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思い出の扉

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2024年12月の記事一覧

デジャヴ・・・・か?

デジャヴ・・・・か?

三十数年前のこと
神奈川県の逗子に行ったことがある。
横須賀の叔父が亡くなった時がその時で
荼毘に付すためにそこに行ったのだ。
逗子という町はぼくにとって初めての場所だった。
何年間か東京に住んでいたことがあるのだが
その頃にも行ったことはない。

さて、荼毘に付した後、宴会が行われたのだが
翌日仕事のぼくは途中でそこを抜け出し
羽田に向かうことになった。ところが
初めての場所なので地理がまったく

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節目の写真

節目の写真

1,
 昨日の写真の続きだが、ぼくは人生節目の写真を撮ってない。七五三は昨日書いたとおりだ。その後、学校の入学や卒業の写真(集合写真や卒業アルバムは除く)は撮ってないし、成人の写真もない。

2,
 成人の日のこと、ぼくは市の成人式には向かわず、ご祝儀をもらうために親戚周りをしていた。

 伯母の家に行った時、伯母が「写真撮ってあげる」と言った。ぼくは断ったのだが、伯母がしつこく言うので渋々付き合

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【詩】十二の月のあの頃は

【詩】十二の月のあの頃は

十二の月のあの頃は
三畳一間の部屋の隅、
六十年代に作られた
こげ茶色のストーブひとつ。
ストーブは黒い煤を吐き
目を瞬かせれば雨が降る。

雨は激しく音を立て
いつしか静かな雪になる。
ガラスの瓶の中に浮かぶ
ろうそくの灯りに影は揺れ
影は小さく夢を映し
雪の扉に溶けていく。

十二の月のあの頃は
十二の月のあの頃は
希望と挫折に染められた
言葉と歌にいろどられ
煙草の煙にむせびながら
目を瞬か

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煤けた箱

煤けた箱

前に働いていた会社にいた頃、
間抜けな簡字体漢字と
不格好な仮名文字が印刷してある、
妙に煤けた段ボール箱が、
月に何度か届いていた。

ぼくはこの箱を触るのが嫌だった。
箱もそうだが、
中に入っている商品も、
なぜか薄汚れて見えるのだ。
しかもその箱、虫でもいるのか、
触ったあとにいつもブツブツが出来ていた。
そこでこの箱を検品する時は、
それが夏の暑い時でも
長袖の作業着を着込み、
分厚い軍手

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【詩】転職した日の朝

【詩】転職した日の朝

馴染みのない整髪料のにおいが
コーヒーのかおりにつつまれて
狭いこの部屋の中を漂っている。
基本的に好きじゃないにおいだ。
というか気分が悪くなる臭いだ。
ここで昼食をとれと言われたら
きっと飯が喉を通らないだろう。

だけど慣れるしかないんだよな。
でないと勤まらないんだからな。

水道水

水道水

1,
 家に帰ってから水道水でうがいをする。口に入れた瞬間、あまりのまずさに水を吐き出してしまう。こういうことがしょっ中ある。いくらきれいだからといっても、最近の水道水はうまいものではない。

2,
 子どもの頃の楽しみのひとつに、広場で野球をするというのがあった。組織化された少年野球とかじゃなくて、誰彼となく集まっては成り行きで野球を始める、つまり草野球だ。

 夏の炎天下でも厭わなかった。太陽

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