【2024年4月】最近読んだ本のご紹介
最近読んだ本の紹介です。 さまざまなジャンルの5冊をピックアップしました!
『日本文化の核心』は読書会で取り上げ、仲間と共にじっくりと読み進めました。読書会ならではの楽しさを味わいながら、知識を深めることができました。 また、レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』は昨年1巻を読み、ようやく2巻も読み切ることができて、達成感に満ちております。独特の文章に挑戦しつつも、その奥深さに触れることができました。積読されている『野生の思考』にも今年は取り組む予定です!
📖松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』講談社現代新書
主催した読書会「ブックダイビング」で取り上げた本で、参加者の皆さんと同じタイミングで読了しました。
私自身、日本文化にとても興味があり学びたいのですが、どこから手をつければ良いのか分からないというのが本音です。坐禅なども体験してみましたが、いまいち何か掴み損ねている感じがしていました。
この本の素晴らしいところは、これ一冊を読めば、なんとなく日本文化を理解した気になれることです。壮大なテーマである「日本文化」を、卓越した編集力でまとめ上げるのは、さすが編集工学を唱える松岡正剛さんです。この本を起点に、米、能、平安時代、禅と道教、自然信仰など興味の方向性は尽きません。
戦後失われた日本人の大切な何か。直線的な生き方から離れる中で、これからは時代に即した精神性を育む必要があるはずです。そんな今だからこそ、日本文化を伝えなければならないという、松岡氏の使命感を感じる一冊でした。
📖世阿弥『現代語訳 風姿花伝』PHP研究所
いつかは日本の伝統芸能である「能」に触れたいと考えていました。ただ、順を追ってそこに辿り着くことが重要だと感じ、特に風姿花伝を読むことに焦ってはいませんでした。
読書会で取り上げた松岡正剛『日本文化の核心』を読む中で、「まねび」と「まなび」を扱っている章があり、どうやら「学び」の本質は世阿弥が説いているようです。「ものまね」から派生する「まねび」と「まなび」。つまり、遡ると「学び」とは「物真似」であるということです。神や霊など目に見えないものを真似ること。それが「能」の世界のようです。現在の自分は「学び」を生き方の中心に置いています。これは早急に読まねばと思いました。
手に取った本書は、現代語訳も読みやすく、さらっと読むことができます。能だけでなく、プロとは何か、達人とは何かを考えさせてくれる本でもあります。なお、一子相伝であるはずの風姿花伝をこうして簡単に読めてしまうことに時代の移ろいとはいえ、世阿弥さんにいささかの申し訳なさも感じました。
なぜ学ぶか。結局は「まことなるもの」に近づきたい衝動が抑え切れないからでしょう。そのためには、「伝統(風)」を受け取り、その先に「花」を咲かせたいと願い、自分は学び続けるしかありません。そして、「花」は、人に内在する「面白い、珍しいと感じる心」だとするならば、自分がどれだけ面白く、珍しい人間になれるかどうかにかかっています。
「秘すれば花なり」
この本を読んで、花の見方や感じ方が少し変わったかもしれません。
📖玄侑宗久『100分de名著 荘子』NHK出版
日本文化を学ぶ中で、日本人が大切にしてきたとされる無常観や遊びの感覚に深みを加えたいと思い、そのために、荘子をしっかりと学びたいと考えました。
「無用の用」という考え方に魅了され、昨年も荘子の本を読みましたが、まだまだその理解が不十分です。「今年こそは」と、荘子を深く理解するために、数冊の荘子関連の書籍を手に入れました。
そして、学びたい偉人が紹介されているなら、まずはこれということで、「100分de名著」から読み始めることにしました。
著者の玄侑宗久氏は禅寺の僧侶です。実は日本の仏教、特に禅は道教、つまり老荘思想の影響を強く受けています。その歴史もこの本で納得できました。
本には次のように書かれています。「遊とは、時間と空間に縛られない世界のことです」。なんとなく理解できるけれども、なお理解できないこの感覚が好きです。
さらに、「みずから」と「おのずから」の違いにも言及されています。荘子は徹底した受け身の感覚を美としています。いわゆる無常です。西洋的な「自由(みずからによる)」と、東洋的な「自在(おのずからある)」の違い。どうやら「おのずから」をもっと探求していく必要があるようです。この本を読んで、「自由」よりも「自在」という言葉を使っていきたいと感じました。
📖レヴィ=ストロース『悲しき熱帯Ⅱ』中公クラシックス
この本で語られる、人類学者レヴィ=ストロースの旅路は、2024年の私たちに何を伝えてくれるのでしょうか。
「他の社会をよりよく知ることによって、われわれは、われわれの社会から自分を切り離すという方法を獲得する」
人類学が未開の部族を研究する意味はここに凝縮されています。
これは現代人があまねく獲得すべき方法ではないでしょうか。他の社会、歴史、文化、自然を知り、学ぶことが、自分自身を今いる環境から切り離し、また戻らせていく力となるはずです。
「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」
この諦めとも楽観ともとれる心に残る言葉。
それでもなぜ人間は誕生し、存在しなければならないのか。おそらくそこに意味なんてないのかもしれません。ただ、それでも精神を宿し、言語を操る人間が、生と死に悩み、一生を全うするところに尊さも感じます。
📖豊田和弘『ひとりぼっちの叛乱 とうちゃん、巻機山に生きろ』山と渓谷社
地域再生でご支援している新潟県中心の雪国リトリート。
そのリトリートでお世話になる「山の宿 雲天」という一軒のお宿があります。
そのお宿にまつわる、ノンフィクションの物語がまとまっているのが本書です。すでに絶版のため、中古で入手しました。
舞台は、昭和46年。百名山の一座にも数えられる巻機山にスキーリゾート開発が持ち上がります。昭和のリゾート開発ブームにおいてはよくある話です。
ただ、「山の宿 雲天」のご主人が、普通ではない人でした。
自然を愛し、山を愛し、動物を愛し、そこに来る人々を愛していました。絶対にスキー場開発は集落のためにならないと信じて疑いませんでした。村八分になりながらも、スキー場開発に反対し続けました。
そのおかげで、今の巻機山にスキー場はありません。
スキーブームが去った後だからこそ感じる、自然の尊さがそこには残っています。
自分の世代が生まれたときは、雪国にスキー場があることは当たり前でした。小さい頃からスキー場に行っては雪を楽しんでいました。
しかし、いまはスキー場の呪縛に苦しんでいる地域も見ています。スキー場をこんなにたくさん作る必要があったのかと感じます。
この本では、なぜ昭和にスキー場がたくさん生まれてしまったのか、日本の政治や経済の背景をも知ることができました。
何が正しいのかはその時代によりますが、この巻機山が守られたことは正しいことだと感じます。
先日、その「山の宿 雲天」にお邪魔してきました。
まさに神殿ともいえるようなただならぬ荘厳さを感じるお宿です。
そのお宿は本の主人公の先代から、息子さんである現当主に託され、今も多くの人たちに愛されています。
最近読んだ本のご紹介は、大体月1回ペースでnoteにしていこうと思っております📚
読んだ本はインスタでタイムリーに紹介しているので、もし興味ある方はぜひフォローしてください😁
〈instagram〉
https://www.instagram.com/masaki.tomaru/
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