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新谷勝老
2024年12月30日 17:00
三十数年前のこと神奈川県の逗子に行ったことがある。横須賀の叔父が亡くなった時がその時で荼毘に付すためにそこに行ったのだ。逗子という町はぼくにとって初めての場所だった。何年間か東京に住んでいたことがあるのだがその頃にも行ったことはない。さて、荼毘に付した後、宴会が行われたのだが翌日仕事のぼくは途中でそこを抜け出し羽田に向かうことになった。ところが初めての場所なので地理がまったく
2024年12月26日 17:00
1, 昨日の写真の続きだが、ぼくは人生節目の写真を撮ってない。七五三は昨日書いたとおりだ。その後、学校の入学や卒業の写真(集合写真や卒業アルバムは除く)は撮ってないし、成人の写真もない。2, 成人の日のこと、ぼくは市の成人式には向かわず、ご祝儀をもらうために親戚周りをしていた。 伯母の家に行った時、伯母が「写真撮ってあげる」と言った。ぼくは断ったのだが、伯母がしつこく言うので渋々付き合
2024年12月22日 09:30
十二の月のあの頃は三畳一間の部屋の隅、六十年代に作られたこげ茶色のストーブひとつ。ストーブは黒い煤を吐き目を瞬かせれば雨が降る。雨は激しく音を立ていつしか静かな雪になる。ガラスの瓶の中に浮かぶろうそくの灯りに影は揺れ影は小さく夢を映し雪の扉に溶けていく。十二の月のあの頃は十二の月のあの頃は希望と挫折に染められた言葉と歌にいろどられ煙草の煙にむせびながら目を瞬か
2024年12月16日 19:19
前に働いていた会社にいた頃、間抜けな簡字体漢字と不格好な仮名文字が印刷してある、妙に煤けた段ボール箱が、月に何度か届いていた。ぼくはこの箱を触るのが嫌だった。箱もそうだが、中に入っている商品も、なぜか薄汚れて見えるのだ。しかもその箱、虫でもいるのか、触ったあとにいつもブツブツが出来ていた。そこでこの箱を検品する時は、それが夏の暑い時でも長袖の作業着を着込み、分厚い軍手
2024年12月3日 06:30
馴染みのない整髪料のにおいがコーヒーのかおりにつつまれて狭いこの部屋の中を漂っている。基本的に好きじゃないにおいだ。というか気分が悪くなる臭いだ。ここで昼食をとれと言われたらきっと飯が喉を通らないだろう。だけど慣れるしかないんだよな。でないと勤まらないんだからな。
2024年12月1日 17:46
1, 家に帰ってから水道水でうがいをする。口に入れた瞬間、あまりのまずさに水を吐き出してしまう。こういうことがしょっ中ある。いくらきれいだからといっても、最近の水道水はうまいものではない。2, 子どもの頃の楽しみのひとつに、広場で野球をするというのがあった。組織化された少年野球とかじゃなくて、誰彼となく集まっては成り行きで野球を始める、つまり草野球だ。 夏の炎天下でも厭わなかった。太陽