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災害関連死を防ぐのは栄養バランスと水
前回、イタリアの防災について述べています。
被災州ではない隣接州の州政府が被災州に入っていることが肝心要です。
いつもと同じような食事が取れることも大事ですが、最重要ではありません。
しかしながら、食事は重要です。
「最」ではないだけのこと。重要なんです。
食事は災害関連死を防ぐからです。
「温かくて美味しい食事」で良いか
食事は災害関連死を防ぎます。
私は食事の改善も必要だと思っています。
しかしながら私は、「温かくて美味しい食事」と結論づけていては、危ないとも思っています。
何故か。
「栄養は偏っているけど美味しい」ということがあるからです。
日本人は我慢強いため、危ないのです。
炊き出しがあるだけでもありがたい。
温かいものを食べられるだけでもありがたい。
日本人はそういうことを平気で言います。
けれども、それではいけないわけです。
栄養バランスまで考慮されてはいないからです。
大事なのは栄養バランスです。
不足しがちな栄養素は大震災時にも不足するので気をつけておかないといけません。
大事なのは栄養バランス
日本栄養士会の専務理事・下浦佳之さんは、こう述べています。
下浦さんは能登半島地震直後の今月2日以降たびたび現地に入り、支援物資が集まる金沢市や石川県七尾市の拠点で避難所などへ送る食料の仕分けなどに携わりました。
下浦さんは、避難生活が続く中で懸念されるのは栄養の偏りだといいます。
避難所などでは、手に入る食料が限られ、肉や魚、野菜や果物などをとる機会が減ることで、たんぱく質やビタミン、食物繊維などの栄養を摂取する機会も減少します。それによって免疫が下がるため、かぜを引きやすくなったり感染症にかかりやすくなったりする可能性が高くなると指摘します。
逆に、栄養を取り過ぎてしまうことにも注意が必要です。たとえば高血圧の人がカップラーメンなどで塩分を取り過ぎることで、持病を悪化させるリスクがあるといいます。
能登半島地震の支援物資には、カップラーメンもあるわけです。
私はカップラーメンそのものの是非を述べようと思っていません。あっても良いと思っています。
「温かくて美味しい食事」ですからね。
ただ、「温かくて美味しい食事」であるからこそ「イタリアのように温かくて美味しい食事」と、カウントされてしまいかねない。
だからこそ強調したいのです。
大事なのは「温かい」や「美味しい」ではなく、「栄養バランスの良い」食事であると。
大事なのは栄養バランスです。
上水道と下水道が災害関連死を防ぐ
栄養バランスは災害関連死を防ぎます。
免疫力の低下を防ぐからです。
さらに、忘れてはならないのが「水」です。
災害関連死は、呼吸器系疾患と循環器系疾患が、その多くを占めています。
水不足による誤嚥や血栓が多いのです。
この「水不足」とは、飲料水不足のみを意味するものではありません。劣悪な排泄環境に伴って、「水分補給を自粛すること」を含んでいます。
TKB(トイレ、キッチン、ベッド)が提唱されているのには、誤嚥と血栓の防止の観点もあるのです。
必要なのは我慢せずに済む状態です。
排泄に行くのを我慢しなくて良い状態。
水を飲むのを我慢しなくて良い状態。
それさえ出来ていないから、誤嚥や血栓によって災害関連死が出るのです。
「温かい」も「美味しい」も必要ではありますが、二の次、三の次です。
まずは「無いよりマシ」な環境を改善しなければ災害関連死の遠因になってしまうのです。