤫
なにより、ヒグチユウコさんの美しいけど醜いものを表したような装画が物語とピッタリで改めて素敵な装丁だなと思いました。
本書は再読することはないかもしれないけど、置本として手元に残したい1冊です。
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