[実行計画のデキ] 障壁を想定しその対処方法を盛り込んでいない計画は、実行計画とは言えない
以前に、概念化の成果物として「実行計画」の大切さを取り上げました。
実行計画では、概念化のアウトプットをヒントに、これからの活動を目標につなぎ込むための具体的な検討が行われます。
実行計画には以下のような効果が求められます。
・ 無駄を避けて行動できる。
・ 課題やリスクに対して先回りできる。
・ 現状を正しく理解しながら行動できる。
・ 実行チームがひとつにまとまる。
「実行上の障壁を打破するためのシナリオ」は、実行計画を構成する中心的な要素です。なぜなら、障壁を放置したままでは目標達成は困難だからです。しかも、「障壁」を打破するのは並大抵のことではありません。
「簡単にできるなら、既にやっているはずだろう」
これがその理由です。
日本の現場は優秀なので、細かすぎる指示(≒実行計画)は不要と思われがちです。全体の枠組みさえ与えておけば、あとは現場合わせでなんとかしてくれるというわけです。しかしそれは、現場が自分たちの権限の範囲内ですべてを完結できる場合の話です。時として、権限の範囲を越えた課題や問題は存在するわけで、それを引き起こす原因のことを、ここでは「障壁」と呼んでいます。
障壁の代表例を挙げておきましょう。
他部門からの協力の欠如
大きな投資
顧客との合意形成の欠如
社内外の反対勢力の存在
過去の失敗体験に対する過度の警戒心
障壁を打破しようとすると、先頭に立つのは実行計画を作成した推進チーム本人たちです。これは彼らにとって相当な重圧です。
彼らは知らず知らずのうちにこの重圧から目を背け、おそらくは、自分たちが解決できそうなものだけをピックアップして実行に移そうとするでしょう。ところが多くの場合、目標達成を阻害するのはここから漏れたもの、すなわち「上層部のスポンサーシップや他部門の協力を必要とする課題や問題」です。それを無視していたのでは推進チームとして失格です。
難題に挑戦するとき、私たちに大切なのは「枠」を超える行動力です。
手始めに直属の上司に話を通すことになるのでしょうが、それで解決できる障壁は極わずかで、たいていは経営幹部を巻き込んだ大騒動になります。経営幹部は時間の調整すら難しいのでチャンスは1回、しかも短時間です。この短時間に共感を構築し結論を出させるには、根拠情報の収集や理論の練り込みといった準備作業が欠かせません。
経営幹部とて人間です。マイナス要因には目を向けたくないわけで、そこにうかつに踏み込むことは危険です。「準備がすべて」、それが幹部とのやり取りで学んだ私の教訓です。
正直いって、気が重い作業です。
実行計画を作成する側には、障壁打破に向けた強い決意が必要です。
ことを荒立てたくないという思いから、私たちはリスクや障壁を避けて通りがちです。この弱気に打ち勝つには、強い決意をおいてほかにありません。
皆さんが推進チームのメンバーとなった暁には、実行計画に向き合う強い決意に期待します。
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