線のたび(7)
宙の子は、今から向かおうとしている、
遥か下に観える碧色らしき何処かから、真っ直ぐに昇ってくるモノに驚いた。
な、なんだろう…。
向かってくるモノは、深く濃い暗いような、
重たい、真っ黒な塊のようにみえた。
宙の子は、動きを止めて、じっと、それが
勢いよく昇ってくるのをじっと眺めていた。
それが近づいてくると、真っ黒ではなくて、
なにか、たくさんの色が織り混ざっていることがわかった。
そして、それは、佇む宙の子に気がつかずに、
何も言わずにそのまま通り過ぎて行った。
あれは何処に行くんだろうか?
なんだか少し、苦しそうに見えたけど。
ところどころ、透き通った綺麗な色が
見えたなぁ…。
きっと、上に向かう途中で、ゆっくり、
あの重たそうな何かが離れていって、
少しずつ、透明な色が広がって軽くなっていくのかな。
ボクが宙に帰ったら、
逢えるかもしれないな。
そしたら、今、すれ違ったことを話そう。
そんなふうに思いながら、宙の子はまた、
動きだした。下へ下へと。
ちょうど、そよそよと吹いてきた風に乗って。
あの、碧色の方へ向かって。
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