煩雑なままで複雑なルールを制定したところで定着できない(まずは煩雑さを解消し、次にシンプルなルールで秩序を生み出そう)
「なんとゴチャゴチャした組織なのか」
議論を繰り返すたびに、私はうんざりしていました。あちらを立てればこちらが立たず、どんな仕組みにすればいいのか、途方に暮れていました。
私が直面していた組織は極めて複雑でした。世界数十か国に支社をもち、扱っている商材は多岐に渡っていました。それが原因で、事業運営には大きな支障が出ていました。
業務プロセスやビジネスルールの煩雑さはすでに理解力を超えており、現場では属人性が横行していました。煩雑さと無秩序が影響し合い、状況は悪いほうへ、悪いほうへと向かっていました。
いわゆるネガティブループの状態にあったわけです。
宿命的ともいえるこのビジネス環境を単純化するには、ビジネスのあり方を根本的に変える必要がありましたが、黒字がやっとの状況下にあって、それはあまりに危険な賭けでした。
私たちは追い込まれていました。
改革チームが向かっていた先は、すべてのケースに通用できる複雑なルールを制定することでした。制定後は、厳しい罰則で現場を押さえつけることで意見は一致していましたが、それが無理なことくらい、頭の中ではわかっていました。
複雑であろうとルールはルール、定着させるには罰則も必要ですが、それは程度によります。現場はそれぞれに果たすべき役割を担っているわけで、ルールを守ることが仕事ではありません。複雑なルールや理不尽な強制は反発を招くだけです。
私は困惑していました。
「何もかもが複雑で… 煩雑で… 無秩序で… まったく頭に入ってこない」
複雑、煩雑、無秩序、これらの似たような言葉が頭の中をグルグルと巡っていました。
そんなある日のこと、私は「複雑」「煩雑」「無秩序」、それぞれに異なる状況を表していることに気付きました。
そこで私は、「複雑」「煩雑」「無秩序」という3つの言葉を、3組の対抗軸で整理してみることにしました。
複雑か単純か
煩雑か簡略か
無秩序か秩序か
事業のあり様を考えるとき、事業環境が「複雑か単純か」は、自分本意では決められません。例えばグローバル企業の組織構造は、国内市場だけを対象としている企業ほど単純ではありません。国ごとに政府の対応や法律も違えば、経済形態も違います。無理やりに組織構造を単純化したところで、今度はオペレーションにしわ寄せがいきます。
一方、「煩雑か簡略か」、「無秩序か秩序か」は、どちらも自分たち次第です。自分たちで進むべき方向性を決めれば済む話です。
ビジネスで望ましいのは、煩雑よりも簡略、無秩序よりも秩序の方です。もし、自分たちの組織が煩雑で無秩序なら、早々に手を打たなければなりません。
私たちが直面していたのは、まさにこの状況でした。
考え続けた結果、私は次の結論に行きつきました。
煩雑さを簡略化することも、無秩序に秩序を与えることも大切だが、それは問題の本質ではない。この問題を解くカギは「順番」にある。簡略化してから秩序をつくり上げるのか、それとも秩序をつくり上げてから簡略化するのか。
(おそらく、秩序をつくり上げた後に、わざわざ単純化する人はいないでしょうが…)
これをきっかけに、私たちは、まずは簡略化に取り組むことになりました。
煩雑なままに秩序をつくり上げたとしても、結果的に複雑なルールができ上がるだけです。そんな複雑なルールが定着するわけがありません。無理やりに強制すれば現場は工夫するのを止め、限界に達した時点で反乱が起きてしまいます。
・ まずは煩雑さを解消し、次にシンプルなルールで秩序を生み出す。
・ ルールがシンプルであれば、行動規範を示し定着を図ることができる。
私は、これが正しいやり方だと信じています。
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