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【墨絵本】線のたび

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埋もれていたスケッチブックを発掘したことから、思いつきで始まった物語。 墨絵本。
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#日記

線のたび(11)

線のたび(11)

果てしなく広がる宇宙の何処か奥深い場所から、まだ行った事のない憧れの何処かへと下へ下へと降りてきた宙の子。

途中で出逢えたちょっぴり気になる子は、自分が居た宇宙を目指して昇っていくと言っていた、天の子。

天の子が住んでいた場所は、
遠くから、ぼんやりと浮かんで
柔らかく暖かそうな色に包まれていた心地良いところだった。

碧や緑や翠色が混ざって、
ずっと留まりたくなるような、
不思議な場所。

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線のたび(10)

線のたび(10)

宙の子は、フワリと上から持ち上げられるような不思議な力を感じながら、身を任せていた。「なんだろうな、この感じ。
僕は、まだここに居たいのに。
でも、行かなければならない氣もするし。
なんだか、また眠くなってきたな。」

宙の子は、静かに自分を包み込むあたたかくて、柔らかいものを感じながら、再び眠りに落ちた。

そして、降りてきた軌跡をまた辿り帰るように、すっと、軽やかに上へ、上へと昇って行った。 

線のたび(8)

線のたび(8)

宙の子は、すれ違って行った何かを
見送ったあと、再び下へと進んだ。

あぁ、あの辺りかな?
段々と色が濃くなってきたなぁ。
あそこから降りてみよう。

宙の子は、近づくにつれて色がくっきりと観えてくるのを確かめながらグッとスピードを上げた。

宙の子は、深い、淡い、暖かく萌えている碧色の
雲のような塊の中に入って行った。

「なんだか、とっても優しい。
柔らかい翅の中に包まれているみたいだな…なん

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線のたび(7)

線のたび(7)

宙の子は、今から向かおうとしている、
遥か下に観える碧色らしき何処かから、真っ直ぐに昇ってくるモノに驚いた。

な、なんだろう…。

向かってくるモノは、深く濃い暗いような、
重たい、真っ黒な塊のようにみえた。
宙の子は、動きを止めて、じっと、それが
勢いよく昇ってくるのをじっと眺めていた。

それが近づいてくると、真っ黒ではなくて、
なにか、たくさんの色が織り混ざっていることがわかった。

そし

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線のたび(6)

線のたび(6)

落とした何かを探しに降りてきた事を
思い出した宙の子は、ぼんやりと何かを思いながら、スルスルと下へ下へと向かって伸びて行った。

仄かに、みどり色が見える場所に。
明るく見えて、なんとなく薄暗くも見えてきたあの場所に。

なんだったかなぁ、落としたモノ…。
さっき出会った子とおしゃべりしてたら、すっかり忘れちゃったなぁ…。

ま、そのうち思い出すかもしれないから、
いいかな。
今は、見えてきたたあ

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線のたび

線のたび

墨絵本

昔から、いろいろなものを"ジャケ買い"する私。
地層からその軌跡を発掘。
スケッチブック。
手付かずだった。

打つよね、点を…

せっかくだから、使おうと思って。
思いついたことを一枚目に描いた。
気の向くまま、描いてみようと思う。

墨絵本。
不定期更新。