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不確実性と向き合うには...『ブラック・スワン』を読んで


ブラックスワン 黒い白鳥 とは

この本はサブタイトルにあるように「不確実性とリスクの本質」の本です。

ブラックスワンは(日本語で書くとおかしいですが・・・)、白鳥は白いと過去ヨーロッパでは思われていたそうです。(僕もこの本を読むまでずっと白鳥は白いものしかいないと思っていて、バレエの世界だけに存在すると思ってました。生物学は疎いです。。。)1697年にオーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ:ブラック・スワン)が発見されてから黒い白鳥もいると認識されたようです。以来、ヨーロッパではありえなくて起こりえないことを述べる場合、“ブラックスワン”という言葉を使うようになったということです。
元ヘッジファンドの達人として知られる認識論学者のナシーム・ニコラス・タレブ氏がこの著書の中で、確率論や従来からの知識や経験からは予測できない極端な現象(事象)が発生し、その事象が人々に多大な影響を与えることを総称して名付けたものをブラックスワン理論と言います。

この本ではそういった現象が起こることを 黒い白鳥が現れると表現しています。このような 黒い白鳥 が来ることを僕らは予測できるのか、予測できない理由は何かを説明した本が『ブラック・スワン 上・下』です。
著者のナシーム・ニコラス・タレブさんの博学ぷり(経済、歴史、テクノロジー、数学、哲学など幅広い分野)と切れ味鋭い表現でとても知識欲が刺激される本となります。

ブラックスワンの影響

過去の歴史において、ブラックスワン的な事象が及ぼしたことによって大きな変化があったということです。
少しずつ進化を遂げていたわけではなく、ブラックスワンが現れてジャンプするように変化してきたと言います。
過去の歴史でもまさにそうだったと思います。日本を例にとれば、黒船襲来や第二次世界大戦の敗戦が象徴的な例と思います。
またテクノロジーの変化については蒸気機関が発明されて産業革命が起こり人口の爆発を迎える転換が起こったこと、インターネットからIT革命が起こり産業構造の変化が劇的に起こったことも言えるかもしれません。

ブラックスワン理論の例

思い返せば、僕の人生でも多くの黒い白鳥が飛来してきました。
地下鉄サリン事件、アメリカ同時多発テロ事件、東日本大震災と原発の爆発、最近だとロシアのウクライナ侵攻やコロナの世界的蔓延など。

映画も、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 の興行収入が歴代1位になったことも記憶に新しいと思います。

ブラックスワンの出現を予測できるのか

著者は以下のように言います。

人間にはランダム性、特に大きな変動は見えない

『ブラック・スワン』より引用

私たちの人生は繰り返すことが多いです。そしてそのことによって学んでいきます。
まさに東日本大震災のことをすっかり忘れてしまっている人も多いですし、最近ではコロナのことを忘れつつある人もいると思います。

そういった意味では、ブラックスワン的な現象はいつ起こるかわからないけど、起こる可能性があると認識しておくことでも大分違うのではないでしょうか。
ブラックスワンが来くることを考えると、歴史や統計データをもとにした10年以上先の未来予測はあてにならないかもしれません。


ブラックスワン理論の投資やビジネスでの活用

僕らの世代で起こったことでいうと、ITのサービスが市場を支配するような伸びを示す、GAFAのような企業の成長を私たちはまのあたりにしました。
これはまさにブラックスワン的なのだと思います。
ブラックスワン的な破壊的なイノベーションを見つけていくには、チャンスがあればなんだってやってみる のがいいのかなと思います。
チャンスはどこにあるかわからないですし、当たったらとてつもなく成長をするのだから。
前例がないとダメとか、そういうことを言わずに。

投資するにしてもこういった企業に早くから出資した投資家も儲かったと思います。こういう銘柄もビジネスモデルが理解できなくともポートフォリオに入れておくといいのかも知れません。

最後に

黒い白鳥は コロナや東日本大震災のようにものすごく悪いインパクトを与えてくれるものもあれば、インターネットの登場みたいに市場を活性化させ生活様式が変わるようないいインパクトをい残すものもあり、残念ながらそれはいつ起こるかわかりません。

この本では著者はこう言います。

自分のすることであれば、いつだって自分の思いのままにできる 

『ブラック・スワン』より引用

この本はかなり幅広く、僕が記載したことも表面的なことのみです。ぜひ上下巻とも手に取って読んでほしいです。


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