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新谷勝老
2024年11月27日 17:00
ところで、高校1年時の夏休み以外にも、ぼくはショックを受けたことがある。それは再び「おじちゃん」と呼ばれたことではない。もっと先を行っていたのだ。 20年目ほど前だったろうか、ショッピングモールの中でそれは起こった。 嫁さんが買い物をしている最中、ぼくは暇をもてあまし、そこにあったテレビを見ていた。すると、2,3歳くらい男の子が、ぼくの方にトコトコと歩いてきた。そしてぼくの前で立ち止まった
2024年11月26日 17:00
さて、その後は「おじちゃん」などという忌まわしい言葉で呼ばれることは、ほとんどなくなった。それは、頭が真っ白になった今でもそうだ。 まあ、たまにそう呼ぶ人がいないではないが、そういう人たちは、ぼくのことを何と呼んでいいかわからずに「おじちゃん」と呼んでいるのだと思う。愛称として「おじちゃん」と呼ばれることは、まったくないのだから。 ちなみに戸籍上ぼくを「おじちゃん」と呼べる立場にある甥や姪
2024年11月26日 06:30
峠を越えていくバスの中ぼくらは歌を唄っている何という歌か知らないがバスガイドのあとを追い懸命に声を合わせている窓の外は青空に包まれた晩秋の風景が続いているなのにぼくらは窓の外を見ることなしに前を向き必死に声を合わせながら知らない歌を唄っている
2024年11月25日 17:00
「おじちゃん」 ぼくに対してその言葉が初めて使われたのは、高校1年の夏休み、横須賀の叔父の家に遊びに行っていた時のことだった。当時叔父の家には風呂がなかった。そのため、叔父の家に滞在中は毎日銭湯に通ったものだ。 そんなある日のこと、その日は叔母といっしょに銭湯に行っていた。先にぼくが風呂から上がったようで、外に出てもまだ叔母の姿はなかった。そこで叔母が上がってくるのを待っていたのだが、その時
2024年11月25日 06:30
線路沿いの小道で昨日の子供達が手を振りながら汽車を追っていく。運転手のおじさんはそれに答えて汽笛を鳴らし煙を噴かしてくれる。田んぼと電柱の他に何もなかった田舎町の小さな思い出であります。
2024年11月23日 17:00
かつて『象が踏んでも壊れない』という筆箱があった。テレビのコマーシャルでは、実際に象が踏んでいる映像が使われていた。しかしそれは象が踏んでいるというよりも、足を乗せているだけにしか見えなかった。 象のCMが始まって数年後、ぼくが高校一年の時だった。『やはりあれはおかしい』ということで、ぼくは友だち数人といっしょに、教室でその実験をやってみた。実験には、ぼくが中学時代に使っていた古い『象が踏
2024年11月22日 17:00
1、 前に、コカコーラのキャッシュバックキャンペーンのことを書いたが、それは昭和45年のことだ。中学の入学後から始まったとぼくは記憶しているのだが、それが正しければ、そのキャンペーンはその年の4月から始まったことになる。 この記事に書いているコカコーラミニボトルのキーホルダーだが、十数年ほど前に、実家で見かけたことがある。実家にあるぼくのコレクション入れの中に入っていたのだ。 その写真をこ
2024年11月18日 17:00
6, 東京に出た目的の一つが、ラジオだった。東京でAM放送を聴くのが昔からの憧れだったのだ。ラジオに専念するために、ぼくは下宿にテレビを持込まなかった。 東京で何を聴いたのかというと、TBSラジオで当時やっていた『マカロニほうれん荘』など一連のラジオ劇画や、文化放送の『セイヤング』だ。 特に『セイヤング』を聴くのは中学からの夢でもあった。『オールナイトニッポン』や『パックインミュージック』
2024年11月8日 17:00
先日、嫁さんと近くのレストランに昼食を食べに行った時、高校の同級生Sにあった。彼は高校以来の友人で、社会に出てからもずっと飲み友だちでいるのだが、コロナ禍があってからは会ってなく、久々の再会となった。彼は仕事でそのレストラン近くに来ていたということだった。しばらく話をして、「また飲み会をやろう」ということで別れた。 彼と別れたあと、ふと思い出したことがある。それは、高校2年の頃の話だ。 他
2024年11月6日 00:33
階段の怪人がジッとこちらを伺っている来る日も来る日も飽きもせずにジッとこちらを伺っているたまに足を踏み外すのかギイッという音がする
2024年11月3日 06:30
中学校の裏手には小高い丘が続いていた。人の入らないその丘は草がぼうぼうと生えていて蛇やムカデが棲んでいた。空は滅多に晴れたことなく丘から下りてくる風が小さな校庭に落ちていた。ぼくらはその風を拾い集め空に向けて蹴り飛ばした。風は力なく飛んでいきゆっくりゆっくり空を舞い再び校庭に落ちてきた。ぼくらはそれを受けとめて力を込めて蹴り返した。胸やのどに痛みを覚えた青臭坊