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「町を育てる」という発想
自分が住んでいる場所以外に、定期的に訪れる町はありますか?
例えばわたしは地元以外だと
▽会社▽美容院▽美容皮膚科とまつげパーマと歯医者(全部同じエリア)▽不妊治療▽普通の皮膚科あたりでしょうか。
なので自宅エリア以外に、5ヶ所のエリアをほぼ毎月うろうろしていることになる。
だいたい家から近いほうがいいんだけど、
わりと歯医者とか皮膚科とかは性格柄こだわるポイントも多く、一方で住んでいるエリアは住宅街なので目ぼしいところもなく、こうなってしまう。
それでもまあ定期圏内で通えるところで、片道どう長くても許せるのは45分以内ですかね。不妊治療は全く定期圏内ではないのですが、これはまあ仕方ない。
余裕があれば、その出かけるタイミングでランチしたり、カフェで手帳書いたり本読んだりするのも好きです。
以前まで、この定期的に同じエリアに行って用事を済ませ、帰宅するという一連の流れは、ある意味「流れ作業」だったのだけど、
ある日、朝井リョウさんのエッセイの一文を読んで、その上考えが大げさではなく、180度変わることになった。
それは
朝井リョウさんのエッセイ「そして誰もゆとらなくなった」
朝井さんが病院通いしていることを語る場面で
「時間も体力も奪われる行為だけど、定期的に訪れる町が一つ増える。行くことのなかった待ちが、見慣れた景色となっていくのは悪い家庭でなかった」
と。
ちなみに、わたしは朝井リョウさんのエッセイが好きで好きで、全作読んでいる。この「そして誰もゆとらなくなった」は最後の作品らしいが、そんなこと言わずファンとしてはもっともっと書いてほしい。
いや~~~この一文を読んだとき、まさに目から鱗って感じでした。
そうか、町がどんどん自分のなじみの場所になっていくことか。それってとっても素敵なことだなあ、と。
この発想の転換によって、わたしは行ったことのないカフェに行ったり、決まった場所でランチしたりせずに新たに開拓したっていいじゃないかと思うようになった。
ちょっと大げさかもしれないけど、「町を育てていく」という感覚でしょうか。
自分が好みの店を見つけて、自分の中でブックマークする。
せっかく定期的に行くのなら、そのほうが楽しいな~~って思うようになって、たとえ病院でも義務感で行くことがほとんどなくなりました。
むしろ、「いつかこのエリアを懐かしく思える日がくるのかな~~」とも思ったりします。
そして、この発想の転換ができるようになってから、お気に入りの喫茶店ができたり、ご飯屋さんができたりと、実際、ほんとうにいい感じ。
ちょっとした発想の転換で、見えるものは違ってくるなと実感した出来事です。
これからも、少しずつ少しずつ、それぞれのエリアで自分の居場所を育てていきたいな。