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【詩】十二の月のあの頃は

十二の月のあの頃は
三畳一間の部屋の隅、
六十年代に作られた
こげ茶色のストーブひとつ。
ストーブは黒い煤を吐き
目を瞬かせれば雨が降る。

雨は激しく音を立て
いつしか静かな雪になる。
ガラスの瓶の中に浮かぶ
ろうそくの灯りに影は揺れ
影は小さく夢を映し
雪の扉に溶けていく。

十二の月のあの頃は
十二の月のあの頃は
希望と挫折に染められた
言葉と歌にいろどられ
煙草の煙にむせびながら
目を瞬かせれば雨が降る。

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