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木を切る・竹を切るというライフスキル

文筆家・ファシリテーター・ライフコーチのまなみです。
「自然の中に学びの場をつくる」ことを目標に、2024年2月から東京都日野市に越してきました。
美しい作品を考え、作り、表すことで学習者の主体性を育み、学習者・コミュニティ・世界中の生命を豊かにする、そんな学びの場をみなさんとつくっていけると嬉しいです。


今回のnoteは今年5月から参加している、日野市の雑木林ボランティア養成講座についてです。noteを書くのも三作目になりました。一年間のカリキュラムのうち、前半は講義がメインだったのですが知らないことがたくさんありました。最近は後半に差し掛かってきて、実技が増えてきてよりいっそう面白くなってきています。


質問ですが、みなさんは木を切ったことがありますか?
あるいは竹を切ったことはありますか?

私は今までの人生でそんな経験をしたことがなかったのですが、今回日野市のお隣の八王子市の滝山里山保全地域で体験してきました。



日本の森林環境の背景


現在東京都は50の保全地域を指定しています。そのほとんどは多摩地域に位置していて、日野市からも雑木林ボランティアの活動範囲である東豊田緑地や、東光寺大根で有名な日野東光寺緑地が指定されています。一覧を見ていると、他にも川の源流を辿っていたり、用水路を辿っていたりする中で訪れた地域がちらほらあります。今回の八王子市滝山も、近くに滝山城址が築かれていたような自然豊かな場所です。


滝山里山保全地域の入り口。近くにイオンが迫ってきていました…


滝山里山保全地域には雑木林、水田、畑、色々な環境があります。戦後までは木はもっと少なくて、畑として使われていた面積が多かったそうです。今はもともと木が生えていなかった場所に、鳥が種を運んだりして木が生えたりしています。何十年も放置していると大きくなりすぎて伐採しづらくなるので、定期的に伐採するサイクルを回すことが大切になります。


滝山里山保全地域に落ちていたどんぐりからは根っこがニョキニョキと!


今、日本に自然は少ないのでしょうか。
近年自然破壊による地球温暖化が問題になっていて、地球単位で見たら森林の面積は少なくなっています。一方、日本だけで考えると、実は森林劣化・破壊の頂点は明治時代中期なんだそうです。桃太郎の物語が「昔々、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に」で始まるように、昔は燃料・飼料・加工のために木が日常的に切られていました。木を伐採しすぎないようにする工夫は、南北朝時代から室町時代にかけてすでに存在していたと言われています。1960年代のエネルギー革命・肥料革命や1970年代の林業の不振を経て木はどんどん切られなくなり、今が一番量としては多いそうです。


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木を切る!(のを見学する)


そんな背景を学びつつ、滝山里山保全地域で木を健康的なサイクルで育てている取り組みを見せていただきました。まずは樹齢10年ほどのくぬぎをチェーンソーで切る…わけではなく、今回は切っているところを見学させていただきました。


今回伐採したのはこのくぬぎ。
木の傾きを見て、受け口を書いていきます。
倒したい方向に紐を通しておきます。
受け口をカットし終わった後。
みんなで引っ張って倒した後の切り株。綺麗に切れるとこんな感じ。
方向がずれてしまうとこうなります。こうなると思いがけない方向に木が倒れて、事故の原因になるそう。
伐採した後に、改めて断面を綺麗にしていました。


木を伐採するところを観察していて改めて感じたのは、"It takes a village to cut a tree down."、つまり「木を切るには村中の協力が必要」ということです。木を倒すとき、最後のとどめを刺すのはチェーンソーではなく、木を引っ張る人間たちです。みんなで協力しないと木は倒れない。そのことをしみじみと感じました。また、樹齢10年の木でも引っ張るのに10名ほど必要だったので、何十年も生えている木を減らすことはとても難しいことだとも感じました。定期的な管理の重要性を痛感します。


真竹を切る!


木を解体した後は、竹林へ。今度は講座受講者も切る側に回ります。
竹は1〜2mくらい間隔が空いていて、かつ色んな樹齢の竹が生えているのがサステナブルな状態だそうです。それ以上詰まってしまうと竹が細くなるし、樹齢が偏っていると切るタイミングが被って一年の作業量が多くなってしまいます。


このくらいの間隔が理想だそう。


竹が密集している竹林で、講座受講生みんなで作業できるのか?
女性でも一人で倒せるのだろうか?

と思っていましたが、先ほどの受け口・追い口を竹でも意識すると、意外と女性でも伐採することができました。ただし、これは真竹に限り、他の竹の種類だと大きくて複数人数で取り組まないといけないこともあるそうです。


みんながそれぞれ伐採した竹。だいたい100本くらい?


一通り竹を切った後は、竹の枝の処理の方法についても色々と教えていただきました。同時に、すごい機械も登場!竹を入れるとバキバキ食べていって、幹も枝も葉も竹チップにしてしまう強者でした。


すごい勢いで粉々になる竹。


こんな形で、今回はみんなで木を伐採し、その後各々で竹を切って処理する実践を行いました。滝山里山保全地域のみなさんや、日野市の講師のみなさんがいるから実践できたことですが、同時に竹を自分の力で切ることができるというのはものすごく自信になりました。ライフスキルのレベルが上がったような気持ちです。この実践を受けてから木の傾き具合や、竹の密集具合にアンテナが立つようになりました。学ぶことは本当に面白いです。今後チェーンソーの実践もあるようなので、どんな感じなのか体験してみたいと思います。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
最後に、雑木林ボランティア養成講座に参加しようと思ったきっかけは、私が川が好きで、日野市の用水路の保全に携わりたいと思ったからです。その日野市の用水路をYouTubeにまとめるシリーズがようやくいったん完成しました!もしよかったら用水路の清らかな流れを見ていってください。


↓「日野市の用水路、全部まわるまでかえれま14」の再生リストはこちらから


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Manami Okuda
すべての人が組織や社会の中で自分らしく生きられるようにワークショップのファシリテーションやライフコーチングを提供しています。主体性・探究・Deeper Learningなどの研究も行います。サポートしていただいたお金は活動費や研究費に使わせていただきます。