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思い出の扉

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記事一覧

昭和45年

昭和45年

1、
 前に、コカコーラのキャッシュバックキャンペーンのことを書いたが、それは昭和45年のことだ。中学の入学後から始まったとぼくは記憶しているのだが、それが正しければ、そのキャンペーンはその年の4月から始まったことになる。

 この記事に書いているコカコーラミニボトルのキーホルダーだが、十数年ほど前に、実家で見かけたことがある。実家にあるぼくのコレクション入れの中に入っていたのだ。
 その写真をこ

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寝不足とラジオ3

寝不足とラジオ3

6,
 東京に出た目的の一つが、ラジオだった。東京でAM放送を聴くのが昔からの憧れだったのだ。ラジオに専念するために、ぼくは下宿にテレビを持込まなかった。

 東京で何を聴いたのかというと、TBSラジオで当時やっていた『マカロニほうれん荘』など一連のラジオ劇画や、文化放送の『セイヤング』だ。
 特に『セイヤング』を聴くのは中学からの夢でもあった。『オールナイトニッポン』や『パックインミュージック』

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お金の行方

お金の行方

 先日、嫁さんと近くのレストランに昼食を食べに行った時、高校の同級生Sにあった。彼は高校以来の友人で、社会に出てからもずっと飲み友だちでいるのだが、コロナ禍があってからは会ってなく、久々の再会となった。彼は仕事でそのレストラン近くに来ていたということだった。しばらく話をして、「また飲み会をやろう」ということで別れた。

 彼と別れたあと、ふと思い出したことがある。それは、高校2年の頃の話だ。
 他

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【詩】階段の怪人

【詩】階段の怪人

階段の怪人が
ジッとこちらを伺っている
来る日も来る日も
飽きもせずに
ジッとこちらを伺っている
たまに足を踏み外すのか
ギイッという音がする

【詩】階段の怪人

階段の怪人が
ジッとこちらを伺っている
来る日も来る日も
飽きもせずに
ジッとこちらを伺っている
たまに足を踏み外すのか
ギイッという音がする

【詩】風を集めて

【詩】風を集めて

中学校の裏手には
小高い丘が続いていた。
人の入らないその丘は
草がぼうぼうと生えていて
蛇やムカデが棲んでいた。

空は滅多に晴れたことなく
丘から下りてくる風が
小さな校庭に落ちていた。
ぼくらはその風を拾い集め
空に向けて蹴り飛ばした。

風は力なく飛んでいき
ゆっくりゆっくり空を舞い
再び校庭に落ちてきた。
ぼくらはそれを受けとめて
力を込めて蹴り返した。

胸やのどに痛みを覚えた
青臭坊

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【詩風】サクランボとキス

【詩風】サクランボとキス

サクランボの茎を口で結べる人は
キスがうまいんだと友人から聞き、
喫茶店に行っては、好きでもない
クリームソーダを何杯もお代りし
必死に練習をしていたことがある。

そのせいで舌や顎などを痛めたり
色んな苦労をしたのだが、何とか
結べるようになった。ただそれで
キスがうまくなったのかどうかは
判らない。言われたことないしね。

ところで口で結ぶ時、舌と同時に
歯を使ってもよかったんだろうか。
キス

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【詩風】ラバー・ソウル (2012/11/20)

【詩風】ラバー・ソウル (2012/11/20)

部活を引退したぼくたちを待っていたのは、
慣れない夕方ラッシュだった。
それまでわりと遅く家に帰っていたので、
いつもバスはガラガラだった。
短い乗車時間だったけど、
だだっ広い空間の中でぼくたちは
疲れた体を横たえて寝ていた。
それがあまりに心地よかったので、
窮屈な夕方ラッシュは地獄に思えた。

地獄の思いをして早く家に帰っても
受験勉強なんぞするはずもなく、
西日の差し込む三畳部屋に引きこも

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【詩風】Xへの手紙

【詩風】Xへの手紙

おそらくあなたは
ぼくが思っているような
女ではないはずです。
おそらくぼくは
あなたが思っているような
男ではないはずです。

もしもあなたが実際に
ぼくの思っているような
女だったとしたら―。
もしもぼくが実際に
あなたの思っているような
男だったとしたら―。
ごくごく自然に二人は
結ばれていたでしょうね。

ドラマな出会いだったけど
一度は意識しあったけど
現実は今の人生なわけで―。
縁がな

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【詩風】第1号

【詩風】第1号

白いボールは風に乗り、
どこまでもどこまでも
飛んでいった。
その行方を目で追いながら、
ダイヤモンドを必死にぼくは、
駆けた、駆けた、駆けた。

一塁を回り、二塁を回る。
このまま一気にホームを駆け抜けろ。
と思っていたら、
三塁にかかったところで、
外野がボールに追いついた。
どこまでも飛んだはずの白いボールは、
スタンドまでは届いてなかった。
外野はホームに向かって投げ返した。
素人とはいえ

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【詩】ぼくの夏

【詩】ぼくの夏

大きく開いた空の下を
夏、きみと二人で歩いていく
静かな風は汗をぬぐって
蝉の輝きは時を止める

遠くで子供達が野球をやっている
カビの生えた思い出が日にさらされ
今にも飛び出しそうなぼくの幼さを
きみは笑って見つめている

そうだこの夏、海へ行こう
忘れてきたふるさとの海へ
きみと二人で子供になって
忘れてきたふるさとの海へ

 お祭りの夜、二人で浴衣着て
 いっしょに金魚すくいやろうよ

幼い

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【詩】雨を見ながら

【詩】雨を見ながら

みんなどうしているんだろうか?
やっぱりこんな雨を見ながら
呼吸をしているんだろうか?
家庭という言葉に安らぎをみるんだろうか?
幸せという言葉にいくつ出会ったんだろうか?
犠牲という言葉に潰されてはいないだろうか?
社会という言葉に振り回されてはいないだろうか?
仕事という言葉にごまかされてはいないだろうか?
疲れという言葉に甘えてはいないだろうか?
時間という言葉にいらだってはいないだろうか?

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【詩】犬のウンチを踏んだ日の人生

【詩】犬のウンチを踏んだ日の人生

基本は土を踏むのと何ら変わらないのですが、
それを踏んだとたん、
それまでの環境が一変してしまうものなのです。
そのことを見聞きした友だちからは馬鹿にされ、
あげくに好きなあの子に暴露され、ついには
「変なあだ名をつけられるのではないか・・」
といらぬ心配をしなければならなくなるのです。

元はといえばあたりかまわずウンチをしまくる
ノラ犬たちが悪いわけなのですが、
ウンチを踏んだという運命に思い

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【詩】退職記念日

【詩】退職記念日

確かに何かやりたかったのだけど、
確かに嫌になっていたのだけど、
本音のところは
何も考えられなくなったからだ。
突然そうなったのではなく、
突然そう思ったのではなく、
十年と数ヶ月がその方向に歩かせたのだ。
人生がヤル気という人為を嫌ったのだ。
いろいろな事件があった。
いろいろな思考もあった。
だけどそれがいつだったかは忘れたし、
体系付けて思い出すことも出来ない。
今日はそんな日だ。
いつも

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