パータ・ボンブって、なんだ?[クリーム編vol.6]
パータ・ボンブの話をしよう。
卵、砂糖、水。
たったそれだけ。
コクと軽さ。
唯一無二。
ムース。
パルフェ。
バタークリーム。
その礎。
今日。
あなたは知ることになるだろう。
おはようございます!真白けいです!
お菓子の面白さ・奥深さを広めるために、見習いパティシエとして皆さんと一緒に学んでいきます。
読んでくれた方は、スキいただけるとすっごく嬉しいです!!ボクのやる気スイッチですので遠慮なく押してください!!
今回のテーマは、パータ・ボンブ です!
実は、この子はソロで活躍する場面はあんまりありません!!
でも!これからクリームを説明するには欠かせない!ってことでご紹介します!!
早速、一緒に勉強していきましょう!!
Pâte à bombeって、なんだ?
では、ちゃっちゃと結論を出してしまいましょう!べべん!
pâte à bombe
(パータ・ボンブ)
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卵黄にシロップを加えて泡立てたもの
つまりはメレンゲの卵黄バージョンだと思ったらいいのかな?
メレンゲについて知りたいよーって方はこちら。
ただーし!
卵白と同じ様にふわっふわの洗顔フォームに簡単になるかと言えば、そうではないらしいんです。
これは、卵黄に含まれる脂質が泡立ちのジャマをするからです。詳しくはまた卵の記事の時に。
つまり卵白の時は簡単に泡立ったけど、卵黄を泡立てようと思ったら、なんらか工夫をしないといけないって話です。
手のかかる子です…。
具体的に言うと、卵黄が空気を含んで泡立つためには、温度を上げる必要があります。表面張力っちゅうもんが緩まるんだとか。
そこでパティシエは、大きく分けて2つの方法を取っています。
煮詰めボンブと湯煎ボンブ
見出しで先にネタバレしましたが、この2つです。
っていうかボクの記事いつも見出しで軽くネタバレするんですが、話の運び方がヘタクソなのかな…。ぜひご教授ください。
話をパータ・ボンブに戻します!
この2つ、煮詰めボンブと湯煎ボンブと言いますが、愛称です。通称です。ニックネームです。現場言葉です。
その作り方からなんとなく親しみを込めて呼んでいます。正式名称とかではないので、ご注意下さい。
ではまず、煮詰めボンブとはなんぞや。というお話です!
煮詰めボンブ
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卵黄に少量の砂糖を加えて泡立てておき、そこに115〜117℃に煮詰めたシロップを注ぎつつ、さらに泡立てる方法
おお!これは前に似てるものをやりましたね〜!
さあ、なんでしょう?
そう!さっきリンクも貼ったムラング・イタリエンヌですね!
その時は卵白に煮詰めたシロップを注いでいました。その卵黄バージョンです!
シロップを煮詰めるから、煮詰めボンブってことか〜!なるほど!
ちなみにムラング・イタリエンヌの時は117〜120℃まで煮詰めます。今回はそれより少し低いので要注意!
ちょっとでしょと思って油断すると、シロップに笑われますよ。
続いては湯煎ボンブ!
湯煎ボンブ
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卵黄に煮詰めないシロップを加え、湯煎で83℃まで温度を上げ、それを泡立てる方法
うう〜!ややこしや〜!!
まず湯煎って何かわかりますか?…わかるか。笑
皆さんの知識を侮ってはいけませんね。反省。
一応湯煎(ゆせん)とはなにか言うと、直接火にかけず、お湯を熱して、そのお湯の熱で温めることです。お湯を間に挟んでる状態。
だって、直接火にかけたら卵焼きできちゃうもん。
ゆっくり、温めてることを卵黄に気づかれないようにソロリソロリと全体を高めていきます。
ちなみに砂糖を入ってるので、卵黄単体の時より卵焼きになる温度がもうちょっと高くなります。余裕が少しできます。これは、気泡の働きで直接卵に火が入るのを和らげてくれるのと、砂糖の働きのタンパク質の熱変性抑制です。
詳しくはこちら!
そして、煮詰めないとはいえ砂糖ではなくシロップを使う理由は、大量に入る砂糖のつぶつぶが溶け切らずに残るのを防ぐためです。
でもなんでこんな周りくどい方法をするんだろ。
①シロップ作る
②シロップ注ぐ
③温度上げる
④泡立てる
…って、4ステップもあります。
実は、こうした方が、湯煎しながら温度を確認できるので、卵が加熱殺菌できているかの目安がつけやすいらしいです。
だからむしろ煮詰めボンブは早くできるための省略法みたいな感じです…!!
そして、泡立ったパータ・ボンブはコクと軽さを兼ね備える!!しかし!!使う場面は!!
・クレーム・オ・ブールのベース
・ムース、特にムース・オ・ショコラのベース
・パルフェ(アイスクリーム)のベース
・クレーム・シャンティイと混ぜてサンマルクのクリームに使う
という、ベースベースベースでもう一つあったら野球やれそうなラインナップなので、
味とかいうよりは、作りやすさ、お菓子に対するストレスの少ない方を選んで使い分けているようです。
あと泡立てると言ってもメレンゲと違い、
とっっっても重いので間違っても手でやろうとか思わないでください。片腕もげます。
パータ・ボンブの由来
お待ちどお!由来の時間です!!
まずはお名前から見てみましょう。
これは、「ボンブのための生地」っていう意味です。今回は生地っていうよりベースって感じかな。
じゃあボンブってなんぞ?ってことですが、直訳すると砲弾です。
実は、パータ・ボンブは砲弾に詰められていたものなんです!BOM!!
…もちろん嘘です。びっくりして既に周りの人に豆知識披露した人ごめんなさい。
でも直訳するとボンブ=砲弾までは本当です。
爆弾の形のようにも見える、砲弾型、球形、円錐形の型がありまして、
そこにアイスや生地を入れて型取ったお菓子を
ボンブ・グラッセと名付けて提供されておりました。
ボンブ・グラッセは2種類の生地を使わないといけないらしく、
パータ・ボンブは生クリームと合わせて生地として中に詰められました。
なので、ボンブのための生地、つまりパータ・ボンブとなったとさ。
さあ、続きまして誰が発明したの?!
って話をしたかったのですが、どうにもこうにもわかりませんでした。誰も教えてくれなかった…。
ただ、ボンブ・グラッセは1882年にレストランのメニューに登場したという情報がありましたので、パータ・ボンブもそのあたりにできたのかなー??っていう感じです。
パティシエ的に言い訳をすると、
メレンゲ然りパータ・ジェノワーズなどのスポンジ生地然り、
卵に砂糖を加えて泡立てるということはずっとやってきたわけで、
いつなんどきだれがやり始めてもおかしくないんだもん!!!
卵黄泡立てたいなーってなって温度上げ始めたとしても不思議じゃないんだもん!!もんもん!
ってことでご容赦ください…。何卒…。
でも、科学より先に、経験からこういう作り方をしてるってことがすごいですよね。
いろんな科学の要因が今はわかってますが、それまでは本当に奇跡の上に成り立っていたんでしょうね!
お菓子作りは奇跡の錬金術だなぁ。すごい…!
結局、パータ・ボンブって、
「縁の下の力持ち」だと思う。略して縁さん。
普段自分が前に出ることはなく、みんなに認知されにくい存在だけど、こいつがいなかったら濃厚でふわっとしたチョコムースもアイスクリームも食べれなくなります。
お菓子作らない方も、食べる時にはぜひ、パータ・ボンブが頑張ってるのかなって思ってみてください!!
ということで今回は以上です!
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次回の大テーマは…
待望の「クレーム・オ・ブール」です!
やるやる言っててやっとやれます!
ぜひまた覗いてね!
参考文献
中山弘典 木村万紀子、科学でわかるお菓子の「なぜ?」、柴田書店、2018
川北末一、プロのためのわかりやすいフランス菓子、柴田書店、2018
アールデコの天然真珠の最高級ボンブリング、アンティークジュエリー、閲覧日2021-3-14、https://heritage-aj.com/2019/11/1p-d-r-19-1120.html
ボンブ型、一般社団法人日本洋菓子協会連合会、閲覧日2021-3-14、https://gateaux.or.jp/ufaqs/ボンブ型/
パータ・ボンブ、お菓子の辞典 は、閲覧日2021-3-14、http://www.la-fontaine.co.jp/jiten_ha.htm
パータ・ボンブ、加藤信の世界、閲覧日2021-3-14、http://www.grand-patissier.info/MakotoKato/base/00000004/index.html
ケーキの疑問にお答え。グーちゃんが教えるパータボンブとアングレーズクリームの違いと使い分け、手作り菓子工房ペルシュ、閲覧日2021-3-14、https://www.perruche.jp/5163.html
パータ・ボンブ、パティシエwiki、閲覧日2021-3-14、https://www.patissient.com/wiki/パータ・ボンブ
※この記事は上記の参考文献を元に執筆しました。諸説あるものは一部のみ紹介しています。
また、新たな事実を勉強し次第、追記・編集する場合があります。