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トップダウンかボトムアップか、それを決めるのは計画だ(1)

今回は「トップダウンでいくべきときか、ボトムアップでいくべきかの判断は計画に盛り込んでおくべきだ」という話です。

2部構成の前半の今回は、ビジネスにおける ”トップダウン” と ”ボトムアップ” について私の理解を共有させていただき、最後に、計画との関係性に触れることにします。

ずいぶん前になりますが、バブルが弾け、日本経済が危機的状況に直面していたころ、「トップダウン」は改革のキーワードでした。当時、コンサルタントとして遅いスタートを切っていた私も例外ではなく、この言葉に踊らされました。
日本のビジネスマンにとって、トップダウンは欧米企業の強さの象徴、そのものでした。

外資系企業を渡り歩く中で、私は、トップダウンのもつ戦略性や効率性、スピード感を肌で感じてきました。

「日本の “ボトムアップ” に対して欧米は “トップダウン”、この違いが日本企業の事業運営を時代遅れなものにしている」

日本企業では感じることのなかった感覚でした。

日本企業がトップダウンを目指す時代はその後も続き、この反動で、日本企業の本来の強みはどんどん失われていきました。

[日本企業が本来もっていた強み]
・ 現場の創意工夫
・ 高いコミュニケーション力(阿吽の呼吸など)
・ 助け合いによる底上げ
・ 自主性や主体性
・ 後輩の育成や技術の伝承
・ 滅私奉公

このリストは “時代遅れ”でしょうか?
日本の開発現場を知る私には、到底そうは思えません。

気付いてほしいのは欧米企業と日本企業の優劣ではなく、特性の違いです。
欧米にはマイクロソフトやIBMのようなグローバル企業が山ほどあります。彼らと日本企業では、企業文化や価値観も違えば、従業員のモチベーションも違います。そんな日本企業が欧米企業のやり方をそのまま真似してもうまくいくわけありません。

私たちが考えなければいけないのは、自分たちが目指す経営モデルであり、そこに至るための道筋です。

足を踏み出す方向は決まっています。
トップダウンかボトムアップかという“カタチ”に拘り過ぎず、それぞれの良さを正しく理解し、うまく使い分けることが大切です。
欧米企業の模倣に始まり今や強みを失いつつある日本企業の中に合って、これは容易なことではありません。

欧米のグローバル企業が成し遂げてきたベストプラクティスを学ぶことはとても大切ですが、それで終わってはいけません。学んだことを咀嚼して、自分たちのものにしなければなりません。
トップダウンの中にボトムアップのエッセンスを加えて日本の価値観に馴染ませ、ボトムアップの中にトップダウンのエッセンスを取り入れて戦略性や効率性を洗練させるのです。

大切なのは、トップダウンでいくべきときか、ボトムアップでいくべきかのケース・バイ・ケースでの判断力です。

今はどのような状況かといえば、この判断は下されていません。

私たちは、幹部が強面だからトップダウンだとか、現場が言うことを聞かないからボトムアップだとか、そういう風になんとなく流されてきました。
しかも、この判断は、事態が動き始めてからでは遅すぎます。初期段階、つまり計画の中にこの判断を盛り込むことが大切です。

回り道しましたが…

「トップダウンでいくべきときか、ボトムアップでいくべきかの判断は計画に盛り込んでおくべきだ」

これが今回、お伝えしたかったことです。

欧米型のピラミッド型の組織はすでに限界を迎えていると言われています。次なる理想の組織モデルは、なんと日本型に近づくと言われています。
その先陣を切るのは私たちです。

計画におけるトップダウンとボトムアップの判断は、想像以上に大切なのです。

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